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私、ミリア・フォレストの今後はどうなっちゃうの?②

ミリアの過去2です。

ブックマークありがとう御座います。


本当に本当に嬉しいです。

 辺りは真っ暗で周囲を確認する手段は月から照らされる光だけ、そんな中ミリアは森を裸足で走っている。

 何回木の根に足を取られ転んで膝を擦りむいただろうか?何回尖った石を踏みつけて足の裏に傷を付けたのだろうか?何時間の走っているのであろうか?この道で正しいのであろうか?そんな事は一切ミリアの頭の中には入ってこなかった。只々真っ直ぐ森の中を駆けていた。

 ミリアの体が勝手に動きそれに従っているだけであった。


 そして走っている自分の横を人影がとうり過ぎたの様な気がした。

 ミリアはその場所に振り返る。


 そこには黒いフード付きのマントでスッポリ身を隠した人が居た。その人物はミリアが来た方向へゆっくり歩いていた。


 人が居る・・・でも分からない・・・それが母親なのか・・・


 「お、お母さん?」


 ミリアは凄く小さな声で言葉にする。

 勿論相手には聞こえていない・・・


 「お母さん?」


 少し大きくめな声で言葉をかける。


 その声に反応した人物がキョロキョロと辺りを見渡している。声は聞こえたが何処にいるのか把握出来ていない様子であった。


 「お母さん!!」


 その声は森中に響き渡る声であった。

 その声でミリアの位置を把握した人物がゆっくりと足を進める。


 少しづつミリアとの距離が近くなる・・・森の木の陰が邪魔で顔が見えない。

 さらに近づく・・・月の明かりがフードを照らす。

 さらに近く・・・月の光が顔を照らす。


 そしてミリアが見た顔は・・・顔はヤツレ、目の強膜は黒く、瞳孔が赤い、肌は乾き割れ、気持ちが悪いほど白かった・・・人間では無い・・・直ぐそう理解出来たミリアはすぐ様背を向け走り出していた。


