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第62話『白ゴリラ』と『フェネ』







「猿共め、我らが領内に入るとは…………宝を盗んだのは我らの力を落とし、森を統べるためか………相も変わらず卑怯なっ!」


「頭がいいと言え。」



銀狼の少女が叫ぶと、白猿の群れから一匹のゴリラ? 真っ白な見た目ゴリラが地面に降りてきた。



「白猩!」


「銀狼、森を渡せ。この森は俺達のモノだ。」


「黙れ! 神狼フェンリル様と、ぬえ様の話し合いで、森は分けあったハズだ! それをぬけぬけと!」


「知らんな。」



話についていけないんですが、帰っていいですかね? そろり、そろりと気付かれないように下がって行く。暫く下がると、後ろから押された。振り向くと、沢山の狼達。なんだよその目は、協力しろってか? いやいや、俺巻き込まれただけなんだけど? 狼達と目で話し合っていたら



「それよりも、この神聖な森に何故弱者がいる?」


「私が知るか!」


「ならば、殺してもかまわないだろう。」



背後から殺気がしたので、振り向く勢いで回し蹴りを放つと、飛びかかってきた白猿の顔の側面に当たって、『ゴギャッ!』という音とともに、吹っ飛んでいった。ありゃ、死んだな。



「貴様! 我が同胞をよくも!」


「いや、先に攻撃してきたのそっちだろ!」


「確かにな。」



銀狼少女も、頷いて肯定してくれる。だよな、襲ってきたから撃退しただけで、俺は別に悪いことをしたわけじゃない。


そんな事知らないとばかりに、白ゴリラが瞬時に距離を詰め、腕を降り下ろしてくる。降り下ろされた腕を両手で受け止める。重っ!? だがしかし、この程度で潰れる俺じゃない。地面に足が埋まっていくが、気にしない。全力を出して、ゴリラの腕を持ち上げていく。



「なにっ!?」


「どっっっ、せい!」



フルパワーで、白ゴリラを弾き飛ばす。木々を押し倒しながら飛んでいった白ゴリラが、空中で体勢を直し着地して、再びこちらに向かって突撃してきて、パンチを放ってきた。俺はそれを半歩で避けると、腕を掴んで、相手のパンチの勢いを利用して背負い投げをした。



「貴様! もう許さんぞ!」


「それはこっちのセリフだな。いい加減にしろ。」



じゃないと、そろそろ本気でやっちゃうぞ?



「うぉぉぉぉぉぉ!!!」


「死んでも恨むなよ。」



再びパンチを放ってこようとする白ゴリラに、こちらもパンチで応戦しようと思ったのだが



「「そこまで!」」



俺の前には、目元以外を布で隠した怪しい人物が、白ゴリラの前には、胸と腰を申し訳程度の布で覆った、尻尾の生えた女性が表れた。誰だこの人達。



「まったく。条約を破るとは、いい度胸じゃないかい?」


「ぬ、鵺様!? こ、これには訳が………」


「言い訳は、里で聞かせてもらおうか? じゃ、そっちは頼んだよフェネ。」


「あぁ、そっちも頼んだぞ。シャリ。」



白猿と白ゴリラと一緒に、女性が消えた。空間魔法かな? それよりも、この怪しい奴誰?



「君がムトか、アイラから話は聞いてるよ。」


「アイラの知り合いか?」


「友人だよ。私はフェネ。神狼フェンリルのフェネだ。」



怪しい人物は、アイラの友人で、フェネと言うらしい。にしても神狼というからには、ここにいる狼達と何か関係があるのかな?



「フェネ様。」


「やぁ、銀狼。」


「何故ここに?」


「何、条約を破った奴がいたから、来ただけだよ。後は、ムトに会うためかな。」


「そうでしたか。ムトとやら、宝を取り戻してくれたこと感謝する。今夜は宴だ! 行くぞ!」



銀狼少女に手を引かれて、フェネと狼達と一緒に彼らの里に向かった。そして、夜通し宴に付き合わされた。ちなみに、宴の食べ物は、肉ばっかりだった。





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