えらい事に大人の階段登りかけました。
俺とペスタークは鎖で繋がれ、馬車の揺れに身を任せ警備兵の詰所に向かっている。詰所に向かっているとは認識している筈のペスタークなのだが、ペスタークは笑顔で俺の腕を組み頭をすり寄せてくる。
暇な俺は只目的の場所に到着を待ちボーッと色々と考えていたのだ。闘技場での俺の望む結果が得られなかった、そうそれは俺が武功を示し魔族と人間の関係をより良くする為に、出世し権力でそれを行うという考え・・・さてこれからどうしたものやら・・・
そんな俺に気を使ったのか、ペスタークが俺に言葉を掛けてくる。
「のぉ〜お前様、これ食べるかえ?」
と俺に黒い板キレを見せるのである。
それを見た俺は・・・
「何かのイジメなのか?」
とペスタークに言葉を返す。
「ふふふふ」
とペスタークは笑い、その黒い板キレを半分に割ると、片方を俺に渡し、残りを自分の口に放り込むのである。
「やっぱり、美味いの〜」
とホッコリするペスタークを見て「食べ物なのか!」と認識して、半分騙されたと覚悟して、俺もその黒い板キレを口に放り込む。
すると・・・
それは口の中で直ぐに溶け、俺の舌に今迄味わった事が無い程の甘い刺激を与え、俺もペスターク同様にホッコリしてしまうのである。
こんな甘い物を食べた事が無い俺はペスタークに質問する。
「こんな甘い物食べた事がない!何て名前なんだ?」
するとペスタークは自身たっぷりな顔をして、その食べ物の名前を教えてくれる。
「これはの〜チョコレートと言う食べ物じゃ!」
「チ、チョコレート?!」
俺はこの世界でもう1000年は生きているが、そんな名前の食べ物は聞いた事が無かった。不思議そうにしている俺にペスタークは言葉を続ける。
「この世界には無い食べ物じゃ!」
「この世界には無い???」
「そうじゃ!これは異世界の食べ物じゃ!」
「異世界???」
もうペスタークが何を言っているのかサッパリな俺、そんな俺を他所にペスタークは言葉を続ける。
「世界はの、今居るここだけでは無いのじゃ!」
「世界は幾つもあるのか?!」
「そうじゃ、じゃが其れの干渉は神のみに与えられた特権、お前様が知らなくても仕方ない事じゃ!」
「どうやって干渉するんだ?!」
「ふふふふ、それはの、神位を超える魔法!」
「神位を!!!」
「その魔法の名を【異世界転生】と言うのじゃ」
俺は目からウコロであった!神位を超える魔法の存在、世界は複数存在する事実・・・
固まっている俺にペスタークが又見た事が無い物を俺に具現化して見せた・・・
「ほれ、これも食べ物じゃ、名をポテチと言う」
俺はキラキラ光る袋に入る、ポテチなる物を1枚取り出し口に放り込む。それはサクサクしており、絶妙な塩加減が俺の舌で踊るのである。
「マジか!」
その美味しさについ言葉を発する俺、そんな俺を見てニッコリ笑うペスタークは・・・
凄く可愛いかった・・・
そして俺は一つペスタークの行動に理解出来ない部分があり、質問してみる事にした。
「なぁ〜なんでキスなんかしたんだ?」
その言葉を発した俺は赤面して、ペスタークの顔が見れなかった。その質問をされたペスタークも顔を伏せ、赤面して俺の問いに答える。
「い、異世界の書にあったのじゃ!確か・・・人工呼吸と言ったかの、気を失った者にキスすると目覚めるとな・・・」
俺はそれを聞いて一瞬キョトンとするものの、顔が笑みになり、ペスタークの頭を撫でて・・・
「ありがとう」
と自然に言葉が出た。顔を下げたまま俺に頭を撫でられ更に赤面する、ペスタークはまた可愛かった・・・
そして俺はどうしても、ペスタークに聞いておかなければならない事がある・・・
それはペスタークにしか聞けない質問であったからだ。ペスタークは魔神である。つまり神である。そんなペスタークに俺は、今迄疑いながらも、それを信じて今も尚それにすがる事柄を、どうしてもハッキリさせたかった!
そう・・・
それは・・・
0から何かを創り出せるのか?
