えらい事に最低な人間に会いました。
俺とアルマはダンが倒れた後再起不能のダンに代わりロビンが負けを宣言して、TKO勝ちで次に駒を進める事になった。
俺がダンを抱えて闘技場を出ようとした時の事である・・・観戦していた人々の俺を見る目が冷たい・・・勝利者コールが上がるものの誰一人それを祝福する者は居らず、ただ会場は静まり返り俺の事を耳打ちする人々ばかりであった。
俺はそれでも構わ無いのだが・・・アルマは頭を下に向け、トボトボと俺の後に付いてくる。
《アルマには悪い事をしたな・・・と俺は心でそう思う》
闘技場の舞台を出て医務室のある位置を確認し、ふと後ろを振り返るとアルマは居なくなっていた。
「・・・まぁ〜仕方ないか・・・」
俺はそう呟き医務室に足を進めるのである。心配そうにロビンが俺の横に並びダンを気遣っている。医務室にダンを預けると俺は直ぐその部屋を立ち去り、闘技場の外へ出ようとした時・・・
「こらーー!!ルーのバカーー!!」
とアリスがカンカンに怒って俺との間を詰めてくる。
「すまん、すまん、やり過ぎた・・・」
と反省の言葉をかけるのだが・・・
「ルーなんて知らない!!」
とホッペを膨らませ、俺の顔を見てくれない。そんな俺に見兼ねて後に居たサティが・・・
「アリス様、ダン様の様子見に行きましょう」
と俺に気遣い言葉を掛ける。
アリスは俺に無言で「あっかんべー」をすると不機嫌そうに医務室の方に向かい足を進める。サティはアリスが見えなくなると・・・
「ありがとうございます」
と俺に深く御礼をしてアリスと同じ方に足を進める。
俺はそんな2人を見送ると、闘技場の外に出ようとした時、待ち伏せていたアルマに捕まるのである。
「なぁ〜、ルーお兄ぃ〜人が良すぎないか!!」
どうも怒っているみたいだ・・・
「あんなの誰が見たって鍛錬試合たぜ!何でハッキリ言ってやんないんだよ!!」
そう言うと泣き出したアルマ・・・
「俺悔しいよ!!」
俺はそんなアルマの気持ちが嬉しくてつい笑顔になり、アルマの元に足を進めて、アルマの頭を撫でる。そしてアルマに声を掛ける・・・
「構わないさ、他でも無いお前が分かってくれるなら、俺はそれで満足だよ」
そう言うとアルマは俺に抱きつき静かに泣くのである。
そう俺と対峙したダンは冒険者そのものの剣さばきであった。つまり我流である。基本を知り自分にあったスタイルを望み基本を崩すのはいいのだが・・・
ダンの剣は基本を知らない只の我流で、恐らく剣を教える者が居ないのであろうと思われる。
サティが扱うのはダガーで、ダンに剣を教える事が出来なかったと予想する俺は、サティも人知れずダンの剣で悩んでたのだろう、さっきのお礼がそれを物語っていた。
そしてダンは非常に短いあの戦いで基本を身に付けた、何故なら最後は俺と同じ動きをしていたからだ。
それはスキル【賢人からのエール】によるものなのか、ダン自身の頑張りによるものなのかは分からない・・・嫌・・・愚問だな!ダンの場合は後者だ!俺はそれを胸を張って断言する事が出来る。
そんなダンに次剣を合わせるのを楽しみにしているよ・・・と俺は心でダンとの真剣勝負を望むのである。
そうそうアルマの方の戦いはというと、開始のドラムと同時にひと蹴りで間を詰め、足をなぎ払い、マウントを取り、拳を顔の前で寸止めで決着がついた。その後俺とダンの戦いを観ていたのである。アルマが間を詰める際3本の矢が放たれたらしいのだが、アルマはそれを手で払い除け、血は出て無いものの
「ルーお兄ぃ、手がいてぇよ」
と言っていた。
アルマは人間ではあるが、その体の物質はエイシェントドラゴンであり、その強靭な皮膚を通し痛覚に影響を与えたのは中々なものである。
気になるのはロビンの右目、恐らくあれは魔眼であると推測される。
【魔眼】名のとおり魔獣の目である、魔獣の目をくり抜き人間に移植する。移植された人間は魔獣と同じ特技・特徴を得る事がある。人間の一部の武闘部族に伝わる伝統儀式の一つである。
俺の服で涙を拭い、鼻をかみ、泣き止み落ち着いたアルマが俺に話掛ける。
「なぁ〜ルーお兄ぃ〜何でダンの兄ちゃん、直してやらないんだ?」
率直な意見であった
「ちょっと難しい話をするぞ、いいか?」
「お、おう!!」
と身構えるアルマ
「回復系とされている魔法はな、細胞や血を作り治すのでは無いんだ!」
「????つまりどういう事なんだ?」
「魔法は物質を作成する事は出来ない!つまり存在する物を呼び出したり、構成し直したりする事しか出来ないんだ・・・」
「じゃーなんで直るんだよ!!」
「それはな時間を戻しているからだよ」
「えっ?!」
「傷付いた場所を傷つく前に戻すんだよ・・・それはな傷付いた後の経験を失うと言う事でもあるんだ・・・」
「そっか・・・」
