えらい事に舐めてました。
闘技場運営者の関係者が俺とアルマに声を掛ける。
「ルー様・アルマ様準備はよろしいでしょうか?」
「ああ、いつでも行ける!」
俺達は大会運営者の関係者の案内されるがまま足を進めて登場の合図を待つ。
『誰がここまで勝ち上がると予想したことでしょうか?しかし実力は本物!!さぁ~今日もみせてもらいましょう。
魔人ルゥゥゥーーーー!!!
アンドォォォーーー!!!
アルマァァァーーー!!!』
「うおおオォォォーーー!!!!!」
俺達は高々と手を挙げて入場する。
『そして前回準優勝の実力の持ち主!!我らがぺスターク嬢が現れるまで、この闘技場の英雄であった人物!!さぁ~紹介しましょう!!
ロミオォォォーーーー!!!
アンドォォォーーー!!!
ジュリエットォォォーーー!!!』
「うおおオォォォーーー!!!!!」
俺達の対戦相手はそれはもう仲がよろしくて、登場もお互い手を繋ぎ、互いの顔を見合い、それはもう見ている方が恥ずかしかったのである・・・
それを見て遠い目をする俺とアルマ・・・
しかし「何かいいなぁ~」と思う俺・・・
そしてアルマの方に振り返りアルマに言葉を掛けるのである。
「なぁ~アルマ~俺らもやってみる?」
アルマは俺のその言葉で凄い嫌な顔をするのである。
≪なんで冗談通じないのかなぁ~≫と少し怒りながら結構ショックな俺、ガラスのハートにヒビが入る。
黒服の男の説明が終わり、俺達を開始位置迄下がらせると、黒服の男は足早に闘技場の舞台を降りる。
そして・・・
「ゴォォォォォーーーーン」
と開始のドラムが鳴らされる!!!
俺達の対戦相手ロミオは屈強な戦士であった。身長も高く体格もいいそして何より、その目がダンによく似ていた。それはダンと目と瓜二つと言う事では無く、ダンと同様に濁りの無い目をしてるという事である。
そしてジュリエットは勿論女性であり、白いローブを纏いそれはもう超が付く程の美女であった。
それに比べてと俺はアルマを見る。思わず鼻で笑ってしまった俺、それを横目で見ていたアルマは俺の足を中々な強さで踏む・・・
そうこうしている間に俺達の間を詰めていたロミオが手に持っている大剣で、上段に振りかぶりそれを振り落とす・・・
勿論俺とアルマは楽々とそれを避ける。
大剣が闘技場の地面を割りその破片がそこら中に飛び散る、その飛び散った破片がロミオの頬を掠め、ロミオの頬から血が流れる。
それは全く大した事が無いちょっとした傷であったのだが・・・
何故かジュリエットは中位魔法を使いその傷を治す・・・
それを見た俺とアルマは・・・
「・・・・」
遠い目をして言葉が出なかった・・・
そして俺とアルマは何の打ち合わせもしていないのだが、散らばった破片を拾うとそれをロミオに向けて投げる・・・勿論手加減はしている。
ロミオは大剣を盾にしてそれを防ぐのだが、俺達は二手に分かれてロミオの顔が見える角度迄移動すると、遠い目をして投石を繰り返す。
ロミオの顔が傷つく度にジュリエットが回復魔法を繰り返し使用する。何度も何度も回復魔法を繰り出し・・・やがて、ジュリエットは魔力を失い膝を落とし両手は地面に付けて肩で息をする。
それを見たロミオが・・・
「おお~ジュリエットぉ~」
と戦いの最中であるにも関わらずロミオは俺達に背を向けジュリエットの元に駆け寄る。
俺とアルマも遠い目をして2人の元に歩み寄る。
