えらい事に懐かしい人に会いました。
あの出来事から1週間が過ぎレイラと俺は人々に認められ街の路上で何時もの様に演奏をしてGを稼いだ後の帰り道であった。
「号外ー!号外ー!700年の時を経て教会が認める2人目の勇者か現れた!!」
と一人の男が紙を持ち大声で叫んでいたのである。
「ルー様、勇者ってなんですか?」
「ああ、人間の英雄だよ」
と俺は簡単にレイラに説明する。
【勇者】職業でも特殊な位置に設定されている勇者の職業は教会の管理下に置かれ好き勝手に冒険出来ない可哀想な存在である。3つ程の職業をマスタークラスまで上り詰める事により加護値が適正値となり、そこで初めて成る事が出来る特殊な職業である。
まぁ〜俺みたいな存在が他にも居ても変ではないだろうと俺はそれを消化する。
勿論ではあるが一人目は俺であった・・・教会の管理下に置かれ、俺はその窮屈さに1ヶ月程で教会から逃げ出し、次の転職は少し違うルートから行った事を思い出す。
「あの〜2人目って事は前に誰か居たって事ですよね?・・・ルー様、1人目の勇者の名前ご存知ですか?」
俺は冷や汗をかきながらその問いに答えた。
「ああ、確か【アルマ】だったような〜」
「アルマですか・・・ねぇ〜ルー様この子名前アルマでもいいですか?」
と俺にレイラは今抱いている赤児を少し持ち上げ問い掛けてきた。その名は俺が適当に勇者の時に名乗っていた名前であった。
「そうだな、名前付けてやらないとな・・・いいんじゃないか!」
「はい!お前の名前はアルマだよ〜」
レイラはそう言葉を赤児に掛けると赤児と戯れていた。そんな姿を見て俺はホッコリしてその場を後にする。
暫く歩き街の出口が見え始めた所で、俺は横に並び歩いては筈のレイラが居ない事に気が付いた。後ろを振り返るとレイラは目を見開きただ一点を見つめ・・・身体が震えていたのである・・・
俺はレイラが見る先に視線を合わせると、そこには黒いハットの奴隷商人が、子供の奴隷を引きずり街の外に足を進めている姿を捉えた。子供の奴隷の頭に布を被せてあり手足は鎖で繋がれていた、普通の奴隷の扱い方では無いと感じた俺は、黒いハットの奴隷商人の方に足をいつの間にか進めていたのである。
「すまないが・・・」
「あ〜なんだ、今忙しい・・・これはこれは旦那今日はどう言った御用で?」
相手が俺である事で急に態度を変える奴隷商人・・・
「いや、少し質問したいのだが・・・この子は?」
「あ〜いえ、廃棄処分ですよ旦那」
「廃棄処分?!」
「どこ行っても使えない奴でねぇ〜もう見切り付けて捨てに行くとこでして・・・」
「捨てに?!・・・何処に捨てに行くんだ?」
「ええ、魔界の門近くでさぁ旦那、鎖を杭で打ち付けときゃ〜魔獣が勝手に食べてくれるって寸法です・・・2、3日もすりゃ骨だけになってやすぜ」
俺は終始笑いながら話す奴隷商人に苛立ちを覚えるもそれを表に出さず言葉を続けた。
「買い取ろう、幾らだ?」
「へっ?旦那あっしの話聞いてやしたか?全くつかえねぇ〜奴で」
「いや、聞いてるさ、幾らだ?」
「へっ?・・・まぁ〜旦那がそう仰るならお売りしますけど・・・ホント知りやせんぜ・・・」
「幾らだ?!!!」
俺は苛立ちが表に出て言葉を発する。
「へっへい、じゃ〜2000Gで・・・」
俺は2000Gを具現化して奴隷商人に渡す。受け取った奴隷商人がその場を立ち去ろうとした時俺は再度奴隷商人に声を掛ける。
「今後もし処分する奴隷が居たら、俺の所に連れてきてくれないか?言い値で買い取ろう」
「へっへいこっちとしちゃ有難い話ですが・・・旦那あんまり奴隷に肩入れしちゃ身を滅ぼしますぜ」
