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世界を変えれるだけの力を持つ俺の今後はどうなってしまうのだろうか?  作者: 陽空
第2章インティア王国・ユートピアと呼ばれる街カンタラ
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えらい事に俺の今の気持ちが分かりました。

 ご老体が何故?と思いつつも俺の体がご老体の魔法詠唱に反応し、俺は赤児を前に突き出し盾にしていた・・・俺は慌てて赤児を抱きしめて赤児守る様に構え直す。さあ〜いつでも来いと力んで先ほどの失態を無かった事の様に俺は振る舞う。


 しかしご老体は俺の考えとは別に・・・


 「ありがたや〜ありがたや〜」


 と次は感謝されたのである。どうやら害は無いらしいと判断した俺はご老体とコンタクトを取る事にしたのである。


 「あの〜すみません、どうかされましたか?」

 「あ〜いや〜大変失礼しました、余りにも縁起が良さそうなのでつい、色々と頼み事をしてしまいました・・・」


 と俺の問に答えると寂しい顔をするご老体・・・頼み事???と俺はイマイチ理解出来なかったが、まだレイラも買出し中で俺もする事が無かったので・・・


 「話ぐらいなら付き合えますよ」


 と答えるとご老体の周りに花が咲いた様に目を輝かせた。そしてご老体の話が始まったのだが・・・何故か・・・ご老体の話は自分の出生から始まり体重3000グラムで難産であった事や、なかなか泣かず産婆がお尻を何度も何度も叩いた事から始まったのである。


 そんなこんなでご老体の自伝を脳内に蓄積する俺、丁度ご老体の2歳の話になった頃にレイラは買出しを済ませ俺と共にご老体の話を聞く事になったのである。


 日が沈み始めもはや俺達の海馬にはご老体の自伝で埋め尽くされパンパンである・・・途中それと無く「明日にしませんか?」話を振るのだが・・・


 「あ〜なんだって?」


 と耳のそば手を開き聴こえてない仕草をする、その割には俺とレイラが小さい声で一言喋ると・・・


 「人の話は黙って聴く、全く若い者はなっとらん!!」


 と説教する始末である。そんなご老体の話は何かにつれて「昔は良かった」の連呼であった。ご老体の話をまとめると、生まれた時からこ今に至るまでのカンタラで過ごし昔は人も少なく近所の付き合いが盛んに行われていたとの事であった。そんな話にマスク的な物を被り苦笑いしている俺達・・・恐らくレイラも苦笑いしているであろう俺達に救いの手が差し伸べられる。


 「あ、居た、お父さんもう帰りますよ」


 と程よく年を重ねたご老体の親族らしき女性が、帰りの遅いご老体を迎えに来たのである。ホッと息をつく俺とレイラお互いの顔を見合い「ふぅ〜」と息を吐く。そんな俺達を見てご老体の親族らしき女性が俺達に話し掛けてきた。


 「ホントにすみませんねぇ〜」


 と深々と頭を下げて言葉を続ける。


 「昔はねもっと話し相手が居たんですけど・・・最近じゃ〜人の出入りも激しくて・・・ほらこんなに大きな街になったでしょ、だから近所の人ももう誰が誰だか・・・ところが昨日あんた達も聞いたでしょ?あの歌声聞いて皆んな踊りだすじゃ〜ない、私も年甲斐なく知らない人と気がつくと踊っちゃってて、そんな人達見てお父さん昔を思い出したみたいでもうはしゃいじゃって、普段家にこもりっきりなのにねぇ~、今日は散歩行くって言うじゃない、私嬉しくってねぇ〜、あらヤダごめんなさいね私まで、じゃ〜また、本当にすみませんねぇ〜」


 それを聞いた俺とレイラは「プッ」と笑いが溢れた。


 「さ、お父さん帰りますよ」


 と帰ろうとするご老体とご老体の親族の女性に・・・


 「あの〜すみませんちょっといいですか?」


 と呼び止める俺そして・・・


 「レイラあの〜その〜」

 「はい!勿論です」


 とレイラは俺が意図してくれている事を理解して俺に賛同してくれたのである。

 俺はマスク的な物の中で微笑み赤児をご老体の親族の女性に預けてウクレレを取り出し演奏を始めたのである。


 「お爺さん聞いててくださいね」


 とレイラがご老体の手とり言葉を掛けるとレイラは俺の曲に合わせて歌い出した。


 それは昨日・・・正確には今日の朝にレイラと俺が楽しんだ曲であった。演奏が始まり俺たちの方に振り返る人々。レイラの歌声を聞き体が少しづつ動き出しやがて大きな踊りへと変化する。見知らぬ人同士が手を取り踊り顔には笑顔が溢れ笑い声もする。何だ何だとと人々が集まりやがてその人々も手を取り踊り出す。その光景はあたかも何か大きな祭りでもしている様なそんな光景であった。そんな人々を見て笑顔になるご老体、顔はしわくちゃであったがまるで子供の頃に戻ったかの様なはしゃぎぷりであった。


