第13話『指名依頼』と『迷宮』
朝が来た。
昨日の事が夢じゃないかと思いつつ、着替える。ちなみに、服はリラが選んでくれた。
「ムト、おはよう。」
「リラ、おはよう。」
部屋に入って来たリラが、挨拶をした後抱きついてくる。どうやら、夢じゃなかったらしい。
「そういえば、大丈夫なのか?」
「何が?」
「第一王子達の事。」
「あぁ、それなら頼りになる人達に頼んだから、大丈夫。」
第一王子達にをどうにか出来る人物って…………いや、考えないようにしよう。
「今日こそは、ギルドで依頼を受けよ!」
「そうだな。」
ということで、俺達は冒険者ギルドに行く事にした。
そして、冒険者ギルドに入ると
「あぁ! リラさん『指名依頼』がきていますよ。」
「誰からですか?」
「ギルドマスターです。いま、マスタールームにいます。」
「分かりました。行こう、ムト。」
「おう。」
ギルドマスター直々に依頼か…………なんだろうな? というか、俺も一緒に行っていいのか?
そんな事を思いつつ、リラと一緒にマスタールームに入る。
「よぉ! よく来た。」
「クゼルさん。依頼はなんですか?」
「依頼は………っと、その前に、そいつは?」
俺を指差すギルドマスター。
「私のクランのメンバーです。強さは保証しますよ。」
「そうか、よし! 依頼ってのは調査だ。」
「調査?」
「あぁ。だが、ただの調査じゃない。」
そう言ってニヤリと笑い。
「迷宮の調査依頼だ。」
「迷宮!?」
「そうだ。」
迷宮とは、試練神が、この世界に生きる者達に与えた“試練”の一つと言われている。
塔のようだったり、洞窟だったり、様々なタイプが存在する。だが、この国には迷宮はなかったハズだ。
「最近、王都の近くにある森の中で見つかってな、入り口は洞窟、中は異次元タイプだ。」
異次元タイプとは、十階層ごとに内装と、出てくる魔物の種類が変わるモノだ。
「それで、調査とは?」
「あぁ、初心者でも行けるかどうか。また、どんな素材が取れるかどうか、色々調べてみてくれ。」
「成る程分かりました。で? 報酬は?」
ニッコリ笑顔で問うリラ。
「迷宮内で手に入れたアイテム、それに、金貨20枚でどうだ?」
「いいでしょう。引き受けます。」
「よっし! ありがとな、これは地図だ。」
「では、行ってきます。」
「おうよ! 頼んだぜ。」
話がすんだので、俺とリラは迷宮に向かう事にした。
◇
「えーと、ここかな?」
「みたいだな。」
王都から出て、森の中を歩く事二十分。俺達は迷宮に着いた。
「それじゃ、入るか。」
「うん。」
洞窟の中に入り、少し歩くと、周りの景色が森に変わっていた。
「最初は森か…………」
「だね。…………あ、さっそく来みたいだよ。」
前方から『森林大蛇』が、その長い首を持ち上げて現れた。
「【風刃】!」
リラが放った魔法により、『森林大蛇』の首が切断され、全身が光となって消えた。これも、迷宮特有の現象だ。倒した魔物は光になって消え、アイテムを落とす。
「〔森林大蛇の牙〕だって。」
「普通だな。」
「だね。」
たまに、凄いモノも落とすらしいが、今回は普通の素材だった。
「まぁ、この調子でどんどん行こ!」
「おう。」
そして俺達は、さらに迷宮の奥へと進んで行った。
迷宮突入! 久しぶりの戦闘です。