第40話『デート』と『その一』
「おはよ~う。」
「おはよう、ムト。」
「おはようございま~す!」
「ムリュ~!」
「皆な、おはよう。」
どうやら、全員集合したようだ。にしても、グレイとフィリル。なんかそわそわしてるな。
「フィリル。この後どうする? 引き続き、ランク上げする?」
「すみませんリラさん。予定があって………」
「そう。じゃあ、私も一緒に……」
「い、いえ! これは超プライベートな用事なので、コスモスと二人で行きます!」
「ムリュ!」
「プライベートなら、仕方ないね。」
どうやら、フィリルは何か用事があるようだ。ちなみに俺は、グレイを誘って依頼でも受けようかと、思っている。
「グレイ。今日は一緒に何か、依頼でも受けないか?」
「すまん。俺も超プライベートな用事があってな。」
んん? グレイも超プライベートな用事? あぁ、それでさっきから二人共、そわそわしてたのか。
「それじゃあ、もう行くな。今日も美味かった、ご馳走様。」
「私も行きますね。ご馳走様でした!」
「ムリュ!」
二人共、さっさと朝食をすまして、行ってしまった。よっぽど大事な用事なんだろう。にしても、リラと二人きりか………よし。
「なぁ。」「ねぇ。」
「…………。」
「…………。」
なんだ? リラも何か用事があるのかな?
「えっとね。二人っきりだね。」
「そうだな。」
下を向いて、もじもじするリラ。
「ムトは何か予定あるの?」
「いや、ないけど………リラは?」
「私も今日は特に………」
リラは予定無し。なら………
「「デートしない? ………え?」」
リラと顔を見合せ、暫し固まる。そして、どちらともなく笑い出す。
「そうだな、デートするか。」
「そうだね、デートしよっか。」
リラと二人でデート、恋人っぽくてなんかいいな。それに、少しドキドキする。
「じゃ、行こっ♪」
「おう!」
リラと二人で、連れだってヒークへと繰り出す。それにしても、ちゃんとリラを楽しませられるかな? 少し心配しながらも、行くことにした。
「上手くいきましたね。」
「だな。」
「ムリュ。」
◇
「何処行く?」
「ん? そうだな………」
無計画にというか、偶然なデートなので何処に行くというか、ヒークって何があるんだっけ? ここに来て直ぐに森に行ったので、ヒークに何があるのか全然知らないんだよな。くっ! 彼氏失格じゃあないか!
「そういえば、ムトはここ来て直ぐに森に行ったんだっけ。今日は私がリードするね♪」
「う。悪いな。」
腕を組んだリラに引っ張られて、歩く。先ず連れて行かれたのは……
「ここ、ここ!」
「服屋?」
「そう! 女の子に大人気の有名な服屋、その視点なんだ~。」
「そ、そうか。」
凄く楽しそうだな、だがしかし、俺は知っている。近くの町に服を買いに行った母さんが、ホクホク顔で帰って来た時、一緒に行った父さんは目が死んでいて、俺に「ムト、女性の買い物には気を付けろ。ハハハハ。」といつも言うのだ。
「入ろっ♪」
「お、おう。」
中に入ったリラは、俺の腕を引っ張って歩く。中に入って先ず目に入ったのは、色とりどりの服。白や空色といった落ち着いた色の服があれば、赤やショッキングピンクなんかの、どぎつい色の服もある。売れるのか?
「う~ん。 どの色が似合うかな~? ねぇ、ムト。」
「うん? そうだな………」
リラにどぎつい色や、装飾が多い服はかえってリラの魅力を駄目にする。なら、地味な色で装飾は出来るだけ少ないモノがいい。
近くにあった白と空色のワンピースを手に取る。
「こっちか、こっちかな?」
「なんで?」
「出来るだけ、地味なほうがいいから。」
「む。」
うん? なんか怖い顔してるな、なんか不味い事したかな?
「リラは地味な服のほうが、魅力が際立つしより可愛く見えると思うぞ。まぁ、何を着ても可愛いだろうけど。」
「ふぇっ。そ、そうかな?」
「ん? おう。」
なんで顔赤くしてんだろ? とりあえず、リラに白いワンピースを進めて、試着してもらう。
「ど、どうかな?」
「…………。」
可愛い。ふむ。純白のワンピースを着た、銀髪金目の美少女ことリラ。天使と言えばいいのか、女神と言えばいいのか…………悩む。
「ムト? 何かないの?」
「ん? あぁ、天使と言えばいいのか、女神と言えばいいのか悩んでたんだ。ゴメン。」
「ふぇぇぇっ。て、天使? め、女神!?」
黙ってた理由を話したら、下を向いてブツブツ呟き出した。なんでだ?
とりあえず、リラが着ているワンピースを購入し、そのワンピースを着たままのリラと、町に出る。さっきよりいい笑顔になっている。良かった。
◇
■ムトとリラが出た後の店内■
「あの男、やるわね。」
「あのセリフは反則ですよね。」
「しかも、天然で言ってた気が………」
店内では、ムトとリラの噂を店員達がしていた。
「やるな、ムト。」
「ムトさん。凄いです!」
「ムリュ!」
デート始まったぞー。まだまだ続くぞー。
昨日から、新しく『Miracle Would Online』という、VRゲーム物を投稿し始めました。よければ、そちらもお読みください。




