お祭り他ルート(誘わない)
●お祭りに誰も誘わなかったら、
やっぱりいいや。当日に誘っても、皆予定が詰まってそうだし。
べつにお祭りは一人でも行けるしね。それに一人だったら自由に、好きなように屋台とか見てまわれるし。初めて行くお祭りだから、むしろそっちの方がいいかも。
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一人で行くんだしいつもの格好でいいよねと、普段着でお祭りまで来たのはいいものの……。
周りを歩く女の子達のかわいい浴衣姿を見て、ちょっとだけため息をつく。
こうやって見てしまうと、ちょっぴり羨ましい。でも一人で来るのに、わざわざ浴衣をタンスから引っ張り出すっていうのも面倒。……だけど、一人でお祭りを見て歩いていると、さびしくて余計に楽しげな浴衣姿の女の子たちに目がいってしまう。
……そう思って、うつむきながら歩いていたのが悪かったのか。気づけば、よく分からない男の人たちに囲まれていた。
男A
「君、もしかして一人? だったら俺たちと一緒に回らない?」
ボブ子
「いえ。友達と待ち合わせをしているので……」
ねっとりした嫌な喋り方をする目の前の人に、とっさに思わず嘘をついてしまった。だって一人でお祭りに来ましたなんて、こんな人たちには絶対知られたくないし。
男B
「本当に? だったら俺たちも一緒に待ってようかなぁ」
ボブ子
「あの、困ります」
男A
「大丈夫だって! 俺たち、すぐに人と仲良くなれるタイプだから!」
しつこい。どうしようかな。
困りきって思わず現実逃避をしていると、ドタバタと誰かが走る音が耳に入った。誰だろう、こんな人ごみの中を走っている人は。
その足音は私のすぐ近くで止まった。
???
「なになに、どうしたの? お姉さん、なにかお困りごと?」
私を囲む男の人たちの間からひょっこり顔を出したのは、無邪気に笑う男の子。あれ、この子。(ちゃんと話していると)また会った? 確か、公園でギターを弾いてた子だよね?
突然現れた男の子に、男の人達は不機嫌になる。舌打ちをして、犬でも追い払うかのように手を振る。
男A
「なんだよお前、急に首を突っ込んでくんなよ」
男B
「何も困ってねぇよ!」
???
「えぇ? でもさ、なんかフオンなフンイキ? みたいな感じだったから! なんかドラマみたいですげぇって思って、思わず話しかけちゃった! ごめんね! お姉さん、実は困ってなかった?」
ボブ子
「え、困ってたけど……」
???
「ほら! お姉さん、困ってたじゃん! 俺、首を突っ込んで正解でしょ!」
そう言って胸を叩く男の子は、とても自慢げだった。その子どもっぽい仕草に、なんだか私の中の緊張感が緩んでしまう。しかし男の人たちはそうじゃなかったみたいで、怖い顔をして男の子に詰め寄る。
男A
「なんなんだよ、お前! 邪魔くせぇ!」
男B
「いいところだったのによぉ!」
???
「えええっ……。でも、お姉さん困ってるって言ってたじゃん! お兄さんたち、お姉さんのこと困らせたかったの? 女の子をいじめると、先生に怒られるよ!」
男の子が慌てて何かを言う度に、さらに男の人たちの怒りを煽っている。このままだと暴力沙汰になっちゃうかも……。
選択1「ここは私に任せて!」
選択2「や、やめてください!」
●選択1「ここは私に任せて!」
私が男の子を庇うために前へ飛び出す。
すると怒った顔をしていた男の人たちが、私を見てニヤリと口を歪める。困惑したように、庇ってくれていた男の子が声を上げるけど気にはしていられない。
男A
「なに、俺たちと遊んでくれる気になったの?」
ボブ子
「そんなわけないじゃない」
男B
「ええ? 固いこと言わないでよ」
気安く私に触ろうとした男の腕を、ぱちんとはたく。
私に触れようとするなんざ、百年は早いわ。
手を弾かれた反動で少し後ろに重心がずれた。それを見逃す私ではないわ。すっと足を滑らせて、そのまま男の足を払う。
まったく、この戦場で足元の注意を怠るなんてね……。尻もちをついた男に、私は挑発的にくすりと笑う。
ボブ子
「……あら、大丈夫? 急に腰でも抜けちゃったかしら」
男A
「お、お前、一体……」
仲間が倒れて冷静な判断を失ったもう一人が、愚かにもまた私に手を伸ばす。まったく、馬鹿は学習というものをしないわね。
男の伸ばされた腕の力をそのまま流し、前のめりの体勢になった男の背中を肘で押す。それだけで、男は無様に地面に倒れ込む。
ボブ子
「挑む相手を間違えたわね。……大丈夫、これ以上何もしないわ。あなたたちが黙って立ち去ってくれるのなら、ね」
男A
「す、すいませんでした!」
男B
「俺たち、調子にのってました!」
負け犬が去っていくわ……。まったく、哀れなモノね。
私がふぅっとため息をついていると、後ろいたはずの男の子が目の前に回り込んできた。その瞳はきらきらと輝いている。……なんだか、餌を前にした子犬みたい。
???
