えらい事に俺の秘密がバレました。
第1章完です。
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黒い球体から出る悲痛な叫びを聞いた者は考えた・・・
ルーから放たれる前の黒い球体から発せられる叫びが恐怖とするならば・・・今この黒い球体から発せられる声の感情は何であろうか?それは怒り?悲しみ?嫌違うこれは喜び?球体がエイシェントドラゴンに近づくにつれて感情を変えてくる・・・
放たれた黒い球体はゆっくり真っ直ぐエイシェントドラゴンに向かい進んでいる。しかし・・・ゆっくり?嫌違う・・・とてつもない速さだ・・・天から注がれる光が直視できる!!何故?!
何故見えるのか?それは直ぐに理解出来た・・・
そう・・・
これこそ奇跡なのであると・・・
黒い球体はエイシェントドラゴンの前まで行くと少しづつその形状を変化させていき、手と思われる部分がエイシェントドラゴンを襲う。その手は幾つもの手が重なり、まるで地獄の亡者が我先にと救いを求めている様であった。
やがてその手はエイシェントドラゴンの体に食い込み、肺・腸・心臓・肝臓・ありとあらゆる臓器を引きずり黒い球体に引きずり込む。
その光景は実に悲惨でそれを見たものは嘔吐を催し中には吐く者もいた。
そんな事はお構いなく止まらない手はエイシェントドラゴンの目・爪・皮膚・肉・脳・骨を取り込む。
まるで生きる為に必要なピースを埋めるかの様にエイシェントドラゴンを蝕む・・・
黒い球体は引き込んだエイシェントドラゴンの各部位を球体のサイズに合わせるかの様に不要な部分は削ぎ落とし重力に従うまま地上に落下する。
やがてありとあらゆるピースを埋め尽くした黒い球体は人の形となり、最後の仕上げなのであろうか口と思われる部分を大きく開けると、吸い出される様にエイシェントドラゴンの口から飛び出す血を球体に吸収する。
充分な量の血を吸い最後の血と共に光り輝く玉の様なもの出てくる。その光り輝く玉が球体に近づくにつれて、黒い球体であった黒い表面がまるで皮膚を剥ぐ様に取り除かれ、皮膚が剝がれた後からは白く小さな光りが見える。
そして人の形を成した球体がその光の玉を体に取り込んだ。
その時・・・・それは声を発する・・・・
「おぎゃーー、おぎゃーー、おぎゃーー」
それは人間の子供の声であった・・・そう産まれた赤児が上げる声であった・・・
その赤児の声を聞くと同時にもはや肉の塊と化したエイシェントドラゴンは羽ばたくのを止め地上に落下した。
赤児の声が響き渡る・・・赤児は光に包まれゆっくり地上に落ちてくる・・・
皆が目を奪われその様子に見とれている・・・
その赤児を迎え抱きかかえる人物がいる・・・そうそれはルーであった・・・
しかし何かが違う・・・神位魔法の使用で体が発光しているから?・・・嫌違う・・・顔のペイントが発光で見えなくなったから?・・・嫌違う・・・そう・・・あの容姿に尖がる耳・・・エルフである。
そして誰かが叫んだ!
「エ、エルフ!!」
そしてまた誰かが叫んだ
「魔族だーーー!!門を閉めろーーーー!!」
「砲弾詰めろーーー!!急げ!!」
「急げーーーー殺せーーーー!!」
「待て・・・・人が要るぞ!!待て人が要る!!」
カンカウレの街は混乱している・・・誰かが上げる叫び声・・・誰かが上げる鳴き声・・・逃げ惑う人々・・・
そんな中でもルーに距離を詰める3人の人間がいる、
足を引きずる様に、今の光景が嘘である様に、距離を詰める。
そうその3人とは、ミリア、リー、ダルクである。
その3人顔は・・・ルーが一番見たく無かった顔・・・このパーティーを抜けて迄避けたかった顔・・・何百と見てきた顔・・・幾ら仲良くなっても最後に行き着く顔・・・魔族とさけずむ顔・・・恐怖で引きずる顔・・・信じて者に裏切られた顔・・・己の命を脅かす顔をしていた。
嫌実際にはミリア、リー、ダルクはそんな考えはしていなかった、ただルーが魔族で驚き、圧倒的な力に顔の表情をどう作ればいいのか戸惑っていたのかも知れない。
だかルーは幾度と無く見てきた、この顔の後の自分の顛末はどう転ぶのか知っていたのである・・・嫌決めつけていたのであろう。
それに関してルーを責めることは出来なかった、数百回目の結果が今迄経験してきた事とは異なる等、誰が思えるのであろうか?その数百回で何度ルーは僅かな期待を込めては裏切られて来たのであろうか!
