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第04話.少女の思惑

幽霊が見えるようになりました。

 僕が意識を取り戻してから早3日が経った。その間いろんなものを見た。


 僕のいる4階の病室の窓の外には常に何人?何体?かの霊が浮遊しているし、病室にも当然のように壁をすり抜けて入ってくる。僕が寝ているのも御構い無しに僕の体をすり抜けていく霊もいるもんだから、ほんと勘弁して欲しい。平静を装おうにも限界がある。唯一救いなのは、今のところこの病室に留まる霊がいない事だ。


「幸助、どうしたんだ?気分でも悪いのか?」


 お見舞いに来てくれていた翔が心配そうに尋ねてくる。きっと僕の顔が青ざめていたのだろう。


「ううん、大丈夫。何ともないよ」


 全くもって大丈夫じゃないが、そう答えるしかなかった。ごめん、翔。出来れば君には嘘をつきたくなかったよ。


「…そうか。なら、いいんだが」


 何処と無くぎこちなく返事をする翔。僕が何かを隠していると気付いているのだろう。それでも何も聞かずにいてくれる。その優しさに今は甘えさせて欲しい。


 数分の沈黙を遮るように、5、6才くらいのフランス人形のようなフリフリのワンピースを着た女の子がトテトテと走ってきた。誰かのお見舞いに来たのだろうか。危なっかしいなと見ていると、僕のベッドの足元近くまで来て、ドテッと盛大に転けた。


「君、大丈夫?」


 と声をかけると、女の子はゆっくり体を起こし、顔だけ僕のほうを向いてにっこり笑った。


「幸助?誰に話しかけてるんだ?」


 その言葉でハッとして、翔の顔を見た。翔は本気で訝しげな表情をしている。『まずい』と思ったが、もう遅い。


「また来るね。お兄ちゃん」


 女の子はそう言い残し、姿を消した。やってしまった。他の霊と違って、普通に戸を開けて入ってきたから、霊だなんて思いもしなかった。そもそも僕には、霊も生きている人間と同じようにはっきり見えているし、足だってある。

 僕の霊だと判断する基準は、①宙に浮いている ②壁をすり抜けている ③明らかに場違いで時代錯誤な服を着ている の3点のみだ。僕は翔を適当に言い包めて、その日は帰ってもらった。


 いつさっきの女の子が現れるか分からない。僕は彼女に何をされるんだろうか。僕に取り憑くつもりか?身体を乗っ取られるのか?はたまた呪い殺されるのか…。良くない想像ばかりが頭に浮かぶ。右手しか動かせない今の僕には逃げる事も隠れる事も出来ない。しかし、消灯時間を過ぎても彼女は現れなかった。



「…いちゃん、お兄ちゃん」


 …誰かが呼んでる?聞き覚えのある声。

 ……さっきの女の子だ!!僕は勢いよく目を開けた。いつの間にか眠ってしまっていたようだ。しかし、目の前には誰もいない。


「こっちだよ」


 恐る恐る声のする方に目線をやると、女の子は僕の顔のすぐ横で、ベッドに頬杖をついて楽しそうに笑っている。あまりの近さに叫びそうになった。


「驚かせちゃってごめんね?お兄ちゃんが本当に見える人か確かめたくって」


 そう言ってふわふわ宙を舞い、いたずらっ子みたいにはしゃぐ様子に怒る気もなくなった。


「僕に何か用があるの?」


 僕は勇気を出して聞いてみた。すると彼女は


「うん。お兄ちゃんにお願いがあってきたの」

「…お願い?」

「お兄ちゃんなら私のお願い聞いてくれるよね?」

「そ、それは内容次第っていうか…」


 なんだか怖くなって曖昧な返事をすると、女の子の目つきが変わった。異様な空気を感じる。


「聞いてくれないと…お兄ちゃんを道連れにしちゃうよ…?」


 女の子の小さな白い手が僕の首に迫ってくる。僕は咄嗟に右手でガードした。


「…幸助!!」


 一瞬ルーの声が聞こえた気がした。しかし、それを確かめる間も無く、辺りは眩い光に包まれた。

最後まで読んで下さり、ありがとうございます。女の子の今後の展開にご注目ください。

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