第23話『情報』と『ユメ』
「それじゃ、情報をまとめよう。」
「ほーい。」
「だな。」
宿屋の俺の部屋で、三人揃って〈悪魔の茶会〉の情報を、まとめる事にした。
「それじゃ、私からね。色々な冒険者の人達に聞いたんだけど、〈悪魔の茶会〉のヤツらは主に、ここイルノア大陸で活動してるみたい。」
「イルノア大陸に何かあるのか?」
「その可能性は高いな。」
「でね、ヤツらは二人組で現れて、例の黒い紙切れを探してるみたい。」
「アレって、他にもあるのか。」
「それなんだが、元は一冊の本だったらしい。」
「本?」
「あぁ。とある生物の使役方法が書かれた古文書らしい。」
「とある生物?」
リラが疑問の声を上げる。俺も同意見だ、とある生物ってなんだ?
「“黒炎を纏いし獣”だ。」
「「え!?」」
グレイがとんでもない事を言いだした。
◇
「“黒炎を纏いし獣”って、封印されてる場所分からないんじゃ?」
「あぁ。だが、本当に使役する事が出来たら、マズイって事は分かるよな。」
「うん。世界征服とか簡単に出来そう。」
そう。それぐらいの力が“黒炎を纏いし獣”にはある。
「でも、それとムトを狙っている事と、何の関係があるんだろ?」
「俺も思ったんだが。ムト、何か心当たりはないか?」
「んん? どうかな?」
正直言うと、修行場所で何かがあった気もするが、覚えていない。
「とりあえず、集められた情報は以上でいいかな?」
「あぁ。俺の方はもうない。」
「じゃあ、寝よっか。ムトお休み。」
「俺もいくな、お休み。」
「あぁ、お休み。」
リラとグレイが出て行ったのを確認し、ベッドに入って眠りについた。
◇
何処までも黒い空間。俺はそこにいた。
『あ━━━━━』
なんだ? なんて言ってる?
『━━━るべ━━━━』
聞こえない。分からない。
『彼を━━━━━』
誰だ? 誰を━━━
『黒炎は全てを焼き尽くす。心を焼き尽くし、暴虐の限りを尽くす獣へと変える。』
誰だ?
『オレか? オレは人でも神でも、まして生き物でもない。君の中にいる。』
俺の?
『害悪ではない、君の力だ。君のあるがままに、君の歩むがままに、共にあるモノ。』
俺の力?
『正直言うと、なんで話せるか分からないんだけど、次いつ話せるか分からないから、いっぱい話すね。』
え? お、おう。
『いやマジでさぁ、君の能力おかしいよね。何も効かないとかさぁ、この世界の神々もびっくりだったと思うよ。』
確かに、どうしてこんな能力が?
『偶然。』
え?
『偶然だよ偶然。君に与えられるハズだった能力は【金剛盾身】だったんだよ。』
じゃあ、なんで?
『いやー、“神力”が混ざって変質しちゃったんだよね。』
そうなのか。そういえば、最初に話かけたのもお前なのか?
『いんや、彼女はオレとは関係ないよ。』
彼女?
『おっと、そろそろ時間だ。』
周囲が白く光出す。待ってくれ! お前の名前は?
『オレか? オレの名前は━━━━━』
最後の言葉を聞いて、俺は少し驚いた。
そして、目を覚ました。




