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夏休み部活動(園芸部)

●園芸部だったら、

 今日は、園芸部で育てている夏野菜を収穫してそれを使った料理を作る予定だ。園芸部の小さい畑にナスとトマトを植えていて、それを使う。何を作るのか楽しみだなぁ。


伊藤忠良

「おはようございます、五津木さん」

ボブ子

「おはようございます、伊藤先生」

伊藤忠良

「今日はまず収穫からだね。ジャージに着替えて畑に集合ね。水筒も忘れずに持ってきてね」

ボブ子

「はぁい」


ジャージに着替えて、園芸部所有の畑へと向かう。そこで、大きな麦わら帽子が目に付いた。かぶっているのは伊藤先生で、なんだかとっても似合っている。


伊藤忠良

「あ、来ましたね。それじゃあ、五津木さんはこっちのナス畑からナスを収穫してもらえるかな。僕はこっちのトマトを収穫するから」

ボブ子

「はい」

先輩A

「はい。このハサミを使ってね」


 先輩に手渡されたハサミを受け取って、さっそくナスを収穫しようと手を伸ばす。ナスって遠くから見ると黒く光っているようにも見えるけど、こうして近くで見ると濃い紫だってわかるよね。


ボブ子

「あ、痛っ」


 無造作にナスに触れた手がチクリと痛んだ、反射的に手を離して見るけど、特に血は出ていない。


伊藤忠良

「五津木さん、大丈夫? ごめんね、言うのを忘れていたね。ナスはヘタの部分に棘があるから気をつけて。はい、この軍手を使って」

ボブ子

「あ、はい。すみません、ナスって、調理されていない状態であんまり触ったことがないから」

先輩B

「五津木さんって、あんまり料理とかしないの?」

ボブ子

「う……。しません」


 だって、私がするよりもお母さんが作ったほうがおいしいんだもん……。嫁入り前には、ちゃんと修行するからいいんだもん。


伊藤忠良

「こら。後輩をからかっちゃだめでしょ。……今日はみんなで楽しく料理をしようね。おいしい夏カレーだよ」


 おいしい夏カレーのために、皆で収穫した。






 [・・・ロードします・・・]





 ぱしゃ


 収穫が一段落したところで、顔に勢いよく水がかかった。慌てて顔を拭って顔を上げると、ニヤニヤと意地悪く笑う先輩がホースを持って立っていた。ホースからは水が流れていて、あれをかけられたらしい。


先輩A

「どうだ、涼しくなっただろ?」

ボブ子

「もう! 何するんですか!」


 びしょびしょになった服をしぼっていると、麦藁帽子をかぶった伊藤先生が慌てて走ってきた。


伊藤忠良

「ああ、もう! なにしてるの! 後輩をいじめちゃだめでしょ! あと、ホースで遊ばないの!」

先輩A

「あはは! いいじゃん! 夏にしかこんな水遊びできないんだから! ほら、タダちゃん先生も!」


 ばしゃん!


伊藤忠良

「うわっ! もう、やめてよ……!」


 先生まで水をかけられてしまう。水の勢いで麦わら帽子も、どこかへ飛んでいってしまった。



選択1「私もやってやる!」

選択2「避難しておこう」



●選択1「私もやってやる!」

 こんな風にやられっぱなしではいられないわ! 私だってやってやる。

 近くにあったバケツを手にとって、ホースを持った先輩に突進。水を飛ばして攻撃してくるのを、バケツを前に突き出してガード。そのまま、バケツの中に溜まった水を先輩へとかけ返した。

 びっしょりと濡れてしまった先輩は、ニヤリと好戦的に笑って。再びホースを構える。私もニヤリと笑いを返して、バケツを構える。


伊藤忠良

「あ、こら! 二人とも! まったくもう、しょうがないな――ってみんな?」

先輩B

「二人だけずるいわ! 私もやる!」

同輩D

「俺だって!」


 皆それぞれが、ジョウロやバケツなどの武器を持って対峙する。こうして水遊び戦争の火蓋が切られた。


伊藤忠良

「もう! みんながやるなら、僕だってやるからね!」


 こうして皆ずぶぬれになるまで遊んだ。

 こんな風に水遊びしたのは、小学生以来かも。あの時と同じぐらい大声を上げて笑った気がする。




●選択2「避難しておこう」

先輩A

「おらおら! お前らもびしょぬれにしてやる!」

先輩B

「あ、こら! なにすんのよ!」

同輩D

「うわっ! やめてくださいよ!」


 どんどん皆がびしょぬれになっていくなか、私はこれ以上濡れないよう、ホースの射程範囲から出ることにした。まったくもう! 先輩ったら! 

 ちょっと怒っていると、心配した顔の伊藤先生がタオルを片手に近づいてきた。


伊藤忠良

「だいじょうぶ? まったく、女の子にこんなことをして。しかもかわいい後輩に。あとであの子は叱らないとだめだね」

ボブ子

「タオル、ありがとうございます」

伊藤忠良

「うん。それじゃあ、僕はあの子達を止めてくるね。――こら! いいかげんにしなさい!」


 向こうは、もう皆で水の掛け合いをして大騒ぎをしていた。伊藤先生もそこに加わって、さらに盛り上がっている。安全地帯でぼんやりとそれを眺めながら、ちょっと楽しそうだなと思った。私も参加すればよかったかな。





[・・・ロードします・・・]





 園芸部の夏カレーの作り方は大雑把だ。野菜を切って混ぜて煮るだけ。お肉は無し。お肉無しに男の子達はブーブー文句を言っていたけど、私としてはちょっと助かるかも。アイスの食べすぎで、最近体重が気になってたんだよね。


伊藤忠良

「それじゃあ、みんなでいただきましょう! いただきます」


 先生の合図で、みんな一斉にカレーをぱくり。夏の日差しの下で労働をした後の体に、じんわりと染み込んだ。


先輩A

「疲れた後のご飯はやっぱりうまいな!」

ボブ子

「本当においしいですね! 特別なにか隠し味をしたわけでもないのに、とってもおいしいです!」

伊藤忠良

「うん! みんなで採って、みんなで食べるとおいしいね! 僕は一年でこの日が二番目ぐらいに楽しみなんだよ」

ボブ子

「あれ? 一番目は何ですか?」

伊藤忠良

「うーん。まだ秘密、かな」


 ちょっと照れたように笑う先生を、先輩達がからかう。

 みんなで楽しくカレーを食べて、この日の活動は終わった。

【いつか知ることになる幸福であってほしかったこと】

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