ロミオとジュリエットは完全に2人の世界に入り込んでおり、俺達の事は完全に無視し話をしている。
「おおジュリエット何故あなたはジュリエットなの?」
「おおロミオ何故あなたはロミオなの?」
完全に2人にドン引きしている俺とアルマ・・・
そんな2人に俺は声を掛ける。
「なぁ~ジュリエットさん、あんたセラフだろ?」
と俺は率直に質問する。
【セラフ】元々は教会が信仰する対象の種であったのだが、ある事件をきっかけにその種は魔族と認識され、地上に居るセラフは今現在その美しさから貴族専用の奴隷と成り下がっている。職業でいう所の僧侶にあたる種である。
それを聞いたロミオが凄い鋭い目で俺を睨み付ける。
≪おっヤマ勘だったけど当たったか!と俺は少し嬉しくなる。≫
そんな2人に俺がさらに言葉を掛ける・・・
「なぁ~この大会俺達に任せてくれないか?」
「・・・どういうことだ?」
とロミオは鋭い目のまま俺に返答する。
「魔族と人間の今のこの現状を何とかしてみせるよ」
と俺はニッコリ微笑みロミオとジュリエットに言葉を送る。
それでもロミオは俺を睨み付けているのだが・・・ジュリエットがロミオの肩に手を置き俺に言葉を掛けてきた。
「どうか良しなに・・・」
そういうとジュリエットは俺とアルマに頭を下げる。
前のアルマの戦いを見ていた筈であるロミオとジュリエットは、もしぺスタークに届くとすれば俺達であろうとそう解釈してもおかしくなかった、そこで俺は2人の関係性を踏まえてそう言葉にしたのである。
それを見たロミオは・・・
「本当に勝てるのか?」
と俺に質問してくる。
そして俺は再度ニッコリ微笑み・・・
「ああ任せてくれ」
と言葉を掛ける。
ロミオは引っ掛かる部分はあるものの・・・
「では、頼む・・・・」
とロミオは俺達頭を下げにぺスタークとの決勝を譲ってくれたのである。
ロミオとジュリエットは手を取り、お互いの顔を見合い、闘技場関係者の元に歩み寄ると負けを宣言して、俺とアルマは決勝に駒を進める事になった。
そして闘技場の舞台から去ろうとする2人に大切な事を伝える。
「この世には仮死状態にする薬がある、だから死んだと思っても24時間は様子を見るんだ!」
俺は凄くいい事をしたと自身満々でホッコリしながら闘技場の舞台を去る。
そして闘技場の選手控室のドアを開け中に入ろうとした時に、難しい顔をしているアルマが俺に声を掛けるのである・・・
「なぁ~ルーお兄ぃ~42時間じゃねぇ~」
それを聞いた俺は顔面が蒼白になり必死にロミオとジュリエットを探すのであった・・・
1時間の休憩を挟みとうとう決勝戦が始まる・・・
俺達の名前が呼ばれ俺達は闘技場に姿を見せる。
不安そうに闘技場の舞台でぺスタークを待つアルマ、手足は震え顔も引きつっている。そんなアルマの背中をポンと押す俺、振り返ったアルマに俺はまんべんな笑顔を作り言葉を掛けるのである。
「心配するなアルマ、俺達は2人だ!なんなら手を繋ごうか?」
「い、いらねぇ~よ!!」
とアルマは頬を赤く染めムキになり言葉を発するのである。
そんなアルマに・・・
「はははははは・・・」
と軽く笑う俺、それを見たアルマもさっきまでの震えは止まっており、顔も笑顔になっていた。
≪心配するなアルマ!俺の予想なら一瞬で決着が付く・・・と俺はアルマに心で語り掛ける≫
そしてぺスタークの名が呼ばれる。
『我らのぉぉぉーーー!!
