第14話『迷宮続き』と『悪魔の茶会』
迷宮続き。
「【断頭飛脚斬】!」
「“剣技”輝光の輪刃」
俺の蹴りとリラの剣技により、真っ二つになるゴーレムの群れ。しかし、後から、後からゴーレムが湧いてくる。
「なんでこんなにいるんだ? 【英雄の投げ槍】」
「さあ? とりあえず倒しちゃお【空間切断】」
ちなみにここは、二十五階層だ。初心者にはキツイ場所だが、俺達には苦にもならない。それよりも
「なぁ、こいつら、まさかとは思うが………」
「うん。ここの魔物じゃないね。」
ゴーレムの残骸は、何故か光になって消えなかった。最初は時間がかかるのかと思ったが、最初に倒したゴーレムの残骸もまだ残っている。
すなわち、このゴーレム達は外から入り込んだ……違う。いくらなんでも数が多い。つまり
「こいつら、錬金術師の作ったゴーレムか。」
「みたいだね。」
錬金術師。錬金術と言われる特殊技術を使い、様々なモノを生み出す人達の事を指す。こいつらは、錬金術師が創り出したゴーレムなのだろう。
「それにしても、こんな所でこの数のゴーレムを放してるのは、どういう事か調べる必要があるな。」
「だね!」
そのためにも、さっさとこいつらを倒そう。よし!
「リラ! 少し離れろ!」
「分かった!」
リラが離れたのを確認し
「【首狩り兎の嵐舞】!」
脚を半分程度の力で振るう。すると、三つの竜巻が現れ、ゴーレム達を細切れにしながら進んで行く。
「えげつない技だね。」
「まぁ、これを食らうのが生き物だったら、ヤバいな。」
三つの竜巻が消える頃には、ゴーレム達はいなくなっていた。
「よし! 先進むか。」
「うん!」
ゴーレムを創り出した人物を探し、俺達は奥へと進んで行く。
◇
「後は、この先だけだね。」
「そうだな。」
俺達は、三十階層の最奥にある門の前に立っていた。後、探してないのはこの先だけだ。
「よし。行くぞ。」
門に触れると、自動的に開いて行く、そして中には………
「あー! お前らだなッ! ワタシの可愛いゴーレム達を壊したのはッ!」
「ギャゼルさん。また、創ればいいでしょう?」
「同じゴーレムは二度と創れないんだぞッ! バカ、ディルガッ!」
白い髪と青い瞳をした、褐色肌の少女と、黒い包帯でグルグル巻きになっている男? が、いた。
「あなた達、何者?」
「申し遅れました、自分は〈悪魔の茶会〉所属のディルガです。」
「同じくギャゼルッ!」
「〈悪魔の茶会〉?」
聞いた事ないな、なんなんだ? 〈悪魔の茶会〉って。
「んん~? おいッ! ティルガッ! アイツもしかして…………」
「おや、“ブラック”のようですね。」
「やったじゃんッ! アイツ連れて帰れば、ワタシ達お手柄じゃんッ!」
“ブラック”って、俺の事?
「えぇ、そうですが。我々では“ブラック”はおろか、そちらの少女にも負けますよ?」
「うっわッ! そうじゃんッ!」
「という訳で、ここは引きましょう。必要なモノも手に入りましたし。」
「だなッ! また会おうぜッ! “ブラック”ッ!」
そう言い残して、霞みのように消える二人組。いったい何だったんだ?
「アイツら、俺を狙ってるのか?」
「みたいだね。気を付けよう。」
「そうだな。とりあえず、ギルドに報告しに戻ろう。」
「そうだね。行くよ!【帰還】」
リラの魔法で、俺達は迷宮から抜け出した。
◇
ヴォルテ某所。
「よお! お二人さん“ブラック”を見つけたんだって?」
「普通連れてくるっしょ。これだから雑魚は使えないっしょ。」
ギャゼルとティルガに話しかける、赤紫色の髪と瞳をした男と、青い髪と緑の瞳をした男。
「ああんッ! 何だとコラッ!」
「ギャゼルさん落ちついて、我々は戦闘系ではないので。」
「ハハハハハ。だよな~、まぁ、俺達が“ブラック”を捕まえてやるよ! なぁ、レゼル。」
「もちろんっしょ。シガレと俺っちに、仕留められない獲物はないっしょ。」
ここは、〈悪魔の茶会〉の本部。
「ギャゼル、ティルガ。例のモノは手に入ったか?」
「“シャドウ”様。此方になります。」
「うむ。どうやら合っているようだな。ご苦労。次の指令を待て。」
「「ハッ!」」
“シャドウ”と呼ばれた、黒いローブを着、フードを被った人物が、去って行く。
「んじゃ、俺達も仕事に戻るか~。」
「そうするっしょ。」
「ギャゼルさん。我々は部屋で待機していましょう。」
「だなッ!」
◇
「クーディオ様。例のモノを持って来ました。」
「ご苦労“シャドウ”」
「ハッ!」
“シャドウ”が、衝立を挟んだ向こう側の人物に話しかける、そして自分の持っていた紙を置き、下がった。すると、紙が浮き衝立の向こう側へ飛んでいった。
「ほう。これが、『黒ノ書』の断片か………」
「本物みたいだね、クーディオ」
「あぁ、シャレル。もうすぐだ、もうすぐ最強の兵器が手に入り、この世界を我が物とし、別の“界”をも征服する事が出来る!」
「だね。後は、“ブラック”と“姫巫女”がいれば、完璧だね。」
「ククククク。」
「ふふふふふ。」
暗い部屋に、クーディオとシャレルの笑いだけが、響き続けた。
謎の集団が出て来ましたね。