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第8話『英雄少女』と『魔物の軍団』

主人公(ムト)視点ではありません。



━━━ね、ねぇ。そこで何してるの?



━━━ん? 魔法書を読んでるんだ。



━━━そ、そうなんだ。



━━━うん。で? 何かよう?



━━━え、あ、えっと。わ、私の事どう思ってるの?



━━━? 同い年の女の子だけど。



━━━ほ、ほら! 私って、その……………



━━━あぁ、俺が君と比較されてる事?



━━━う、あ、その。



━━━気にしてないよ。言いたいヤツには言わせ

とけばいいんだよ、それに



━━━それに?



━━━絶対強くなって、見返すつもりだから。



━━━……………ね、ねぇ。



━━━なに?



━━━友達になってくれない?



━━━いいよ。



━━━え! ほんと?



━━━うん、俺はムト。君は?



━━━リラ………リラっていうの!



━━━そっか、リラ宜しく。



━━━うん! 宜しくムト!



























「…………夢?」



随分昔の夢を見た。彼に………ムトに初めて会った日の夢。初めて恋をした日の夢。最近はよく同じような夢を見る。あの日の…………ムトがいなくなった日の夢も……………あの時は本当に辛かった。

ベッドから起き上がり、鏡を見ると、目が少し腫れていた。気づかないうちに泣いていたようだ。



「ダメダメ! こんな顔してたら、ムトに笑われちゃうよ。」



頬っぺたを叩いて、気持ちを切り替える。ムトが残した手紙には『必ず帰って来る』と、書いてあった。だから、信じる。

髪をお気に入りの青いリボンを使い、後ろでまとめる。


「これで、よし! 今日も一日頑張ろう。」



宿の部屋から出て、一階に降りる。



「あ! リラお姉ちゃん、おはよう!」


「ルルちゃん、おはよう。」



一階に降りると、この宿の一人娘ルルちゃんがいて、朝の挨拶をしたので、こちらも挨拶をかえす。



「おや? リラさん、お出かけですか?」


「はい。冒険者ギルドに行って来ます。」


「そうですか。行ってらっしゃいませ。」


「はい。行って来ます。」



宿“夢咲”の店主、ソルトさんに冒険者ギルドに行く事を伝え、宿を出た。





























「お、リラの嬢ちゃんじゃねぇか。」


「ほんとだ~。リラちゃん久しぶり~。」


「久しぶりだな、リラちゃん。」


「お久しぶりです。バルドさん、トト、レードさん。」



冒険者ギルドに入ると、以前一緒に依頼を受けた、クラン〈銀風の鈴〉の第一部隊のメンバーがいた。



「エルクさんは元気ですか?」


「おう! クランマスターなら、火竜の素材が欲しいって言って、“アグラドル火山”に行ったぜ。」


「置き手紙を残してな。」


「言ったら止められるからって、置き手紙は無いよね。」


「キリアさん怒ってそうですね。」


「あぁ、めちゃめちゃ怒ってた。」



久しぶりに会った三人と、たわいもない話をしていると。



「おい! 大変だ!」


「どうした?」


「魔物の軍団が王都目指して、走ってくるぞ!」


「何っ!?」



魔物の軍団? 魔物達の暴走(スタンピード)でも起こったのかな? いや、それよりも。



「バルドさん!」


「あぁ、行くぞ! てめぇら!」


「「「「「「おう!」」」」」」

















「おうおう。こいつはすげぇ、まるで魔物の壁が迫って来てるみてぇだ。」



バルドさんの言うとおり、数え切れないほどの魔物が、王都に向かって真っ直ぐ走って来ていた。



「じゃあ、私行きますね。」


「え!? リラちゃん!」


「ま、待て! って、もう行っちゃったか。」


「よっしゃ、俺らも行くぞ! 一匹も王都に近づけさせるな!」



こうして、冒険者VS魔物の軍団 の勝負が始まった。

















「【旋風竜巻(ウィンド・ストーム)】【雷光竜巻(サンダー・ストーム)】」



魔物の軍団にある程度近づいたところで、広範囲を攻撃出来る魔法を二つ発動する。普通の竜巻と、放電している竜巻が、魔物達を巻き込み進んで行く。だが、それを抜ける魔物達もいる。よし! 腰に差した剣を抜き。



「【白銀之陽剣(アルゲントゥム・ソル)】“剣技”銀炎の鳥刃(シルバー・バード)



スキルの発動とともに、持っていた剣が銀色の炎を纏う。そのまま、“剣技”を発動させると、銀の炎で出来た鳥が撃ち出され、触れた魔物を切り裂き、焼き付くした。



「まだまだ! 【氷結槍(アイシクルランス)】【空間爆裂(ゾーン・バースト)】」



お次は氷の槍を撃ち出す魔法と、指定空間を爆発させる魔法を使う。



「おらぁ! 剛打撃(パワー・スマッシュ)!」


「いっくよー! 鳳凰拳!」


「“剣技”風剣乱舞(ウィンド・ソードダンス)



バルドさん達も、着実に魔物を倒しているようだ。それに



「【光線の雨(レーザー・レイン)】」


「あっぶね! おいシーレネ! 範囲魔法やめろよ!」


「ヤサネくん避けるから、いいじゃないですか。」


「ふざけんな! “刀技”鎌鼬」


「さっすがヤサネくん、魔物がゴミのようですよ! 【獄炎爆裂(バースト・インフェルノ)】」


「うおっ! だから、範囲魔法はやめろって!」



どうやら、特級ランクの人も二人ほど、参戦しているようだ。このまま押しきれば、いける!



「“剣技”銀炎の鳥刃(シルバー・バード)!」



向かってきた魔物達へ向けて、再び“剣技”を発動させる。王都には絶対に近づけさせない!



























「はぁ、はぁ、ふぅ………」



なんとか魔物を全て、倒しきった。だけど、かなり疲れたし、魔力がほとんど無いので、魔法はもう使えない。帰ったら、ゆっくり休もう。



「よお! お疲れ。」


「バルドさん。お疲れ様です。」


「いやー、もうへとへとだよ。」


「そうだな、今日はもう戦いたくない。」



皆なで勝利を噛みしめている時、一人の冒険者が異変に気付いた。



「お、おい皆な! また来たみたいだぞ!」


「「「「「「何っ!?」」」」」」



本当だ、先程と同じ、いや、それ以上の魔物の軍団が迫って来ていた。



「ハハハハ。嘘だろ…………」


「逃げるぞ。今なら間に合う。」


「王都の人達は?」


「直ぐ避難するさ。」



そう、直ぐに避難するだろう。ここにいるのは得策しゃない。特級の二人も、不利だと思ったらしく、逃げる準備をしている。私も逃げた方がいいだろう。でも…………



「先に行っててください。」


「リラの嬢ちゃん!?」


「何を言ってるんだ!」


「私は、逃げるわけにはいかないんです。」



ここで逃げるわけにはいかない。逃げ遅れる人がいるかもしれない。だから、例え死んでも、魔物達を倒す。それに…………



「守ってくれるよね? ムト…………」



そう小さく呟いた瞬間。轟音とともに、魔物の軍団の一部が吹き飛んだ。

ヒロイン(リラ)登場! 次回は主人公(ムト)視点に戻ります。

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