ルーにそんな顔をしたミリア、リー、ダルクが悪いのか?そんな3人を信じられないルーが悪いのか?嫌違うのである・・・誰にも責任は無いのである。
こうなる事は必然なのである・・・
そしてそんな重たく静寂の4人の時間に声を出したのはルーであった。
「ごめん・・・こーなる事は分かってたんだ・・・」
ルーは3人に笑顔を向ける。
「・・・」
3人は声が出なかった。
ルーはそんな3人に苦笑いで言葉を続ける。
「スッカリ巻き込んだな・・・本当にごめん・・・」
カンカウレの街に顔を向けながら話す。
「ダルク済まないがお前の剣で斬ってくれないか?」
「えっ・・・」
ダルクは戸惑っている。
「ちょっと何言ってるのよ・・・」
ミリアが話しに割り込む。
ルーが何を意味してダルクに斬ってくれと嘆願している事を察しているのである。
このままでは魔族の一味としてミリア、リー、ダルクが責を負う事は免れない・・敵対行動を示すしかないのである。
「ダルク頼む・・・」
ルーらミリアの言葉を無視して再度嘆願する。
「だから何言ってんのよアンタ!!」
ミリアは怒りに身を任せ言葉を発する。
「やりなさいダルク」
リーが冷静にルーの提案を承諾する。
「アンタまで、何言ってるの?」
ミリアはリーの方に睨みつけ言葉を発する。
「やりなさいダルクそれしか無いわ」
「だから何言ってんのよ!2人共!!・・・・ねぇ仲間でしょ?・・・・仲間だよね?・・・・何でそんな事言えるの?」
「仲間だからよ」
リーが冷静に言葉を返す。
「やりなさいダルク!!」
リーは怒った口調でダルクに命令する。
あの冷静なリーが初めて感情をむき出しにして発した言葉に体がビクつくミリアとダルク。
「う、うん」
ダルクの言葉は震えていた、嫌・・・泣いていたのであろう。
「お願いやめて!」
リーは駆け寄ろうとするミリアを羽交い締めで押さえ込む。
「ちょっとリー!!」
振りほどこうとするミリアだったが、リーの腕が震え、最初こそ力が入っていたが、今は全く力が込められていない・・・・それはリーの無言でこの場をどうにかして欲しいと思う願望なのであろうと思うと何も出来なかった。
そしてミリアは自分の力の無さ・情け無さに涙が溢れる。
「ルーさーんーーーーー!!」
ダルクがそう叫ぶとルーの元に剣を構えて駆け寄る。
そして剣を地面と水平に構え直し、そのまま腕を伸ばし剣先はルーの体を貫く。
暫くしてその光景を見た誰かが声を上げた。
「殺ったのか?」
「えっ?・・・あっ殺った!!殺ったぞーーー!」
「皆んな!あの剣士が魔族を殺った!!」
「うおおぉぉぉぉーーーー」
カンカウレから歓声が上がる。
ルーその歓声を聞いてから言葉をかける。
「嫌な役押し付けたな・・・すまん・・・ダルク」
ルーは剣先が貫かれたままカンカウレの街から見えない様に、手で優しく肩を2回叩いた。
「な、何言ってるんですか・・・こんな事しか出来なくて本当に御免なさい・・・」
殆ど涙で聞き取れない声でダルクは言葉をかける。
ルーは3人にニッコリと笑顔を作り、よろめく芝居をしてダルクから離れる。
その時ミリア、リー、ダルクを包む込め様にルーの体が輝く。
そして・・・
「ラール【転移魔法】」
行ってしまうルーそう思うと勝手に足が動いたミリア・・・リーの力が入っていない腕を振りほどきルーの元に駆け寄る。
ウインドウが表示される。
後先考えずにルーに飛びかかるミリア。
ルーは転移場所を見ずに適当な場所に指をやる。
ミリアの指がルーに届く迄後10cm・・・5cm・・・
足元から消えて行くルー
後3cm・・・1cm・・・
そしてルーは3人に言葉を掛ける。
「ーーーーー」