そうダンの傷を治すという事は俺が教示した事を無に帰す事になる・・・恐らくアリスが回復させようとするだろうが、サティが止めるでろう。
そして0から何かを作り出す・・・それは神たる者だけが行える力なのだと俺はそれを信じているのである。
それ以外話す事も無くだた沈黙が流れる・・・
GグループとDグループの試合が始まったのであろう観客席が騒がしい・・・
勿論嫌われ者の俺は観客席に行く事も出来ずだた時間が過ぎるのを街待つしかない・・・
そんな中アルマが今迄引っかかっていたのであろう、質問をしてくる。
「なぁ〜ルーお兄ぃ、レイラって奴隷だったのか?」
返答に迷う俺だったが・・・
「ああ、そうだ・・・」
と正直に答える。
「ふぅ〜んそうか・・・」
とそれ以上はアルマは聞いてこなかった・・・
そんなこんなでGグループとDグループの試合も終わり、本来ならアリスとサティペア対CグループとDグループの勝ち残りが戦う筈であったのだが、CグループとDグループの代表が揃って腹痛を訴える自体になり、1時間のインターバル後俺とアルマ対GグループとHグループの勝ち残りの対戦となった。1時間が経過して俺達は闘技場の真ん中で黒服の男の説明を受け、開始の合図を待っている。
対戦相手はワービーストの男身長は約2mあり筋肉もモリモリである、しかし至る所傷が残っており回復しきれていないと思われた、もう一人は魔法使いの人間であろうと思われ、ワービーストの男を前に出し自分は後ろで安全に魔法を繰り出すのであろうと予想される。
そんな中アルマが俺に話掛けてきた・・・
「ルーお兄ぃ、俺一人でやるよ」
その顔からはもう不安な気持ち・苛立ち等は見られず・・・
「ああ、なら頼む」
と俺は心配する事無くアルマに託すのであった。
そして・・・
「ゴォォォォォーーーーン」
と開始のドラムが鳴らされる!!!
アルマが一蹴りでワービーストの男との間を詰めて拳を顔にクリンヒットさせる、ワービーストの男は意識を持っていかれたと思ったのだが、その瞬間両手でアルマを抱きかかえる。
まぁ~直ぐに抜け出せるだろうと思われたのだが・・・以外と苦戦している様で中々抜け出せないでいる。
それを見た魔法使いの男が魔法詠唱を始め・・・魔法か!と俺は少し警戒していたのだが・・・
何故か魔法使いの男は・・・
「イラオ【中位爆裂魔法】」
とアルマとワービーストの男に放つ・・・
勿論アルマにそんな魔法では傷一つ負わないが、ワービーストの男は苦痛に顔を歪めている。
思わず俺は・・・
「オイ!!」
と魔法使いの男に声を掛けると、その男は不気味に笑い俺に声を掛けてくるのである。
「魔人ともあろうお方が、奴隷が傷付くのがそんなに嫌なのかい?ヒィッヒヒヒ・・・」
「何ぃぃーーー」
俺は苛立ち拳を握り締める。すると・・・
「ルーお兄ぃーーーー!!!・・・・俺がやる!!」
とアルマは凄い怒っている様であった。
「ああ、そうだったな・・・」
と俺は握りた拳を解きただ魔法使いの男を睨み付けるのである。
そして・・・
「イラオ【中位爆裂魔法】、ヒィッヒヒヒ、イラオ【中位爆裂魔法】、ヒィッヒヒヒ」
と不気味に笑いながら、ワービーストの男諸共アルマに魔法を連発するのである。
その度に苦痛で顔が歪むワービーストの男、至る所に傷が広がりもはや満身創痍である。しかし両腕を解こうとしているアルマは手こずっている・・・
何がワービーストの男をそうさせているのかは分からないが・・・恐らく弱みを握られているのだろう・・・この場合だと人質というのが一番シックリくるだろうなと俺はそれを理解する。
魔法を連発し息が上がる魔法使いの男は再び俺に話かけれくる・・・
「そういやぁ魔人の旦那、あんたんとこのレイラありゃいい女だったよ、ヒィッヒヒヒ」
「・・・・」
「夜な夜な〇〇〇〇や××××・・・ああ、いい女だったよ、ヒィッヒヒヒ、いい声してたぜ、今思うと手放んじゃーなかったよ、ヒィッヒヒヒ、あんたも楽しんでるんだろ?、ヒィッヒヒヒ」
「・・・・」
俺がそれを聞いて一歩足を踏み出した時・・・・
「ルーお兄ぃ・・・・・後頼めるか?」
俺は足を止め・・・
「ああ」
と一言言葉をアルマに声を掛ける。
俺のその言葉を受け取ったアルマは、ワービーストの男の両腕から自分の両腕を抜き出すと、その抜き出た両腕でワービーストの男の両腕を締め、いとも簡単にへし折る。
苦痛で言葉にならない声を発して両膝を地面に付けるワービーストの男・・・
それを見た魔法使いは後ろにヨロヨロと後ずさり、顔を蒼白に染めている。
体が解放されたアルマは魔法使いの男を鋭い目つきで睨み付け、俺に小さな声で言葉を送る。
「ルーお兄ぃ・・・すまねぇ~」
俺はその言葉を聞いて・・・
「ああ、思いっきりやれ」
と俺は言葉を返すのである・・・・
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