 しかし・・・その人間では無い者から声が聞こえる。


 「・・・リア・・・」


 足が止まるミリアそして振り返る・・・


 人間では無い者はミリアの方には背を向け、ミリアが走ってきた方へゆっくりふらつきながら歩いていた・・・そして・・・


 「・・・リア・・・リア・・・ミリア・・・」


 その声はガラガラでとても聞き取り辛い声であった。


 その声を聞いたミリアの目から涙が溢れる、それは一つでは無かった。幾つもの幾つもの涙がミリアの目から溢れ落ちる。


 「お母さん」


 それは凄く小さな声、涙でまともに聞き取れる事が出来ない声・・・


 「お母さん!!」


 それは凄く大きな声、森に響き渡るが、涙でまともに聞き取れる事が出来ない声であった。

ミリアはその言葉を発して直ぐにその人では無い者の元に駆け出していた。


 しかしその時・・・


 「ラメミ【中位火属性魔法】」


 火の玉が人では無い者に放たれる。

 魔法を放ったのは神父の格好をした人々であった。

 それは幾つも幾つも放たれる。


 燃える・・・人では無い者、両手で顔を抑え悶え苦しむ・・・人では無い者・・・髪が燃え、皮膚が垂れる、目がこぼれ落ち、肌の下の肉が見える。


 「やめて・・・」


 ミリアの顔が引き攣る。


 「・・・リア・・・ミリア・・・」


 人では無い者は悶え苦しみながらも何かに縋る様にゆっくり足を進める・・・


 「お願いやめて・・・お母さんなの・・・その人お母さんなのーーーお願いやめて!!」


 駆け寄ろうとするミリアに抱きつき誰かがそれを阻止する・・・


 「ミリア違うんだ!あれはお前の母親では無い!!」

 「・・・エ、エリック叔父さん?」

 「違うんだ!あれはイリアでは無い!・・・バァンパイアなんだ!!・・・違うんだ・・・イリアでは・・・」


 エリックはミリアに話かけるのではなく、まるで自分に言い聞かせているかの様であった、その声は震え・・・嫌・・・泣いていた。


 「エリック叔父さん聞いてミリアって言ってるよ!・・・お母さん私を探しているんだよ!!・・・私行かなきゃ!・・・行かなきゃ離してエリック叔父さん」


 手足をバタつかせて必死でエリックの腕を振り解こうとすりミリア、そんなミリアを行かせまいと震える腕で震える体で力を込めて抱きつき離さないエリック。


 そしてそれは起こった・・・


 「ぐわぁぁぁ」


 一人の神父が上げる声、その神父の首に燃えながら顔を埋める人ではない者・・・

 人では無い者は神父の首を引きちぎり口をモゴモゴさせている。そうそれは食事?・・・確かに人間の目にはそう見える行為である。


 しかし実際には少し違う。ヴァンパイアに関わらず不老と呼ばれる存在は細胞を活動を止める事でその力を手にしている。しかし外傷等で細胞に傷が入った場合はその細胞を破棄し新たな細胞を取り込む必要がある。細胞の欠如を補うにはどうすればいい?そう同じ作りで構成された細胞を外部から取り込めばいいのである。取り込む場所は勿論口となりそれはあたかも食事をしている様に見えるのは仕方ない事である。


 細胞の活動を止めるという事は勿論脳の機能も止めるという事ではあるが、それでは生命活動を維持する事は出来ない、最低限の生命活動が出来る脳の働きは残さないといけないのである。

 それは本能と呼ばれる機能で今まさに目の前で行われているのがそれである。


 そして外部から取り入れた数千数億万の細胞からは不老とされる者にとっては異質とも呼ばれる細胞が生まれる。それは不老になる前の細胞・・・そう人間だった頃の細胞である。

それは人間としての機能を有し知性・理性・感性・感情・記憶等が呼び起こされ少しづつ人間に近づくのである。

 では人間に戻るのか?というとそうでは無い不老を保てるまで人間に戻るとある程度の知性・理性・感性・感情・記憶等を取り戻しヴァンパイアロードと呼ばれる存在になる。その知性・理性・感性・感情・記憶等は個人差があり取り戻す具合は本能が決めるのである。

 ヴァンパイアとなった人間は本能に従いヴァンパイアロードに成るべく外部からの細胞の取り込みを続ける・・・つまり人間の目でいうところの食事である。



 「あ、あ、あ、あぁぁぁ」


 今までふらつきながら歩いていたのが嘘の様な動きで次々と神父達に襲いかかる人では無い者。

 先程まで燃えていた顔や髪が瞬く間に元に戻り乾いた肌も人並みになっていた。


 その姿を見た残りの神父達はとても敵う相手では無いと判断し、人では無い者に背を向け逃げ出す。しかしそれを人では無い者は許さなかった。


 ミリアはその光景をただ呆然とエリックに抱き付かれ見ている。


 そして・・・ミリアは言葉を発する・・・


 「・・・ばけもの・・・」


 ミリアの目に涙が再び溢れ出す。


 「・・・ねぇ・・・エリック叔父さん・・・私のお母さん・・・ばけものだよ・・・」


 その声は悲しみに閉ざされた声であった。



 エリックはミリアのそんな声を聞くとミリアを開放しゆっくり人では無い者の方へ足を進める。


 「・・・すまないミリア・・・逃げてくれ」


 エリックはそう言葉を残しゆっくり歩く速度を上げやがて走りだし人では無い者の方へ駆けて行く。

 ミリアはそれを黙って見ているしか無かった・・・・


 「イリアぁぁぁーーーー!!」


 エリックは人では無い者にそう叫ぶとブツブツと魔法詠唱を始める。

 それに気が付いた人では無い者はエリックの方に振り向きエリックに襲い掛かる。


 エリックが魔法を放とうとしたその瞬間、エリックを押し退ける人物がいる。


 「ミロ!!!」


 エリックを押し退けると直ぐにバックに手を入れ3つある内の一つの瓶の蓋を開けて中の液体を人では無い者に浴びせる。人では無い者はその液体を左手で薙ぎ払うとミロの右手に噛み付いて引きちぎる。