ルーの口から出た言葉は聞き取れなかった。転移が始まってしまったからなのか?それとも誰も聞こえない様に口だけ動かしたのか・・・
そして・・・・
ミリアの指はルーの体に触れる事無く空を切った・・・
3回転程転がり倒れたミリアは倒れたまま暫く動く事は無かった・・・
リー・ダルクも崩れる様に座り込みミリア同様・・・暫くその場を動こうとはしなかった・・・
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1年後・・・・とある町の酒場
「いいか!!今度こそあのダンジョンボスを倒す」
立派な髭を蓄えた冒険者が声を張り上げて叫んでいる。
「ででもー・・・リーダーあのダンジョンボス上級者クラスの冒険者4パーティー2組みでも倒せなかったってきいてやすぜ・・・そんなダンジョンボス俺らじゃ・・・なぁ~~?」
立派な髭を蓄えた冒険者の仲間の一人が弱気な言葉にすると、同じくと他のメンバーも頷いている。
その言葉を聞いた立派な髭を蓄えた冒険者の顔は真っ赤になり怒っている様だった。
その時酒場に入ってくる冒険者3人がいる。
その3人は4人掛けのテーブルに腰を掛け・・・・
「おじさ~んビール4つ!!」
と声を張り上げ注文する。
その冒険者を見た立派な髭を蓄えた冒険者の仲間一人が声を出す。
「あ、あれ、最近急に出てきたルーキーだぜ!!」
「あ~あのとんでもなく強ぇ~って噂のあのルーキーか・・・・」
立派な髭を蓄えた冒険者が髭を1回撫でる様に撮むとその冒険者の方に足を進める。
「あ~ビール来たよ、じゃー乾杯~~~ぃ」
「ぷはぁ~美味い!!」
「ね、ねぇ~ミリアちゃん、ぼ、僕ミルクでいいんだけど・・・」
「うるさいわね、1杯ぐらい付き合いなさいよ」
「そうよダルクさっさと飲みなさい」
「リー、リーちゃんまで・・・・」
盛り上がっている3人の冒険者、そんな3人に声を掛ける立派な髭を蓄えた男
「コホン、すまないが・・・狂乱の破壊魔女ミリア殿に、大魔武王リー殿、聖剣聖女のダルク殿に相違ないかな?」
「あ~誰よあんた!!そうだけど・・・狂乱の破壊魔女って私認めてないんだからね!!」
3人は声の方に振り向きミリアが言葉を発する。
「す、すまない、ところでお願いがあるのだが・・・」
「あ~~何?」
全く興味が無い様にテーブルに肘を掛けビールを飲むミリア。
「俺を仲間に入れてこの先にあるダンジョンボスに挑んで欲しいのだが・・・・」
立派な髭を蓄えた冒険者は深く頭を下げる。
「・・・・」
3人からの返答が無い・・・・沈黙が生まれる。
暫くしてミリアが言葉を出す。
「はぁ~」
最初に出たのは溜息であった。さらに言葉が続く。
「おじさん両方間違ってるよ」
それはとても呆れた声であった。
「まず1にこの先のダンジョンボスはもう私達が倒した」
「な・・・なに?!!!!」
どよめく酒場
「そして私達の4人目はもう決まっているのよ」
「し、しかし・・・君達は何時も3人だと聞いているぞ!!」
「あ~あそれね・・・今は訳あって離れているけど・・・」
3人は空席になっている椅子の前のテーブルに置かれたビールに微笑みかけると・・・
「いつかきっと会えるから・・・」
ととても優しい声で言葉を発したのである。
≪・・・・あの時・・・・≫
≪・・・・最後の時・・・・≫
≪・・・・言ったよね・・・・≫
≪・・・・ルー・・・・≫
≪・・・・また会おうって・・・・・・・≫
その後も何人もの冒険者がミリア・リー・ダルクのパーティー参加を願い出たが3人は「4人目はもう決まっているから」と接して4人目を迎える事は無かった。
そして何時も座る場所は4人掛けのテーブル席で空席には誰も飲まない飲み物が置かれていたという。
ここまで読んでくれてありがとうこざいます。




