文化祭準備(教室準備編)
●文化祭準備で「買い出し班」になっていたら、
買い出し班をすることにした。
伊藤忠良
「じゃあ、学校近くの商店街まで行きましょう。先生も一緒について行きますね。重いものを運ぶ時は頼りにしてください」
力こぶをつくって伊藤先生はそう言うけど、先生って見た目は弱そうなんだよね。あんまり重いものは持たせないようにしないと……。
先生や他の子達と一緒に商店街の中にある、ホームセンターまでやってきた。
伊藤忠良
「なにが必要かな……。教室の飾りつけには、ペンキとかモールかな? じゃあ五津木さんは、どちらかを探しに行ってください」
私は――
選択1「ペンキを探しに行く」
選択2「モールを探しに行く」
●「ペンキを探しに行く」
ペンキを探しに行こう。看板を作ったり、輪投げの道具を色塗りしたりとかいろいろ作りそうだよね。どのくらいいるのかな? とりあえず黒は二缶ぐらい勝手おいた方がいいかも。
ペンキのコーナーまで行くと、缶がずらりと並んでいた。ペンキもいろんな種類があるんだなぁ……。どれがいいんだろう。一番安い奴?
きょろきょろと眺めていると、足元に何かがぶつかった。下を見ると、そこにはしゃがんで商品を眺めていたらしい人。
ボブ子
「ご、ごめんなさい! 私、よそ見していて……」
下前学
「いや、こちらこそ。僕もこんな狭い通路でしゃがみこんでいたから……あれ? 五津木さんか。君のクラスも買い出しに来たのか。君とはよくぶつかるな」
ボブ子
「下前君のクラスも来てたんだね」
私がぶつかったのは下前君だった。立ちあがった下前君は両手にペンキの缶を持ちながら、悩ましそうに顔をしかめた。
下前学
「あまりにも種類が多いからな。少し吟味していたんだ。……安いのもいいが、使いやすさも重要だとおもってな。このあまり臭いがしないペンキもいいんじゃないかと思って」
ボブ子
「ああ。確かにペンキって独特の臭いがするよね。あんまり好きじゃないなぁ」
下前学
「ああ、僕も苦手なんだ。あの臭いをかいでいると頭が痛くなってしまうし。ただ少し値段が高いからどうしようかと悩んでいるんだ。……窓を全開にして、換気しながらであれば普通のペンキでも大丈夫だろうか?」
ボブ子
「でも窓から生温かい風が吹いてきて、教室もペンキ臭かったら嫌かも。暑くて臭くて、すっごい気分悪くなりそう」
下前学
「うっ。嫌な想像をさせないでくれたまえ。気分が悪くなってきた……。しかし、そうだな。やはり臭いのしないペンキの方を買おう。五津木さんもこちらにしたらどうだ」
ボブ子
「そうだね。私もそうしようかな」
二人で臭いのしないペンキを手に取った。でも一人だとペンキは一気に持ってはいけないな。カゴを持ってこないと。
下前学
「五津木さん、カゴがないのか? カゴなら確かエスカレーター近くにあったと思うが」
ボブ子
「そうなんだ。ありがとう」
下前学
「お礼を言われるほどでもない。……そういえば五津木さんたちのクラスは何をするんだ?」
ボブ子
「私のクラスは輪投げ屋さんなんだ。下前君のクラスは?」
下前学
「僕のクラスは展示だ。接客をほとんどしなくて楽だが、制作には手間がかかるな」
ボブ子
「へぇ。どんな展示?」
下前学
「詳しい構想は話せないが、深海をイメージしたものだ。部屋を暗幕で暗くして、青いライトもつけて――ぜひ遊びに来てくれたまえ」
ボブ子
「うん、遊びにいくね」
それから下前君と別れて、カゴを取りに行った。そこで合流したクラスメートと一緒に大量の缶をレジまで運びこんだ。
【君とはよくぶつかる】
●「モールを探しに行く」
モールというと、クリスマスツリーとかに飾られているあのキラキラした奴だよね。教室の飾りつけとかに使うみたい。できるだけ目を引く派手な奴とかがいいかな。あれって、どこのコーナーにあるんだろう。パーティグッズのコーナーとかにありそうだよね。
私がパーティーグッズの売っているコーナーに行くと、そこに金髪の後ろ姿を見つけた。見知らぬ外人さんかな? それとも、やっぱり――
ボブ子
「やっぱり、サルシス君だった」
本田サルシス
「やぁ、五津木くん! キミも買い出しかい? ボクもライトを買いに来たのさ! ほら、あのクリスマスツリーによく飾っている点滅するライトだよ」
ボブ子
「そうなんだ。私もモールを買いに来たんだよ。あの、クリスマスツリーとかに飾っているやつ」
サルシス君と二人して、クリスマスツリーを例にして買ってくるものの説明をしてしまった。そんななんでもない一致が面白くて、思わずを顔を見合わせて笑ってしまう。
本田サルシス
「二人の目的とするものは、似ているらしいね!」
ボブ子
「そうだね。サルシス君はお目当ての物、見つかった?」
本田サルシス
「残念ながら、まだ見つかっていないんだ。君の探し物も、ボクは見かけていないよ」
ボブ子
「そうなんだ。たぶん同じような場所に置いてあると思うから、一緒に探してもいいかな」
本田サルシス
「もちろんいいとも! 旅は道連れだからね!」
コーナーをぐるりと見て回りながら、お互いのクラスが文化祭で何をするかについて話した。
ボブ子
「私のクラスは輪投げ屋さんをするんだ」
本田サルシス
「輪投げ屋さん! いいねぇ! おもしろそうだ! ぜひ行きたい!」
ボブ子
「サルシス君のクラスはなにをするの?」
本田サルシス
「ボクのクラスは展示だよ。まだ作品のタイトルは決まっていないけれど、深海をイメージしているのさ! 教室を暗幕で暗くして、青いライトで照らし出すんだよ。いいよねぇ、いまからそんな美しいものが作れるだなんてドキドキするよ」
胸に手を当てて、夢を見るような表情をするサルシス君。サルシス君が美しいものを好きな事は知っていたけど、美しいものを作ることも好きだったんだ。知らなかったなぁ。考えてみると、演技も美しいものを作ることの一つかも。
ボブ子
「サルシス君って、美術の授業とかも好き?」
サルシス
「そうだね! ボクはそこまで美術が得意なわけではないけれどね! 美しいものを作る楽しさには何物にも代えがたいよ! 昔、彫刻を彫っている人の作業を見学させてもらっとことがあったけど、あれは素晴らしかったね。作品だけではなくて、作っているその人の息遣いや動作すべても美しく洗練されていたよ! ああいうのはいくらでも眺めていられるね!」
ボブ子
「そうなんだ。サルシス君の話を聞いていると、そういうの見てみたくなっちゃう」
本田サルシス
「今では、作業風景を動画にあげているところもあるからね。今度見てみるといいよ」
そんな風に二人して喋っていて、お目当てのものをもう少しで通り過ぎてしまうところだった。お互いのお目当ての物を見つけて、それぞれレジに向かって別れた。
【美しいものは深海の底にある】