しかしそれを聞いてしまっていいのか?もしそれが否定された場合、俺はこのまま冒険を続ける自身は無かった・・・
だが俺はペスタークに言葉を掛ける。
「なぁ〜ペスターク・・・」
「どうしたのじゃ?お前様?!」
「・・・どうしても聞いておきたい事があるんだが・・・その・・・」
「・・・う・・・うん・・・」
ペスタークは頬を赤く染め、姿勢を正し、顔を少し下に向けるものの、俺の話をちゃんと聞こうとする態勢を作る。
≪ん?あ、あれ?何か反応が違う気が・・・≫
「えっ~と・・・」
と考える俺も何故か、姿勢を正し、顔を少し下に向け、頬が熱くなる・・・
暫くそのまま2人に沈黙が続く・・・
その沈黙の中先にペスタークが話し出す。
「ワ、ワシの兄は多分賛成してくれると思うぞ!」
《えっ兄?!》と俺は衝撃な事実を聞いてしまうのである。しかしそんな事を聞きたくて言葉を掛けた訳ではない俺・・・
そんな俺を他所にペスタークは話を続ける・・・
「姉もなんだかんだと、賛成してくれるぞ!」
《えっ姉ちゃん?!》
「母も大丈夫じゃ!問題は父かの・・・」
《御両親健在なんですね・・・》
「まあ〜爺ちゃんはワシに甘いでの、婆ちゃんと父を何とか説得してくれるじゃろ・・・」
遠い目をする俺・・・
「問題は分家連中じゃの・・・」
《へぇー本家なんだ・・・》
その後ペスタークは、分家の家系図を俺に教え、誰が何が好みで、誰が礼儀作法にうるさい等の話が長々と続き、もし反対されたら誰が反対した者を倒すか等になり、結局俺は本来するべき質問をしないまま、目的地に到着する事となったのである。
馬車から降りた俺とペスタークは何故か警備兵の詰所では無く、貴族の屋敷の前で降ろされる。意味が分からずポケェ〜とその素晴らしい貴族の屋敷に目を向けていると・・・
俺とペスタークの鎖を外し・・・
「どうぞ、こちらに」
と警備兵の一人に屋敷の中に案内されるのであった。
俺とペスタークは屋敷の接客の間らしき所に案内され・・・
「しばらくお待ちください」
と警備兵は出て行き、接客の間は俺とペスタークだけになる。
そんな中・・・
何故か・・・
ペスタークは俺の膝の上に座り、俺の首に手を回し、笑顔で顔をスリスリと擦り寄せてくる・・・
悪い気はしない俺だったが、≪俺は多分ミリアが好きだ!そんな俺はペスタークにしてやれる事は無い≫とキチンと言っておくべきだと判断した俺は、首に回してる手を取り、ペスタークを膝から滑り落とし、ペスタークを押さえ込む様な姿勢を取ると、真面目な顔をしてペスタークに言葉を掛けようとした時・・・
ペスタークは俺と目を背らし、頬を赤く染めて、先に声を発するのである・・・
「や、優しくの・・・」
「・・・・」
俺はその意味が全然理解出来なかった・・・理解出来ない俺は今の状態を目視で確認する。俺はぺスタークの両手をぺスタークの頭上で抑え込み、俺の片足がぺスタークの足と足の間で膝を付いていた、そしてぺスタークは目を瞑り、俺の方に顔を向け、唇を細くて何かを待っている様であったのである。
俺の顔が下から一気に赤くなる・・・俺の心臓は躍動し、その音が俺の中で響き渡る・・・
そして俺の中の何かが失われていく感じがした・・・
俺は唇を細くして少しづつぺスタークに顔を近づける・・・
分かっている!分かっているが止まらないのである!!
こんな俺を最低と言う者が居るであろうか?確かに世界の半分の人々は俺のこの行動を見て最低と罵るかもしれない・・・だが!そのもう半分は腕を組み「グッジョブ!」と頷き言ってくれるのではないであろうか?嫌・・・きっとそうだ!!俺はそう理解して体が求めるまま行動する事にする・・・・
そして・・・
後もうほんの数センチの所で・・・
「コホン!」
俺とぺスタークは目を開けその状態で音がする方に顔を向ける、そこにはそんな俺達に私居ますから的な咳を一つワザとらしくした女性が居るのである・・・
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