 人では無い者は浴びせられた液体で左手が煙を上げ少しづつ消えていく。その痛みにその場で転げ悶えている。


 ミロは急いで上服を引きちぎり、腕の付け根の部分をキツク結んだ・・・


 「エリックやってくれ!!」


 エリックは頷くとウインドウを開きアイテムを具現化する。そのアイテムはロングソードであった。

 すぐさま振りかぶりミロの腕の付け根より少し下に振り落とす・・・・


 「ぐうぅぅ」


 痛みに声がでるミロ、骨に邪魔されロングソードが途中で止まる。

 もう一度振りかぶり同じ所を振り落とすエリック剣先は地面で止まり、ミロの腕が地面に落ちた。

 エリックはロングソードを放り投げる様に捨てると、ウィンドウからポーションを取り出しミロの傷口にかける。


 「ぐっうぅぅ」


 ミロは痛みで額には汗の粒が出来ている。


 「ミロそれは?・・・」

 「ああ準備してきたものだ!!」


 エリックはその効果を確かめる様に人では無い者に視線を合わせる。


 「私に一つ貸せ」


 そういうとエリックはミロのバッグから1つ液体の入った瓶を取り出す。


 「お、おい!!」


 ミロは痛みでまともに動けない・・・エリックはミロに微笑みかけると、人では無い者の方へ足を進める。

 今だ転がり悶え苦しむ人では無い者・・・その人では無い者に液体を掛けようとエリックが瓶の蓋を開けた時・・・その行為に気が付いた人では無い者がエリックの首元に噛み付いた・・・

 エリックは少し驚いた様子だったが、直ぐに笑顔になり人では無い者の腰に左手を回して、ゆっくりと人では無い者の背中に液体を浴びせる。悶え苦しむ人では無い者・・・全ての液体をかけ終わったエリックは両手で人では無い者の体を抑え魔法詠唱を始める。


 そしてエリックはミロとミリアに笑顔を見せて・・・


 「ガメンテ【自爆魔法】」


 「ドオオオオォォーーーン」


 大爆発音と共に爆風が吹き荒れる。吹き飛ばされるミリアとミロ・・・・


 爆発が収まり煙が立ち込める。


 「ミリア!!ミリア!!」


 ミロがミリアの場所を確かめる様に大声を出す。


 「お父さーん!!」


 またミリアもミロの場所を探る様に声を出す。


 煙が少しづつ晴れていきやがて2人はお互いの存在を目で確かめあう。

 

 「お父さん!!」


 ミリアがミロに駆け寄る。

 

 「ミリア!!」


 ミロは腕の痛みで横になり動く事が出来ないでいる。


 ミリアがミロの傍まで来ると・・・心配そうに腕の傷を見る。


 「お父さん痛い?」

 「ああ痛い・・・」


 そういうと傍に座り込み泣き出した。

 

 「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」


 何度も何度も謝り続けた・・・・


 そしてすっかり煙が晴れてそれは姿を現す・・・・


 「・・・リア・・・リア・・・ミリア・・・」


 もう殆ど聞き取れない声であったがそう言っている事が何となく理解できた。

 人では無い者は手足が無くなり残っているのは顔と胴体部分だけであった。

 人では無い者は縋る様に言葉を発して必死に動こうとしてる・・・・しかしそれは不可能であった。


 ミリアは涙を拭き取りミロのバックから残り1本の液体の入った瓶を取り出す・・・・


 それを見たミロは


 「おい!ミリア!!」


 と怒った口調で言葉を発する。


 ミリアはニッコリミロに微笑みかけると


 「大丈夫」


 と一言声をかけ・・・人では無い者の方へ足を向け進める。

 人では無い者の元に着くとミリアはしゃがみ・・・・


 「お母さん・・・ごめんね・・・・」

 

 と人では無い者にゆっくり優しく液体を滴らす。


 「お母さん・・・私ねお父さんが大好きだよ・・・」

 「お母さん・・・私凄く幸せだよ・・・」

 「お母さん・・・私を生んでくれてありがとう・・・」

 「お母さん・・・」

 「お母・・・」

 「お・・・」

 ・

 ・

 それは人では無い者が消えた後でも暫く続いた・・・・

読んで頂いてありがとうございます。

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