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第15話『報告』と『フール村』



「〈悪魔の茶会デモン・ティーパーティー〉? そいつらが、ムトを狙ってるのか?」


「はい。おそらく。」


「成る程な。よし、分かった。本部にも伝えてランク7以上の冒険者の何人かに、情報収集をしてもらおう。他の冒険者にも依頼なんかで、そいつらと関わったら、知らせるように言っとこう。」


「ありがとうございます。」


「お前らも気を付けろよ。」


「「はい。」」



ギルドマスターに報告を済ませた俺達は、一度宿に戻る事にした。



「さて、これからどうするか?」


「うーん? ここに居ても仕方ないし、そろそろ次の目的地に行く?」


「そうだな、どうせヤツらは俺を狙ってるみたいだし、移動しても問題ないしな。」



という事で、準備を整えた俺とリラは次の目的地、リヒル聖教国前にある、“始まりの町ガーネア”へ向けて、旅だった。



























俺達はガーネアに向かって伸びている、街道を歩いていた。


ガーネアが何故、“始まりの町”と呼ばれているかというと、冒険者ギルド本部があるからだ。冒険者の始まりの場所。すなわち“始まりの町”


冒険者ギルド本部があるので、冒険者の数も多い、冒険者の町とも呼ばれるな。近くに迷宮(ダンジョン)もあるしな。



「リラはガーネアに行った事あるのか?」


「一度だけね。でも、良いところだったよ。迷宮(ダンジョン)が三つもあって、修行にはちょうどよかったし。」


「へぇ~。」



修行か…………そういえば、俺の修行場所にも迷宮(ダンジョン)があったっけ、たしか『無限迷宮』だったかな? アルフェルドが言うには、入る度に中の構造が変わり、魔物の強さも変わるから、かなりヤバい場所だって言ってたな。結局行かなかったけど



「それにしても、長閑だね~。」


「だな。」



とても長閑だ。まぁ、こういう時に面倒事がやってくるんだが。



「………………」


「! ムト!」


「なんか、聞こえたな。」



街道の左側にある森の中から、声が聞こえてきた。



「………た………」


「ムト行こう!」


「おう!」



リラとともに、声がする方へ向かって行く。すると



「助けて!」


『ギィィィィィ!!!』



小さな女の子が、『森林大蜘蛛(フォレスト・スパイダー)』に追われていた。



「ムト!」


「おう!」



リラが剣を抜いたのを確認し、一瞬で女の子の側へ移動し、抱え上げて『森林大蜘蛛(フォレスト・スパイダー)』から距離をとる。



「いいぞ!」


「うん! “剣技”蒼月の飛刃(ブルー・ムーン)!」



リラの“剣技”により、『森林大蜘蛛(フォレスト・スパイダー)』が縦に両断された。



「もう、大丈夫。」


「だな。」


「あ、あの!」


「何かな?」



リラがしゃがんで、女の子の目線に合わせる。



「助けてくれて、ありがとう。」


「どういたしまして、お名前は? 私はリラって言うの。」


「俺は、ムトだ。」


「レイナって言うの!」


「そっか、それで、レイナちゃんはなんで森の中にいるの?」


「薬草をとりに来たの。」


「薬草?」


「うん。お母さんが病気なの。」



成る程。お母さんの病気を治すために、危険な森の中に来てたのか。



「でも、森の中は危ないから一人で来ちゃ駄目だよ。」


「はい。ごめんなさい。」


「よっし、ムト、この子を送って上げよう!」


「だな。」



リラの提案を受け、俺達はレイナが暮らしている村に寄る事にした。



























「ここだよ!」


「“フール村”って言うんだね。」


「うん!」



そのまま、レイナに案内されてレイナの家へ向かった。

村の中はとても静かで、ちらほら見かける村人達も、虚ろな目をして座りこんでいた。



「リラ、なんかおかしくないか?」


「うん。何かありそうだね、この村。」


「着いたよ、ここ!」



レイナに促されるまま、中に入る。そして、母親がいる部屋に移動すると、ベッドに座った虚ろな目をした女性がいた。何日もなにも食べてないのだろう、身体は痩せ細っていた。



「お母さん! 薬草取って来たよ、これでもう大丈夫だよ!」


「待った!」


「どうしたの? ムト。」


「ムトお兄ちゃん?」



嫌な予感がした、まるで誰かが、それではいけないと直接頭に語りかけるように。



「一度俺に任せてくれ。」



そう言って、一度外に出る。



「ムト、何するの?」


「友人を喚ぶんだ。」


「「え?」」



地面に、種を植えて



「【精霊王の呼子笛コール・オブ・スピリットキング】」


「はーい! 呼んだかな?」


「ムト? その娘、誰?」


「あ、ムトくんの恋人さんだね。私はアイラって言うの、宜しく。」


「え、あ、宜しく。」



ナイス、アイラ! この後、アイラに事情を説明し、レイナの母親の元へ連れて行くと



「これは、酷いね。」


「マズイのか?」


「ううん。任せて。」



そう言うと、瓶を取りだし、中に入っていた液体をレイナの母親に飲ませた。



「これで、大丈夫だよ。後は安静にするのと、他の人に任せよう。」


「他の人って?」


「私じゃ、【聖魔法】は使えないからね。」


「あぁ、アイツをよぶのか。」


「そう言う事。」



アイラの言った事が分かったので、腰に着けた袋から、青色の笛を取りだす。


さぁて、アイツを呼びますか。

さて? 誰を呼ぶんでしょう?

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