「街の外のテントに居るから、必ず連れて来いよ」
俺は睨み付ける様に奴隷商人に言葉を発する。
「へっへい」
とその場から逃げる様に立ち去る奴隷商人、それを見てレイラが子供の奴隷に駆け寄り頭の布を取る。布取ると子供の奴隷の目からは滝の様な涙が流れており、声が出ない様に口に布が巻き付けてあった。レイラが口の布を解くと・・・
「うわ〜〜〜ん」
と子供の奴隷が声を上げて泣き出した。レイラはその子供の奴隷を優しく抱きしめて静かに涙を流すのであった・・・
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その後奴隷商人が1ヵ月に1度、多いい時で2度俺の元に廃棄処分と称する子供の奴隷を連れてきて、俺は奴隷商人の言い値でその子供の奴隷を買い取ったのである・・・
暫く時間が経つと子供の奴隷達はまるで自分の居場所を俺に示す様に、自分の種の特徴を生かした芸を路上の人々に披露する事になった・・・
リザードの子供達は戦士の力を生かし俺を使ってジャグリング、勿論失敗した時は俺は八墓村の助清になっていた。エルフの子供達は狩人の力を生かし俺の上目蓋と下目蓋でクルミを固定してウイリアム・テル、成功すれば割れたクルミの殻が俺の眼球にクリティカルをかますが・・・俺は成功を喜ぶエルフの子供達を見て涙目で笑顔を作るのである。モノケロスの子供達は召喚の力を生かし俺を餌に召喚獣を操っていた。
そんなこんなで子供達がドンドン増え路上で披露するのが苦しくなり、俺はカンタラの街の外に大きなテントを拵え俺達が芸を見せる場を作ったのである。そんな魔族を操る人間として俺はいつの間にか人々から【魔人ブー】と呼ばれる様になったのであるが・・・それがあんな事態を招く事になるとは俺はまだ知らないのである・・・
-----回想終わり------
そして現在に戻り今俺は食事を済ませレイラとアルマの会話に割って話をするのである。
「レイラ・アルマ話があるのだが・・・」
こんな風に話を仕掛けたことが無かった俺の以外な言葉にレイラとアルマが心配そうに俺を見る。
「ルー様どうしっちゃったんですか?」
「ルーお兄ぃ~風でも引いたか?」
「嫌、至って健康だよ・・・2日後に闘技場でペア出場の大会があるのだが・・・アルマと出場したいのだが・・・いいだろうか?」
俺の言葉にキョトンとする2人
「はい!・・・でも怪我するんですよね?・・・」
「何言ってんだよレイラ!ルーお兄ぃは最強だぜ!!」
俺は数回アルマと魔物の討伐に出かけた事がありアルマは俺の実力を少し知っている。
「でも急にどうしてですか?・・・」
「いや~最近腕がなまってな、軽く腕試しをと・・・」
「怪我しないですよね・・・」
とレイラは心配そうにしている。
「ああ、任せてくれ!」
俺は自信を持ってその問に答えた。
こうして俺とアルマは2日後の闘技場大会に出場する事になったのである。
勿論ではあるが俺が闘技場に出場するには理由がある・・・それは俺の名声を高めある程度の名声と地位を得れば魔族の奴隷制度を今よりも軽いものに出来ると踏んだからである。今はなんとかゆとりある生活が遅れているが、その内首が回らなくなる・・・それに俺が行っている行為はその場凌ぎであり、もっと根本的に解決しなければならないと思ったからである。
闘技場はそんな俺の名声を高める為に非常に効率のいい方法であり、ソロ活動出来ない俺にとってペア大会こそ俺の実力を最大に発揮出来る場所であった為、俺はペア大会出場する事に決めたのである。
