夏休み部活動(テニス部)
●テニス部だったら、
今日は、テニス部の活動日だ。私はマネージャーだけど、それでもネットを張ったり、タオルやドリンクを運んだり、ボールを拾ったりと忙しい。夏の日差しのなかそんなことやっていたら、汗がだらだらととめどなく流れる気がする。
ボブ子
「自分が汗くさい気がする……」
マネージャー
「汗いっぱいかいたもんね。選手用に用意した冷やしタオル、余分にあるから使ってもいいよ」
ボブ子
「はぁい。あぁ~、生き返ります……」
テニス部のミニ冷蔵庫に保管していた濡れタオルを首筋当てると、背筋がぞわりとするぐらい冷たさが染みわたって気持ちがいい。そのままタオルで顔を拭いて、やっと一息。こうも暑いと、息をするのも大変って感じがする。
長い髪をポニーテールしている先輩は、鬱陶しそうに手で髪を払っている。
マネージャー
「それにしても暑いわ。髪、切っちゃおうかな。ベリーショートだと手入れも楽よね」
ボブ子
「えぇ、ダメですよ! 先輩、折角ポニーテール似合っているのに! ほらほら、先輩! 先輩もタオルをどうぞ!」
マネージャー
「ありがとう。あぁ、本当に生き返るわ」
テニスコートでは、選手の試合が行われている。しかし暑さにやられているのか、みんな声に覇気がない。走る姿も覇気がない。……こんなんだから、うちは弱小なんじゃないかな。
ボブ子
「どうして、この時期に活動なんてあるんですかね? 暑くて暑くて……、誰も嬉しくない」
マネージャー
「もうじき大会っていう時期だからね。それに合わせて、ここで集中的に活動してたみたい」
ボブ子
「え、うちって大会とか出るんですか? 聞いてませんよ?」
マネージャー
「昔の話よ。強かったときはそうだったって話。今は弱すぎるし、やる気もないし、大会は出ないわよ。ただ、昔からこの時期に活動してたから今もそうしてるだけの話」
ボブ子
「うちに強かった時期があったなんて、信じられませんね……」
マネージャー
「でも、けっこう最近まで本当に強かったみたいよ。六年前を境に、すっかり弱くなったらしいの」
ボブ子
「六年前ですか? なにがあったんですか?」
マネージャー
「さぁ。私もよく知らないんだけど。……その年を境に、急に部員が減ってたわね」
先輩と雑談をしている間に、テニスコート上の試合が終わった。これで午前の活動は終了だ。タオルとドリンクをカゴに入れて、持っていく。……これが結構、重いんだよね。最近腕に筋肉がついてきちゃった。
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お弁当を食べて、午後からの活動――……の前に、マネージャーの先輩が両腕に大きな箱を抱えて持って来た。ダルそうにしていた他の選手の人たちが、おおっと盛り上がってる。あれ、なんだろう。
マネージャー
「皆、お待ちかねのかき氷タイムでーす! 氷は朝から冷蔵庫で冷やしていました! シロップも三種類用意してまっす!」
箱から取り出されたのは、かき氷機だった。代々受け継いできたって感じの、年代を感じさせる。
マネージャー
「ごめんね、ボブ子ちゃん! 氷とってきてくれる?」
ボブ子
「はぁい!」
冷蔵庫の奥から氷を取り出してきて、かき氷機の中にイン。取っ手をぐるぐると回すと、氷が削られて器いっぱいに山となって出てくる。
あとは、イチゴかメロンかソーダ味のシロップ。どれを選んでかけるだけ。
選手A
「俺はイチゴにするか」
選手B
「俺はソーダだな!」
選手C
「俺は全部がけだぜ!」
午前の練習で疲れていたらしい選手たちは、わらわらとかき氷に集まってくる。みんな、こういう時ばっかりは元気だよね。練習時ももっと真面目にやればいいのに。
マネージャー
「ほら、私たちも食べよう」
ボブ子
「はい!」
先輩から受け取ったかき氷にメロンのシロップをかけて、いただきます。キーンと頭に響くぐらい冷たくて、おいしい! 暑さでだるかった身体がスーッと涼しくなる。
マネージャー
「あ、ボブ子ちゃんの舌が緑色になってる」
ボブ子
「先輩の舌も、青くなってますよ」
かき氷を食べてから、午後の活動を行った。
ちょっと食べすぎて、頭痛くなっちゃったかも……。
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午後の活動もダルダルと暑い中終えた。後片付けもきちんと終えてから、汗だくの私たちは、女子更衣室のシャワーを借りてから帰ることにした。
マネージャー
「あー、今日も疲れたわね! 入部した当初は、マネージャーがこんなに大変だなんて思わなかったわ」
ボブ子
「私もです……。うちって、もう大会に出たりしないんですか?」
マネージャー
「どうかしらね。それはあいつ等のやる気次第だけど……。どのみち、私たちはマネージャーとしてサポートするだけよ」
ぐっと握りこぶしを作る先輩は頼もしい。選手の人たちより、先輩の方がよっぽどカッコいいかも。
これからもついていきます、先輩!
【栄光の日は永遠に戻らない】




