第17話『戦い』と『圧倒』
「“剣技”蒼月の飛刃」
「おっと危ない、【火炎槍】!」
「【結界】」
「やるなぁ!」
シガレと呼ばれた男は、魔法主体の戦いかたをするみたい、時折人形使いのレゼルが操る人形が、攻撃しにくるけど、グレイさんによって阻まれているので、安心。
「ちー! 面倒くさいっしょ!」
「“弓技”二連射」
「うわっと! 危ないっしょ!」
グレイさんの方も危なげなく戦っているようなので、気にしなくていいだろう。
「よそ見してて、いいのか?」
「まぁ、そこまで強くないし。」
「何っ!?」
「確かに、拍子抜けだな。」
「言ったっしょね!」
突然。シガレが距離を取り、レゼルが二人を守るように人形達を動かした。何をする気だろう?
「『我、ここに悪魔の腕を求む、対価は人の腕』」
「『我、ここに悪魔の瞳を求む、対価は人の瞳』」
シガレが誰かの腕を取りだし、レゼルは誰かの瞳を取りだした、悪魔? まさか━━
シガレの両腕が禍々しい赤紫色の腕になり、爪も武器のように鋭く伸びた。
レゼルは両目が紫色になる。
「俺達は本気を出した!」
「勝ち確定っしょ!」
「なんだあれは?」
「さあ? マズイ物なのは確かですね。」
警戒していると、シガレがその場で私に向かって、腕を振るった。マズイ!
『ドパンッ!』
「なっ!?」
「ハハハハハ! 死んだなコレ!」
そう簡単には死なないんだから。
「ん? なんだそりぁ。」
「【黄金之月盾】」
私の周りには、半透明の黄金の膜があった。これが、【黄金之月盾】守りに特化した能力。そして
「【白銀之陽剣】」
【白銀之陽剣】剣に銀炎を纏わせる、攻めに特化した力。
二つで一つ、どちらかが欠けたら意味の無い能力だ。
「“剣技”銀炎の鳥刃」
「ちっ! 悪魔の斬撃!」
「“剣技”銀炎剣舞」
「なっ!? ぐっ!」
弱すぎる。というか、さっきより弱い。
「近接の方が弱いと思うけど?」
「黙れ! 【火炎竜巻】」
魔法を使ってくるが、【黄金乃月盾】の防御膜によって、防がれる。
「くそっ! ありかよ、そんなの!」
「助太刀するっしょ!」
「させるか!」
「少し、静かにするっしょ 麻痺の瞳」
「ッ!?」
レゼルの瞳が光ったと思ったら、グレイさんが、その場にうずくまる。パラライズって事は麻痺?
「そのまま、人形に殺られるといいっしょ!」
「どうかな?【無弓ノ万星】」
グレイさんの言葉とともに、グレイさんの周囲に無数の矢が現れる。
「行け!」
「いくらなんでも、そりぁないっしょ!」
無数の矢が人形を貫き、動かなくしていく。
「くっそ! こうなったら!」
「アレをやるっしょ。」
二人が何かをやろうとしているようなので、警戒していると
「お待たせー。」
「リラ! 無事か?」
「間に合ったようだな。」
アイラ、ムト、フェネさんが戻って来た。
「なっ!?」
「シガレっち、ここは一旦引くっしょ!」
「だな! あばよ!」
何かの魔導具を使ったらしく。二人は霞のように消えてしまった。それにしても、あの二人は何者だったんだろう?