プロローグ
これは、先に短編で出した”京都の春物語””京都の夏物語”京都の秋物語””京都の冬物語”を纏めた物です。ご理解をお願いします。
何かが、心に届いたら嬉しく思います。
・・・まる、たけ、えびす、に、おし、おいけ、あね、さん、ろっかく、たこ、にしき・・・
北から順に、京の通りを覚える数え歌の一部です。
碁盤の目に張り巡らされた京都の通りは、1200年の歴史と共に、
現在も、かつての平安京の面影を残して息づいています。
京都に観光で訪れる人々は、京都の四季に触れて何を思うのでしょうか。
京都は単なる文化財の宝庫として、また遺産都市として捉えられているのでしょうか。
私は、この街で生まれ、この街で育ち、この街で生きて行きます。
日本の他の都市と同じように、少し違った固有の文化と慣習とともに生きて行きます。
私の名前は”杉本安奈”。
普通の、今時の高校生です。
少し違うのは、京都と言う古い街で過ごしている事くらいです。
と言って古風なわけでもなく、舞妓さんになるわけでもないです。
ごく普通の、私の恋は、京都の四季と歳月を通じて色を塗り替えて行きます。
それは、無邪気な青春の色であったり、悲しい別離の色であったりするわけです。
私は、この京都の四季の中で、京都に生まれた女性として強く生きて行きたいと思います。
そんな、私の10年間の恋の物語を掻い摘んで、お話しする事にします。