第11話『面倒事』と『王城図書館』
「リラ。そろそろ返事を聞かせて欲しいな、僕のクランに入る。とね。」
「お断りします。」
「謙遜しなくていい。君は、僕のクランに入る資格が十分にある。」
こいつはバカなんだろうか? リラがキッパリ断っているのに、謙遜してると思うとは………
「間違えました。」
「そうだろう。さぁ! 僕のクラ「先程自分のクランをつくりました。」ンに…………え?」
驚いた顔をするイケメン。これで、納得するだろう。
「待ちたまえ! 一人ではクランをつくれないよ、リラ。」
爽やか笑顔で、言ってのけるイケメン。こいつは、俺が見えないのだろうか? リラが、眉をひそめる
「一人ではありません。彼と私、二人です。」
「その無能と? 冗談はよしたまえ。」
「たしかにな!」
「そうだ! そうだ! なんで無能と組むんだ?」
「英雄と無能。これっぽっちも釣り合わねぇよ。」
ギルドにいる人のほとんどが、笑いだす。それに比例して、ぷるぷると震えだすリラ。かなり怒ってるな、ここは一度帰りますか。
「リラ行こう。此処にいても意味ない。クラン登録はしたし、一度帰ろう。」
「…………うん。」
不服そうにしながらも、俺の後を着いてくるリラを、後ろに確認し前を向くと、炎の弾が飛んできて、直撃した。
「無能のくせに、僕のリラを連れて行こうとするからだよ。」
「………てめぇ。」
「おや? まだ生きてるのかい。無能のくせに頑じょ…………へ?」
驚愕の表情を浮かべるイケメン。そんな事はどうでもいい。
「リラに当たったらどうするんだこらぁ!」
「ぐぼほぉ!」
『ベキッ!』『ボキッ!』
俺は、イケメンの頭を掴み、床に叩きつけた。
「「「「「「……………へ?」」」」」」
周りにいるヤツらは、何が起こったか分からないようだ。
「次やったら、その顔じゃがいもみたいにしてやる。…………んじゃ、帰るかリラ。」
「うん♪」
さっきとは、うってかわり、満面の笑顔を浮かべるリラ。何がそんなに嬉しいのだろう? そんな事を考えながら、一度宿に戻った。
◇
「それで、これからどうする?」
「ん? そうだな~」
宿に戻って来たが、この後どうするか決めてない。今さらギルドには戻れないし
「そうだ! 図書館とかないか?」
「図書館?」
「あぁ、別の国だとか、別の大陸の情報が欲しい。ほとんど知らないから。」
「成る程。いいよ、案内する。」
「ありがとな。」
リラに案内してもらい、図書館へと行く。図書館には20分程で着いた。外見は城だ………………城? ……城!?
「いや、図書館じゃなくて、城じゃん!?」
「ん? 図書館だよ。」
「いやいや、城だよ!?」
「あぁ、城の中にあるんだよ。」
「つまり、王城図書館?」
「そう。さっ、行こ!」
簡単に言ってくれる。王城図書館は王族か、王族に認められた者しか利用出来ないハズだ。国家機密が書かれた本だってあるハズだぞ。
それが、分かっているのか、いないのか、入り口へと向かうリラ。というか、入れるのか?
「すいません。王城図書館を利用したいんですが。」
「これは、これは、リラ様。どうぞ、お入りください。」
入れちゃったよ。リラの連れだということで、俺も入れてしまった。
そのまま、城の中を歩いて、お目当ての図書館を見つけたので、中に入った。
「本がいっぱいだな。」
「そうだね。えーと、大陸や国の本は…………あ、ムトこっち。」
「おう。」
その後、手分けして情報をまとめた。
まずは、大陸について。この世界ヴォルテには五つの大陸がある。
“イルノア大陸”
俺達が暮らすハルリア王国がある大陸で、五つある大陸のうち最も大きい。
さらに、五つの有名な大国がある。
“ラドア大陸”
イルノアの西側にあり、自然豊かな大陸で“妖精族”や、“エルフ”が多く暮らしている。
“シーディア大陸”
ヴォルテの中央に位置する大陸で、“勇者召喚”を行える“ロードル聖王国”があるので有名だ。
“タルベア大陸”
最北に位置する大陸で、雪と氷に包まれており、独特な生活が営まれている。さらに、数多くの伝説が存在する。
“ヤマテア大陸”
イルノアの北に位置する最も小さい大陸で、多くの島々がある。あまり他大陸との交流がなく、独特の文化が発展した大陸だ。
以上がこの世界にある大陸である。
「う~ん。次に行くとしたら、何処だ? タルベアは遠すぎるしな~。」
「普通ならシーディア。次点でラドアだね。ヤマテアは、ヤマテア行きの船がほとんど出てないから駄目だし。」
「だな。まぁ、もう少し情報を集めてからでいいだろ。」
お次はこの“イルノア大陸”にある五つの主要国を紹介だ
“ハルリア王国”
俺達が暮らす国で、様々な種族が平等に暮らしているので有名だ。理由はここの王族が、元は冒険家だった事と、冒険者ギルド本部があるためだろう。他大陸にある国と比べても、最も暮らしやすい事で有名だ。
“ザーレグ帝国”
魔導工学が発展した国で、強力な魔導兵器があるので有名だ。人族至上主義で、他の種族はほとんどが奴隷という扱いだ。
“リヒル聖教国”
『全能神』を信仰する聖職者達によってつくられた国で、他の神の信仰者でも快く迎えてくれる国だ。まぁ、過激な聖職者もいるが。後、“聖女”がいることでも有名だ。
“ヨルメア獣王国”
獣族達によってつくられた国で、ほとんどが人族からの迫害にあった者達であり、人族はあまりいい顔をされない。
“ノルトール魔王国”
魔族達によってつくられた国で、現在は“ザーレグ帝国”と戦争をしている。国境付近で戦っているらしい。
以上が“イルノア大陸”の主要五国だ。
「ザーレグはないとして、リヒルと小国を経由して、港がある場所にいくか。」
「だね。ヨルメアはいい顔されないし、ノルトールは遠すぎるから。」
「よし! 今後の予定も決まったし、今日は帰るか。」
「うん!」
大陸と国の情報を調べ終わったので、リラと一緒に帰ろうとした時。
「リラがいるって、聞いてきたんだけど!」
青いドレスを着た、どこからどう見ても王女様と言える人が、図書館に入って来た。
また、面倒事の予感。
ザーレグが、ノルトールに戦争を仕掛けた感じです。