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美少年の声は世界を救うようです  作者: 八田D子
御使いのコーダ
107/114

6節目

「今だ!」

 その隙を見逃さず。ゲオルグが駆け出す。その先にはシノーメが、振り返っていてゲオルグが駆けてくるのを待っていた。

「行けぇ!」

 ゲオルグが軽く飛び跳ねたのをシノーメが両腕で受け止めると、サウリアの頭上に向かってゲオルグを高々と放り投げた。人間の身体能力をはるかに超えた今の状態なら、それすらも容易に可能だった。

「サウリアの上を取ったつもりか。そんな事をして、御前天使たちのいい的だ!」

 ダマーが腕を動かして御前天使たちに指示を送る。

「ギョタン!」

 ゲオルグに向かってグラマトンによる真空の刃が襲い掛かる。

「させない!」

 ハーラが一度の射撃で数本の矢を放った。それぞれの矢が風を切ってグラマトンの真空の刃をかき消した。神技と言うべき弓術だ。

「猪口才な真似を! お前たちの使えるグラマトンなんて、その気になれば御前天使たちにも可能だというのを忘れたのか!」

「ヴォイ・ド ア……」

「させないよ! リオ オーラ!」

 フランツが使ったのはダマーたちが最初に使ってきたグラマトンだ。御前天使を乗っているサウリア諸共地上へと引き倒した。

「しまった!」

「僕たちは御使いだよ! 一度聞いたグラマトンなら僕たちだって使えるんだ!」

 相手が利用したグラマトンを使うフランツの機転で御前天使は勿論、空を飛ぶサウリアも地上に堕とし無力化した。その頭上でゲオルグが槍を構える。

「動けサウリア!」

「オオオ!」

 貝紫達では全く動けなくなるほどの力で押さえつけられたグラマトンだったが、それでもサウリアは四肢に力を込めてなおも動こうとする。口を大きく開き、空気が歪むほどの熱量が溜まっていく。

「御前天使! 貴様らも力を出せ! サウリアにグラマトンの力を送り込め!」

「ヴォイ・ド ア シュマ クァバー」

 まだ何人かグラマトンを使える御前天使がいたのか、サウリアの身体が淡く発光し始める。グラマトンの力で火炎放射を強化するつもりだ。流石にシノーメ一人では防ぎきるのは出来ないだろう。

「だったら!」

「俺たちが!」

「力を見せる!」

 貝紫、ロッソ、フランツが三人並んでサウリアの前に立つ。これで力負けしたら恐らく命はない。それでも防ぐのは自分たちにしかできないと3人は思った。

「ヴォイ・ド ア コルダー!」

 ほぼ同時にサウリアの口から火炎が放出された。それはもはや火の形をした巨大な槍の様に鋭く貝紫たちに向かっていく。

それに対し、3人の合わせたグラマトンは強力な衝撃波となってサウリアの火炎に迎え撃つ。

 火炎と衝撃波がぶつかり合って、目もくらむような爆発が生じた。3人は無事か、それとも……シノーメとハーラが目を開けて確認する。そこには御使いの3人とサウリア、どちらもまだ生き残っていた。

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