第41話『デート』と『昼食』
「えへへ、えへへ♪」
なんだか、凄く嬉しそうだな。まぁ、俺も人の事は言えないけど、デートって楽しいのな。でも………
「なんだあの黒髪、ぶち殺してぇ。」
「く、悔しくなんか!」
「殺してでも、奪いとりてぇ、」
男共の射殺すような視線と、嫉妬の視線がなければもっと楽しいんだが、いいだろう。
「次は、あそこ!」
「うん? なんの店だ?」
「アクセサリーショップ。」
「あ、そう。」
また、時間がかかりそうだな。まぁ、頑張りますか。
~小一時間後~
「えへへ~♪ いいお店だったね!」
「アァ、ソウダネ。」
「なんか、棒読みじゃない?」
「ハハハ、ソンナコトナイヨ。」
「そう?」
「ウン。」
耐えるんだ俺! 何時かは絶対経験する事だ! それが、今だというだけだ!
「次は、あのお店!」
「…………。」
あ、俺死ぬかも。
口から生気が抜けてきたムトを引いたリラを、こっそり物陰から伺う人物が、二人いた。
「リラさん。とっても楽しそうです! 良かった、良かった。」
「なぁ、フィリル。まだ行くのか?」
「あったり前です! リラさん達のデートはまだまだ続くんですよ?」
「ムリュ!」
「いや、見るだけなら同じ店で、何か買わなくても…………」
「そうですか?」
「(フィリルのモノに加え、コスモスの分まで………しかも、選ぶたびに俺に聞いてくるし………ムト、俺は今日死ぬかもしれん。)」
◇
「う~ん。そろそろお昼にしよっか。」
「お、おう!」
「なんか、嬉しそうだね。」
「そ、そうか?」
ヤバい。やっと解放されたから、少し嬉しくなってしまった。不味い、不味い。
「何処で食べる?」
「そうだな…………」
今の気分は…………
「リラの手料理が食べたい。」
「え!?」
「いや、リラの手料理が食べたいんだ。」
「そっか、じゃ、一度宿に戻ろっか。」
「おう!」
朝食を食べるために、宿に戻る。宿の食事処の席で、リラが昼食を持ってくるのを待つ。
暫くすると、料理を持ってやってくる。
「お待たせ! それじゃ…………」
「だな。」
料理は出来たけど、足りないモノがある。
「グレイ。」
「フィリルも、二人共出てきたら?」
「(どういう事ですか! バレちゃいましたよ!)」
「(落ち着け、ハッタリかもしれないだろ。)」
出て来ないな、なら…………
「コスモスー。昼食だぞー。」
「ムリュ~!」
「あ! コスモス待って下さい!」
「フィリル、ストップだ!」
お、出てきたな。
「まぁ、最初から着いてきてるの、気付いてたけどな。」
「うん。そうだね。」
「「え?」」
まぁ、グレイはかなり気配を隠してたけど、あれぐらいの気配を隠す魔物なら、修行場所にいたからな。それに、フィリルはまったく気配隠せてなかったし。
「さっ! 皆なでご飯食べよっ!」
「で、ですけど………」
「もう十分ムト成分は摂取出来たから、大丈夫。後、一週間ぐらいは……」
「一週間か………」
つまり、一週間後にまたデートか、それに値する事しないと駄目だな。
少し遠い目になりながら、昼食を食べる事にした。