 そして演奏も終わり俺とレイラは人々から拍手や激励を貰う。そのエールにレイラは深く何度も深くお礼をしてそのエールに応えるのである。しかしレイラの馬の顔の様なマスク的な物はレイラのサイズに合っていなかったのであろう、レイラが深く頭を数回下げるとレイラの頭から抜け落ち、レイラの頭に尖った耳がある事を人々に露見してしまったのである。そんな事に気が付いていないレイラはマスク的な物が抜け落ちた事も気が付かずに目を瞑り何度も何度も頭を下げている。そんなレイラの姿を見て人々の拍手と激励が一気に沈下し、ただ一人頭を上下させているレイラを黙って人々は見ている、そんなレイラに俺は・・・情けない事だが・・・黙って見ている事しか出来なかった・・・


 やがて周りの雰囲気が違う事に気が付いたレイラは自分の頭に馬の顔の様なマスク的な物がない事に気が付くと、転がり落ちている馬の顔の様なマスク的な物を急いで被り直すが時すでに遅しであった・・・


 「なんだよ・・・魔族かよ・・・」

 「どうりで・・・ホント勘弁してほしいよなぁ~」

 「チッふざけやがって・・・」


 と人々は心無い事を言う始末である・・・

 レイラの顔から血の気が引いて顔面が蒼白になる。

 そんなレイラを他所にシラケた様にその場を立ち去ろうとする人々・・・俺はそんなレイラに声を掛けようとした時・・・


 「ホントにありがとう、ホントにありがとう・・・わしゃ~嬉しくて・・・ホントにありがとう」


 とレイラの手を取り何度も何度も「ありがとう」を繰り返すご老体・・・そんなご老体の姿を見てさっきまでシラケていた人々が足を止める。


 「そ、そんな大した事してませんから・・・」


 とかしこまるレイラ・・・俺はそれを見て再度演奏を始めるのである。

 俺が演奏した曲・・・それは誰かを思いやる曲・・・俺が演奏を始めた事にキョトンとしていたレイラだったがやがて俺の曲に合わせ歌い出す。


 魔族と人間確かに体形は違えども、誰かを思う気持ち・何かを楽しむ気持ち・誰かを愛する気持ち・何かに悲しむ気持ち・何かに苦しむ気持ち全部同じではないであろうか?俺は人間と魔族がいつかきっと分かり合い手と手を取り合い仲良く成れる事を信じてウクレレに指を弾く。俺に出来る事などたかが知れている・・・だが俺の今出来る事・・・そうウクレレを演奏する事で何かが変わるのでは・・・とそんな淡い思いを込めて俺はウクレレを弾き続けた。そしてレイラもきっと同じ事を考えていたのではないだろか・・・


 そんな演奏も終わり沈黙が続く・・・

 俺はやっぱり力不足であったのであろうと理解して荷物を手に取り赤児を受け取りレイラに声を掛ける。


 「すまん・・・レイラ俺の力不足だった・・・行こう・・・」


 そんな俺にレイラは笑顔を作り・・・


 「いいえルー様は凄い人ですよ」


 とその場に背中を向け歩き出そうとした時である・・・


 「うおぉぉぉぉぉぉーーーーー」


 と人々から歓声が上がるのである・・・


 俺とレイラは振り返りキョトンとその光景をただ茫然と眺めている。


 「す、すげーーーーー」

 「あ、ありがとう、私こんな歌・・・初めて・・・」

 「ああ、こんな気持ち・・・忘れかけてたよ・・・ありがとう」


 と人々はレイラの傍に寄ると涙を浮かべ魔族のレイラに握手を求めてきたのである。

 

 最初は何が起こったのか変わらないレイラは握手を求められるまま握手をして、俺の方に顔を向け不思議そうに俺を見つめる。俺はマスク的な物を取り笑顔をレイラに見せると、レイラもまんべんな笑顔になり笑顔で人々に握手をしたのである。



 俺達は興奮冷めやらぬ場所を後にしてカンタラの街の外のテントの場所へと足を進める、最後まで見送ってくれる人々に手を振りそれに答えていたレイラには今も笑顔が絶えない。俺はそんなレイラを見て自然と笑顔になり、そしてもうすっかり日も暮れた夜空を見上げる・・・


 俺は確かに魔族と人間が仲良く成れる事を祈願して演奏していた・・・・

 しかしそれは単なる自分の願望では無いのではないだろうかと自答する・・・

 魔族と人間が仲良く成れる・・・その傍らで俺が思い焦がれる人物がいた・・・

 思わずそれを思い浮かべ失笑してしまうのだが・・・


 何故か俺は・・・


 ミリアを思い演奏していたのである・・・・

ここまで読んで頂いてありがとうございます。

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