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お祭り/補習(白い影を追う)

補習ルートの共通から分岐。

●補習が終わって、「白い影を追おう」としたら。

 気になるな。追いかけてみよう。

 私は白い影が去っていった方向へと足を向けた。さっきの、一体なんだったんだろう。白い影――幽霊、なんてまさかそんなものいるわけがないよね。

 内心ちょっとどきどきしながら校舎を歩く。補習組も監督の先生もほとんど校庭に出ているので、辺りはしんとしている。やっぱり誰もいないのかな……?

 諦めて皆のところに戻ろうとしたところで、何かが足先に当たった。それは、折り紙……? 真っ白い紙できれいに折られた鶴が落ちていた。しゃがみこんで拾い上げたところで、廊下の先から足音が聞こえてきた。

 誰、だろう? 先生? 生徒? それとも……。

 廊下の先にぼうっと白い影が現れて、私は思わず息を呑んだ。


ボブ子

「や、八十君!」

練絹八十

「こんばんは、五津木さん」


 白い影の正体は八十君だった。でも、どうしてこんな時間に学校に? 八十君は補習なんて無縁な立場だし……。私が首をかしげていると、八十君が私に近づいてきてぺこりと頭を下げた。


練絹八十

「折り鶴、拾ってくれたんですね。ありがとうございます」

ボブ子

「これ、八十君の?」

練絹八十

「はい。今日、図書館で折ったものです。……帰る途中に、いくつか落としてしまっていたのに気づいたので探しにきました」

ボブ子

「これで折り紙は全部見つかった?」

練絹八十

「いえ。あともう一つ見つかっていません」

ボブ子

「そっか。それじゃあ、一緒に探そうか?」

練絹八十

「本当ですか? ありがとうございます」


 また丁寧にぺこりと頭を下げた八十君と一緒に、落とした最後の一つを探して校舎を一緒に歩き回った。不思議だな。さっきまで静かし過ぎてちょっと怖いと思っていた校舎が、八十君と一緒にいるだけで楽しくなっちゃう。


ボブ子

「そういえば、最後の一つの折り紙も鶴なの?」

練絹八十

「いえ。同じ鳥なんですけど……スズメです」

ボブ子

「スズメ? スズメなんて折り紙で折れるんだ」

練絹八十

「はい。今は二羽しか手元にいなくて……。三羽いないといけないんですけど」

ボブ子

「そうなんだ。どこにあるのかな、スズメ」


 私が廊下をじっくり見ながら歩いていると、隣を歩いていた八十君が急に階段の方へ向かってしまった。後から追いかけると、そこには鳥の形をした折り紙。これが、スズメかな?

 大切そうに静かな手つきで折り紙を拾い上げる八十君を見て、思わず笑ってしまった。すると八十君が振り返って、赤い瞳をこちらに向ける。


練絹八十

「どうかしましたか?」

ボブ子

「なんだか八十君が子どもみたいで、微笑ましくって」

練絹八十

「子ども……」


 八十君が肩にくっつきそうなほど首をかしげる。いつもは一文字の口元をちょっと曲げて、なんだかとても困った様子。どうしたんだろう。子どもって言われるのが嫌だったのかな。それだったら謝らないと。

 でも別に、八十君は子どもと言われたのが嫌なわけじゃないみたいだった。


練絹八十

「私は未成年ですけど、あなたと同じ学年です。あなたが私を子どもと表現するのは違和感があります。それとも、じつは五津木さんが私の親だったんですか?」

ボブ子

「いやいや。そういう意味じゃなくて……」


 うーん。どうしよう。八十君にどう説明すれば、納得してもらえるかな?

 私が八十君を子どもって表現する理由は……。 



選択1「保護する気持ち」

選択2「かわいい気持ち」



●選択1「保護する気持ち」

ボブ子

「保護する気持ち、かな。なんだか守ってあげなきゃって気持ちにさせられたの」


 なんだか八十君って、絶滅寸前の貴重な動物みたいなイメージがあるんだよね。目を離したらどこかへ行ってしまいそうなところとか、浮世離れした雰囲気とか。


練絹八十

「保護、ですか」


 でも、私の言葉に八十君は少し微妙そうな反応をする。


練絹八十

「保護は嫌です。閉じ込められてしまうのは……嫌です。いつかはそうなってしまうかもしれないですけど、いまは自由でいたいです。それに、自由にいてほしいです」

ボブ子

「いや別に保護って、閉じ込める意味じゃないよ?」

練絹八十

「でも、人は保護と言って鳥を捕まえます。……私はいいんです。決められたことです。でも、あの子だけは――」


ひゅるひゅるひゅる――ドンっ!


 八十君の言葉をかき消すように、大きな音が鳴った。





・選択2「かわいい気持ち」

ボブ子

「かわいいなって気持ちで言ったの。ほら、八十君が折った折り紙も八十君の子どもみたいなものだよ。かわいいから、あんなに八十君も一緒に探してたでしょ。私もそんな気持ちだったの」

練絹八十

「この子が、私の子ども、ですか」


 八十君は自分の手の平の上にのせた折り紙のスズメを見つめた。まるで本物の生きたスズメを抱いているみたいだ。


練絹八十

「そうですね。この子が私の子どもなら、とてもかわいいです。とても大切にしたいです。こんな気持ちなんですね。……ありがとうございます、五津木さん」

ボブ子

「え?」

練絹八十

「私がこの折り紙を大切に思うぐらい、私のことを想ってくれていたんですね。嬉しいです」

ボブ子

「あ、うん。八十君のことは、うん、嫌いじゃない、よ」


 八十君はあんまり何かを伝えることを戸惑わない。あまりにも真っ直ぐに戸惑わずに言われた言葉に恥ずかしくなる。何にも考えずに言った自分の言葉に、自分でダメージを受けてしまう。

 熱くなってしまう頬をどうやって隠そうとうつむくが、隠せていない気もする。


ひゅるひゅるひゅる――ドンっ!


 私に助けを出すように、大きな音が鳴った。





 [・・・ロードします・・・]





 窓の外を見ると、大きな花火。そういえばすっかり忘れていたけど、今日はお祭りだった。学校からも花火が見えたんだ……。

 八十君はじっと窓の外の花火を見つめていた。白い髪が色鮮やかな光を反射してきらきらと光っている。隣にいるはずなのに、八十君がずっと遠くにいるみたいに思える。そう思って勝手に寂しくなっていると、八十君が花火から目を離してこちらを見た。


練絹八十

「綺麗ですね。花火、初めて見ました」

ボブ子

「そうなんだ。初めての八十君の花火、私が一緒に見れたんだね」

練絹八十

「はい。大切な思い出ですね」

ボブ子

「そうだね。そうなったら、嬉しいな」


 八十君の言葉に私も強く頷く。隣にいる八十君と一緒に、私はそれからずっと花火を眺めていた。

【初めてを奪ってしまった……】


メインヒーローとして、補習ルートにも出しました。

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