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「よう!久しぶりだなわたる」
「久しぶりー。言ってもそんなたってないよ」
夏休みに入ってから一週間がたって、注意くんの様子を見に、友達の家に遊びに行くついでに寄ってみることにした。
「友達できてからなかなか話せんくなったでなぁ。おれからしたらひさびさよ」
「そっかぁ」
「今日はどうした?どっか遊びに行くんか?」
「そうそう翔也くん家に遊びに行くんだ」
「そうか。なぁわたる。そろそろ女の子に手を出してみるのはどうだ?」
「――まだ小学生だよ?」
「お前も色々知ってんだな」
何かおどろいた様子の注意くんの口にぼくが『たけのこの里』を一つぶ寄せると
「おれ食べらんないんだよね」
と注意くんは苦笑いをした。
「そうなの?しゃべれるのに?」
「口は動くんだけどなぁ、胃袋がないんだなぁこれが。りったいてきじゃなくてね」
「そうなんだ。じゃあここ置いとくね」
ぼくは支柱のそばに『たけのこの里』のはこをおいた。
「いやおれ味だけかんじる的な能力ないからね!」
「気もちだよ気もち」
「かわいい」
ぼくはおいたはこから一つぶだけ取って食べて、
「じゃ約束におくれるから行くね!」
と横断歩道を渡ろうとすると
「左右かくにん!」
と注意くんがどなって、ぼくはびくっとした。
「お、お仕事おつかれ様です」
ぼくは振り返って笑顔を作りながら注意くんに言った。
「殺すよ?」
目がマジだったからちゃんと右左をかくにんして、はずかしいけど右手を上げて渡った。