そんなこんなで2日後俺とアルマはレイラと子供達に見送られた後、今闘技場のペア大会出場の受付をしようと行列の中に埋もれている・・・そして前に並ぶ闘技場参加者の話が聞こえてくる・・・
「今回の大会勇者御一行も参加するんだとさ」
「ああ、聞いたぜ!ふざけやがって、もう本選枠に組み込まれているそうじゃねぇか!」
「なぁ~どんだけ偉いんだよ!俺達は予選を経てそこから本選枠なのになぁ~やってらんないぜ!」
ふむ2人目の勇者も参加するのか・・・まぁ~俺には関係ないかなと思っていたのだが・・・そんな俺に声を掛ける懐かしい声がするのである。
「ルーさん!」
俺は振り返るとそこにはアイーダの酒場以来のご無沙汰だったダンが居たのだ・・・
「ダン!」
俺は思わず笑顔になりダンの場所へと駆け寄っていた。
「久しぶりだなダン!」
「ええ、ルーさんこそ!」
と俺達はガッチリ握手をする。
そんなダンの横に狩人と思われる女性が立っており俺に挨拶をする。
「あの時はホントに助かりました・・・ホントにありがとうございました」
と狩人の女性が俺に深く頭を下げるのだが・・・俺はこんな美女知らないと思っていたのだが・・・ハっと俺は思い出した・・・そうこの狩人の女性はアイーダの酒場で初級クラス戦士2人に絡まれていた狩人女性だった。
「いやいや、あれは俺じゃないよダンが君を助けたんだよ」
と俺はダンと狩人の女性の服装が目に入る。ダンは戦士の鎧に狩人の女性は動きやすい服を着ており、ここまでは普通なのだが・・・その鎧と服には教会の紋章が刻まれていたのである。そして俺は疑問をダンと狩人の女性に投げかける。
「もしかして・・・勇者御一行って・・・」
俺の言葉を濁した問いにダンは笑顔を作り返答するのである。
「ええ、俺達今勇者様の護衛を任されています」
ニッコリして笑うダンであったが・・・勇者の護衛ともなると中級・上級クラスの冒険者が依頼される難易度の高い依頼である筈・・・つまり言い換えれば今ダンの冒険者の地位はTOPクラスであるという事で・・・しかしそれは有り得ない、何故ならダンは冒険者を始めて1年程しか経っておらず、いくら才能があるとしても俺の常識から言うとそれは不可能なのである!!
そんな状況に混乱している俺に再度呼びかける声がする・・・
「これはこれはルー様お久しぶりですね」
と俺に深々と礼儀よく挨拶する女性・・・
「えっ???」
「あら?もう私の事お忘れになられたのですか?」
「い、いや・・・」
とその女性は俺の動揺にニッコリ顔を傾けて嬉しそうにしているのである。
覚えて居ない筈がない・・・嫌・・・忘れられない・・・アイーダの酒場で散々俺を弄び・・・コケにした女性・・・俺が宿敵と書いて友と言わしめた女性・・・
そう・・・俺に声を掛けてきた女性は・・・
サティであった・・・
「サ、サティどうして・・・」
と俺は驚き動揺してしまう・・・そんな俺に再び衝撃が訪れる・・・・
「ルゥゥーーーー」
勿論俺の知っている声であった!!・・・しかし有り得ない!!・・・何故ここに!!
俺を呼ぶ声はサティの後ろから現れ・・・俺の元に駆け寄り・・・形振り構わず・・・俺に飛び掛かる・・・
「えへへへへ!ねぇ~ルー私勇者になったんだよ!えっへん!」
俺に抱き付いた影・・・それは俺に生きる目的を教えてくれて・・・俺をペットとして扱い・・・俺に名前を与え・・・俺のご主人様である人物・・・
そうアリスだった!!!!
サティ・ダン・狩人の女性はそんなアリスに片膝を落とし武器を地に付け頭を下げるのであった。
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