6節目
「当然行くぜ。要は俺を差し置いて本物の救世主を名乗ってるんだろう? どっちが本物か見せてやろうじゃねえか!」
「せっかくみんな安心できると思ったのに、それを邪魔するなんて許せないよ~!」
「決まりだな」
3人の考えは変わらなかった。真たる御使いと名乗るあの存在と対峙する。きっとこれが戦争を止める最後の試練だ。
「聖教国は女教皇が消沈して動けない。諸侯同盟もまだ混乱は収まってない。これは俺たちだけで解決する」
貝紫、ロッソ、フランツ。3人の少年は顔を見合わせて頷いた。
「主、我々もご一緒します。何があろうとあなたを守る!」
「ロッソ殿こそが本物の御使いで救世主だと、皆に知らしめてやりましょう」
「ぐるる……あー、戦って、みんな守る」
それぞれの従者であるシノーメ、ゲオルグ、ハーラも声を上げる。グラマトンだけでなく彼らの力も借りる事が出来るなら恐れるものなど何もない。みな自分たちの主と強いきずなで結ばれている。
「陽が落ちる前に俺たちは出発しよう。リッジ砦の事はローレン卿に任せます」
ローレン卿は頷き、兵に準備を急がせた。予言ではサントロンが火の柱を上げるという。それはつまりサントロンが噴火をするという事だろう。噴煙を上げた時からいつ噴火が始まってもおかしくない。一分一秒でも早く真たる御使いを名乗る存在を見つけ、サントロンの噴火を止める事が6人に課せられた使命だ。
それぞれの従者と一緒に馬に跨り、リッジ砦からさらに北西、スプリジョン最北にある霊峰サントロンへと急いだ。
スプリジョンの北部は山岳地帯が多く、ハナカルタも勾配の急な高原地帯だ。サントロンが最初に創造主が降りた土地と言うのも、あながち嘘というわけではなさそうだ。
「きっと、サントロンという火山が最初に出来て、噴火や海底の隆起でスプリジョンの大陸が出来たんだと思うんだ~大昔の地球もそうやって海から大陸が出来たんだって学校で習ったし~」
「このスプリジョンという異世界も、ひょっとしたら地球とは別の惑星かもしれないな。俺たち異世界に来たんじゃなくて地球からスプリジョンの惑星にワープしてきたのかもな!」
6人でサントロンを目指している最初の夜、そんな話を貝紫、ロッソ、フランツはしていた。
「それじゃあファンタジーじゃなくてSFみたいだな」
「SFもサイエンスファンタジーだからファンタジーの一部ではあるよ~」
従者たちは主人の話にはちんぷんかんぷんだった。ただ、この世界がどのように生まれ、存在してるかという事だけは分かった。子供ながら世界創造について知識があるというだけでも、やはりこの3人が特別な存在であるという事は確信できた。