ぺスタークゥゥゥーーーー!!!!!!』
ぺスタークはアリスとサティの時と同様に上着のポケットに手を入れ、口をモゴモゴさせてやる気が無い様にダラダラと登場する。
そんなぺスタークとは相反して・・・
「うおおオォォォーーー!!!!!」
と観客席に居る人々は今大会最大の盛り上がりである。テンションが上がっているのであろう人々の声は発狂に近い声で、その声が円形の闘技場に反響し、反響した声に更に声が重なり、それが何層も重なる、まるでこの世界が揺れているのか?と錯覚させる程の熱狂ぶりであった。
そして黒服の男が現れ、黒服の男の説明が終わり、俺達を開始位置迄下がらせると、黒服の男は足早に闘技場の舞台を降りる。
俺はマジックハンドを取り出してアルマに言葉を掛ける。
「なぁ~アルマ初手は俺に譲ってくれないか?」
「・・・ああ、いいけど・・・」
「すまない・・・少し待っててくれ!多分すぐ終わる・・・」
「???」
と俺の最後の意味を理解出来ていないアルマは不思議そうな顔をしている、俺はそんなアルマに笑顔を作るとぺスタークの方に体を向け、開始の合図を待つ・・・
そして・・・
「ゴォォォォォーーーーン」
と開始のドラムが鳴らされる!!!
開始の合図と共に俺はぺスタークに足をもたつかせて駆け寄る。そんな走り方は誰の目でも捉える事が出来、俺の姿を見た観客は俺を指差し笑うのである。
俺はそれを見て口元が緩む・・・
≪さぁ~油断しろぺスターク!!!≫
そんな俺を見てぺスタークは・・・
「はぁ~~~」
と深い溜息ををついて一気に俺との間を詰め、地面と水平に手刀で攻撃する・・・
勿論であるがそんな所に俺は居ない・・・そう【ドッペルゲンガー】である。
≪油断しきったその体に叩き込んでやる!!!≫
俺はぺスタークの背後に回り込むと、マジックハンドにスキル【気刀】を使用して最大の気を送り込むと下段に振りかぶり俺の最大攻撃力の1つの剣技を使用する・・・
≪これで終わりだぁぁーーー!ぺスタァぁぁーーーク!!!≫
「剣技ぃぃーーー!!!ラグナレクゥゥぅぅーーーー!!!!!!」
マジックハンドは黒く輝きそれは姿を変える、その輝きは周りの気体と光を吸収し渦の様にそれを飲み込み結晶を作り出す。その結晶がマジックハンドが動いた軌道に幾つも重なりそれは姿を現わせる・・・
それは氷であった。その氷は擦り合わさって音が聞こえる・・・
その音は雄叫びの様な音がする。1つの雄叫びでは無い、擦り合わさった2つの音、そう2匹の狼の咆哮の様な音・・・
それが剣技ラグナレクの力、この世の全てを氷付かせる、その氷の擦り合わせた音はスコル・ハティと呼ばれ、ラグナレクの力は太陽をも氷付かせる程の力がある。
それを俺は下からぺスタークに向かい振り上げる・・・
振り上げられたマジックハンドから天に向かい氷の柱が伸びて行く・・・上に行くにつれて肥大する氷の柱は空を覆い隠し太陽の光を遮断する。
俺は直ぐに剣技ラグナレクを解除する。
天に伸びる氷の塊はみるみる気体へと戻り太陽の光が差し込む、まばらに気体に戻る氷の隙間から見える太陽の光は其れは其れは神秘的で、人々もそれに魅入る。
そんな中唯一人肩を落としゲッソリしている俺・・・
≪その氷は太陽をも氷付かせる氷、そうこの一撃をまとも喰らえばぺスタークでも只では済まないだが・・・≫
≪どうも・・・≫
≪完全に油断していたのは俺らしく・・・≫
≪そうぺスタークは・・・≫
≪最初からそこに・・・≫
≪居なかったのである・・・≫
俺は額に汗をかきゆっくり後ろを振り返る。
俺の目に試合開始から1歩もその場から足を進めていないぺスタークが目に入る・・・
それを見た俺は・・・
「ドッペルゲンガーか・・・」
と呟く・・・
ぺスタークは口に入れている物を「ペッ」と吐き捨てて・・・
上着を脱ぎ棄て・・・
ほぼ裸の体を晒し・・・
「その技見た事あるぞ!!」
と言葉を発して・・・
鋭い目つきで俺を睨み付けて・・・
腰を落とす・・・
そして2つの手で器用に6本の魔剣を全て引き抜くのである・・・
ここまで読んで頂いてありがとうございます。




