第7話『王都アシュレ』と『検証』
「あ~。やっと着きました。」
「俺達は用事があるから、もう行くな。また会えたら宜しくな。」
「じゃあな。」
「私達も失礼します。」
「えぇ、さようなら。」
「あ、私も。また会いましょうムトくん。」
「あぁ、じゃあなシーレネ。」
乗り合い馬車に乗っていたメンバーと、別れを告げる。今日はもう遅いし、宿で休む事にしよう。
何処か良さそうな宿は…………………お。あそこにしよう。
「すいません。泊まりたいんですが。」
「宿“夢咲”にようこそ。何名様でしょうか?」
「一人です。」
「お一人様ですね。お部屋は202号室になります。」
「分かりました。」
部屋に入り一息ついたので、今後の予定を決める事にする。
①:冒険者ランクを出来れば、上級ランクまで上げる。
②:自分の力をコントロール出来るようにする。
③:面倒事は極力避ける。
④:別の国や、大陸の情報を集める。
こんなところかな? ①だが、冒険者ランクは出来るだけ上げておきたい。黒髪黒目の汚名返上のためだ。②は思ったより自分の力が強かったので、手加減出来るようにしたい。思わずポキッとやってしまうかもしれないからだ(何がとは言わない。) ③は自分の願望だ。(②も関係してるけど) ④は次に行く国や、大陸を決めるためだ。
「よし、今日は寝るか。」
という事で、今日はもう寝る事にした。
◇
「………………朝か。」
朝がきたようだ。今日は力のコントロールをしに近くの森に行く事にしよう。
宿を出て、門番さんに挨拶をしつつ、門から出る。そして、直ぐ側にある森の中に入る。
「手前でやったら、王都で騒ぎになりそうな技もあるな。もっと奥へ行こう。」
結構ヤバい技もあるので、もっと奥に行く事にする。
少し駆け足で森の奥へと向かう。
「この辺でいいかな?」
結構深くまで来たので、この辺で技を試す事にする。
「えぇと、まずは………」
う~ん。広範囲技からにするか、直線攻撃技からにするか。
「よし! 広範囲技にしよう。」
少し腰を落とし、集中する。
「【龍王の覇双撃】」
両手を地面におもいっきり打ち付ける。瞬間
『ドガァァァァァァァァァァァァン!!!』
「………………うそん。」
地形が変わりました。いや、うん。なんで、小規模なクレーターが出来てるんでしょうか? いくらなんでも強すぎない? 修行場所では、ここまでならなかったんだけど…………まぁ、いいか。次いこ、次。
「ふぅ………よし!」
王都の反対方向を向いて、右腕を後ろに引き、構えを取る。
「【英雄の投げ槍】」
正面に向けて正拳突きを放つ。瞬間
『ドガァァァァァァァァァァァァン!!!』
「…………またですか。」
正面にあった全てのモノが吹き飛ばされ、かなり先まで地面が抉れたようになっている。
とりあえず、どっちの技も封印決定。
◇
やぁ、皆さんムトです。技の検証を一通りしたが、ほとんどの技が、封印決定になってしまった。まぁ、ここで試せないヤバい技もあるので、それらも封印だな。そんな事より、
「……………やり過ぎた。(orz)」
周りが更地になりました。ヤバいなアイラに怒られてしまう。というか、樹木の精霊に怒られてます。
『ひどい。』『いじめ。』『家なくなった。』『しくしく。』
悪かったよ。今アイラ呼ぶから。種を取り出し、地面に植える。
「【精霊王の呼子笛】」
「はーい! 何かよ…………ムトくん。どういう事かな? これは。」
ニコニコ笑顔だが、目が笑ってない。完全に怒ってるな。うん。
「ごめん! その、技を試したら思いの外威力が高くて…………」
「もっと、荒野とかでやってほしかったな~。」
「いや、ほんとごめん。」
頬っぺたをムニムニ引っ張られる。だが、直ぐに手を離して『はぁ。』とため息をはいた。
「とりあえず、戻すからもうこんな事しちゃ、駄目だよ。」
「サー、イエッサー」
「【蘇レ我ガ愛スル大地ヨ】」
アイラの言葉とともに、更地から植物が生え始める。草や木、花等が次々と…………
「相変わらず、凄い魔法だな。」
「【精霊魔法】を極めれば、出来るようになるよ。」
「とりあえず、俺には、一生出来ないって事は分かる。」
アイラは元の森に戻して、帰って行った。
という事で、俺もそろそろ町に戻る事にする。
「う~ん。帰ったらとりあえず、何か食べて、冒険者ギルドに行って、ランク上げのために、依頼をいくつか、受けるとして……………ん?」
王都を目指し歩いていると、森の木々の隙間からナニかの軍団が王都へ、向かっているのが見えた。土煙のせいで、よく見えないが、もしかしてアレは…………………
「魔物か?」
そう。魔物の軍団が王都へ向かって、一心不乱に走っていた。
「不味いな。」
俺は、走って魔物の軍団の方へ向かって行った。ヤツらを止めるために。
次回は主人公視点ではありません。