第28話『朝食』と『神々』
町の中を朝食を食べられる所を探して、ぶらぶらする。まだ、朝になったばかりだが、元気な声があちらこちらから聞こえてくる。
「う~ん。どうせだから、ガーネアの名物を食べたいな。まぁ、あったらだけど。」
この際、屋台でもいいかな? と、並んでいる屋台をぼおっと見ていると、少し寂れているが、いい感じの店を見つけたので、入ってみる。
「すいませ~ん。」
「はわわわわ! もう少し待ってください! 必ずお返ししますから!」
「…………はい?」
店に入ると、青色の髪をした、十四歳ぐらいの女の子に土下座された。よく分からないが、とりあえず、誤解をとこう。
「俺は━━━」
「貴様ぁぁぁ!!! 俺の娘に何しやがる! 表に出ろぉぉぉぉ!!!」
「ちょっと、アンタ落ち着きな!」
誤解をとこうと思ったら、店の奥からスキンヘッドの厳ついオッサンが、顔を怒りに染めて出て来た。それを止めるように、青色の髪と青い目をした美人さんが出てくる。今までの話をまとめると、この三人は親子のようだ。
「ここって、食事処ですか? 朝食食べたいんですけど。」
「何ぃぃぃ!? 俺の娘を食べたいだとぉぉぉ!!! 許さん!」
「いや、俺恋人いるんで。」
もの凄い誤解なので、きっぱり言う。
「何ぃぃぃ!? って、ん? もしかして、俺の勘違いか?」
「もしかしなくても、そうだろうよ。ほら、アンネも立ちな。」
「え? うん、お母さん。」
俺の予想通り家族のようだ。誤解もとけたみたいだし、さっそく朝食を頼もう。
「それで、朝食食べたいんですけど。」
「おう! とびっきり上手いのを作ってやるぜ! で? 何を食べたいんだ?」
「この町の名物か、オススメとかあります?」
「おう! それなら、“雷角犀の香草焼き”がオススメだぜ!」
「それじゃあ、それをお願いします。」
「おう!」
“雷角犀の香草焼き”か…………どんな味かな? 香草焼きって何故か美味しそうな響き……何故だろう?
暫く待つと……
「お待たせしました。」
「おお!」
香草焼きが運ばれてきた。すごく美味そうな香りがしてくる。ナイフで切り取り、フォークで口に運ぶ。肉の味が香草で強調されており、噛めば噛むほどに、肉汁が溢れ出してくる。美味い。
「ご馳走さまでした。」
あっという間に、食べ終えてしまった。
「いい食いっぷりだな、にいちゃん!」
「すごく美味かったです。」
「代金は、銅貨5枚な。」
「えぇと、はい。」
「ちょうどだな。」
美味しい朝食も食べられたし、さぁ、観光に行きますか。………と思ったんだが。
「はぁーい、借金取りですよ~。」
「おやおや~。こんな寂れた店に客かぁ?」
「ギャハハハハ! お金はたまりましたか~?」
借金取りが来ました。どうしようか、このまま帰ってもいいんだけど、それにしても借金か。
「そもそもおかしいだろうが! 俺はたしかに金貨10枚借りたんだ! それがなんで金貨100枚になってるんだ!」
それは確かにおかしい。いくらなんでも10倍になるわけないだろ。
「この契約書の10倍で返します。ってところに、同意のサインしただろうが!!」
「アニキの言うとおりだぜ!」
「そうそう。」
「同意のサインを書いた時に、そんな文章なかっただろうが!」
よりおかしいな。だがしかし、俺にはどうにも出来ないな。
『そんな時はコレ!』
『てってれ~!』
『【断罪ノ一美】~。』
『ちょ、誤字ってる。誤字ってる。』
『おっと、【断罪ノ瞳】~。』
『説明しよう!【断罪ノ瞳】とは、偽証を見破りその度合いによって、偽証をした人物を“断罪”する。便利な能力であ~る!』
『今ならタダでプレゼント。』
『“タダ”と“プレゼント”って、合わせていいの?』
うん? 誰だ? 悩んでいると、頭の中に声が聞こえた。
『フッフッフ。我々は…………神だ!』
ふーん。
『軽!?』
『そんな短いセリフで行数稼ごうとしても無駄だぞ! 読者は直ぐに気づくんだからな!』
『な、なんの事かな?』
おい待て、なんの話してるんだ?
『それは置いといて、神って聞いて驚かないの!?』
どうせあれでしょ、称号『神々に感謝されし者』の効果とかでしょ。
『地味に勘がいい!』
『だが嫌いじゃない!』
『それでは【断罪ノ瞳】をプレゼ……』
いや、そんなホイホイ能力与えられても困るんですけど。というか、神様って暇なんですか?
『うん。』
『ちょ、そういう事は言っちゃ駄目でしょ!』
『あ! ちょっとアンタ達! 何勝手にムトと話してるのよ!』
『そうですよ!』
『やっべ! 女神共にバレたぞ!』
『逃げろ!』
『あ、ムトには、はいコレ!』
《スキル【断罪ノ瞳】を与えられました。》
あ、なんか渡された。まぁ、これを使って人助けしますか。
え? 神々とムトとの会話に作者が出た? きっと気のせいですよ。