「お姉さん、すっげぇ! すっげぇ、かっこよかった! テレビの中の女スパイみたいな感じ! はっ! もしかして本当に女スパイだったりする?」
ボブ子
「ふふ、そんなわけないでしょ」
???
「あんなにすごいんだったら、俺がいなくても大丈夫だったっすね! でも、あんなすごいの間近で見れてすごいラッキー!」
ボブ子
「君が助けに来てくれたのは嬉しかったよ。ありがとう」
???
「どういたしまして! あっ、俺、そろそろ行かないと! それじゃあね、お姉さん!」
ボブ子
「うん。じゃあね」
手をぶんぶんと去っていく男の子。なんだか元気で無邪気な子だったなぁ。弟とかいたら、あんな感じだったのかなぁ。
憂鬱だった気持ちが、いつのまにかどこかへ吹き飛ばされていた。
【男をうまくあしらうのも、女に必要なスキル】
●選択2「や、やめてください!」
声を上げると、男の人達が振り向いてにやりと嫌な笑みを浮かべる。
男A
「だったら、俺たちと一緒に行こうぜ」
男B
「大丈夫だって。俺たち、結構優しいから」
こちらに近づいてこようとする男の人たちに思わず後ずさると、男の子がブンブンとまるで水気を払う犬のように勢いよく首を横に振った。
???
「本当に優しい人は、自分で自分の事を優しいなんか言わないって誰かが言ってた! だから騙されちゃだめだよ、お姉さん!」
男A
「なんだよ、さっきからよぉ……」
男B
「邪魔なんだよ、お前!」
男の人たちが男の子の胸倉を掴もうとする。ああ、もう! 本当にどうしよう!
無遠慮な腕が男の子を掴むその直前に、団体の明るい声がこちらに降りかかってきた。
男子A
「何してるんだよ、翔! すみませんね、お兄さんがた! うちの馬鹿が迷惑かけてないっすか!」
男子B
「まったく、一人で先に突っ走るから!」
男子C
「お姉さんも、うちの馬鹿がお騒がせしてすみません。ほら、お前も謝る!」
???
「えっ、なんで俺が謝んの?」
それは男の子の友達らしき集団だった。わっと騒がしく私たちを取り囲み、さりげなく私と男の子を男の人たちから遠ざけてくれる。
状況の不利を感じたのか、男の人たちは舌打ちをしてどこかへ行ってしまった。
男子A
「ほんとにビビったぁ! お前、すぐにどっか行くのやめろよ」
男子B
「ちょっと考え無しすぎるんだよなぁ、馬鹿だから」
男子C
「なにはともあれ一件落着。お姉さんも、次から気をつけて!」
???
「なんだよぉ! あ、お姉さん! じゃあね!」
手を振って去っていく男の子達。私も手を振り返して、彼らの背中を見送った。
どうなることかと思ったけど、良い子達が助けてくれて良かった。
憂鬱だった気分もちょっと晴れたかも。
【赤信号、皆で渡れば怖くない?】
戦闘シーン、と呼んでもいいだろうか。




