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えらい事にメンバー候補を泣かせてしまいました。

なんとか寝る前に出来ました。

 最初の戦闘を終えてから直ぐに


 「あっ!おは・・・」


 と目を掻きながら俺に近づくミリア。


 「やったね!!」


 と俺の元に到着すると顔横に傾けまんべんな笑顔を浮かべる・・・《言いかけましたよね?言いかけましたよね?今間違いなく「おはよう」って言いかけましたよね?》と心でキレながらツッ込む俺。


 そんな俺の心を一切察する事無くミリアは・・・


 「でわ〜おっ宝〜おっ宝〜」


 とルンルン気分でスライムの亡骸を漁りだす。


 ダルクは・・・


 「あ、ありがとうございます」


 と一言かけて頭を下げてから、倒した各スライムから3Gゴールドを集めている。


 俺は倒れたリーの側に行くとしゃがみ


 「大丈夫か?」


 と声をかける。


 うつ伏せになったままリーは地面に


 「犯人はルー」


 と震えた指で書く。


 「・・・・」


 俺は無言でそれを足で消す。


 その後直ぐに


 「キャーーーー!!!」


 とミリアの悲鳴が聞こえる!!


 しまった!!まだ生き残りが居たかと思い悲鳴をあげたミリアの側に駆け寄る俺!!体の至る所にスライムの液体を撒き散らし座り込んでいるミリア・・・


 「ねぇ見て・・・」


 ミリアは泣きそうな声であった・・・


 慌てて俺は・・・


 「どうした?!何があった?!!!!」


 とミリアの肩に手を置きミリアが抱えている宝箱が目に入る!!!!


 「ミミックか!」


 【ミミック】それは宝箱に化けた魔物で一見では魔物と判断する事が出来ない。ミミックの力は中級クラスの冒険者でも手こずる相手で、ましてや見習いクラスのミリアではどうする事も出来ない相手である。


 俺は宝箱を掴みミリアから遠ざけようとした瞬間・・・ミリアは俺の手を掴み。


 「何するのよ!!」


 と睨みつけた・・・・


 「えっ???」


 俺は訳がわからなかった・・・

 するとミリアは俺の手を宝箱から解くと宝箱の中身を見せて・・・


 「見てこれ・・・」


 宝箱の中身は【ポーション】が入っていた・・・


 「えっ???」


 「あんなに苦労して倒したのにポーションって何!!!!」


 《え?お前寝てたよね?確かお前寝てたよね?・・・心でミリアに問いかける俺》


 「テメェ〜覚悟できてるんだろうなぁ〜!!!!」


 とスライムの亡骸を何度も踏みつける罰当たりなミリア・・・どうも宝箱の中身がショボくてキレてるみたいだ・・・


 俺は夜の星空を見上げて・・・


 広大に広がる星々の中から・・・


 流れ星を探していた・・・


 時が戻りますようにと・・・




ーーーーー




 リーが体力を取り戻してから街に歩き始めて1時間ほどして俺は皆に声をかける。


 「ちょっといいかな?」


 不思議そうに俺の顔を見る3人。


 「戦闘についてなんだが・・・」


 俺の戦いを見ていた2人は黙って俺の言葉に耳を傾け聞く態勢を取ってくれているのに対して、ミリアはそんな2人の様子をキョロキョロ確認してから耳を傾けた様子だった。


 《お前寝てたもんな~と心でちょっと引く俺。》


 「まずはリー・・・」


 息を飲むリー・・・


 「魔法使えるよな?」


 俺はストレートにリーに問いかける。

 何故か顎が外れんばかりに口を開いてビックリしていたのはミリアだったが俺はそれを無視する。


 「ええ、使える」


 リーは以外に素直だった。


 俺はリーが魔法を使えるのを確信したのは2000Gのやり取りの時だった・・・

 2000Gゴールドを具現化する行為は魔法を使用して行う、勿論だか0から魔法で具現化する事は出来なくて今手元に有る物を魔法でウィンドウ化つまり数値化もしくは文字化した後、魔法で戻すという事である。俺の所持金10000Gゴールドに対して舌打ちしたリーはあの数値が見えていた事を指す。


 つまり魔法を使用出来るという事である!!


 それに俺に売りつけたマジックハンドと自決しろと投げつけたナイフ、あれは魔法で文字化していた物を魔法で具現化したのだと考えたからだ。


 しかも具現化もしくは逆をするという事はそこそこの魔法に精通していなければ出来ない筈である。

だからリーはそこそこの魔法は使える筈なのである。


 「リーには体力が無いこれも分かってるかな?」

 「ええ重々承知しているわ」


 これも以外に素直だった。


 「魔法を使うデメリットは分かるかな?」


 俺は遠回しにリーに質問する。


 「ええ・・・なるほど分かったわ」


 かなり頭が切れる様だ俺はリーをそう評価する。



 「次にダルク」

 「は、はい」

 「その前にリー頼みがあるんだが・・・」

 「何?言ってごらんなさい」

 「ナイフを貸して貰いたいのだが・・・」

 「いいわよ、少し待って・・・」


 かなり素直で少し身構える俺、しかし以外な事にナイフを具現化するとそれを手渡しで俺に渡してくれる・・・


 内心「あっごめん」とナイフで刺して来るのでは?とかそんな事を考えていた俺が恥ずかしい・・・


 「ふぅ〜」


 と息を深く吐いて俺はナイフを自分の左手の甲に突き刺した・・・

 ナイフ刃先は俺の左手の甲を貫通して手の平側に姿をみせ、赤い血が滴り地面にピタピタと落ちる。


 「ひぃ〜」


 とミリアとダルクは言葉を発して、それを見て2人は血の気を引いている・・・

 そんな2人とは別にリーだけ目を輝かせていたのは俺の勘違いだろうか?


 「ちょ、ちょっと、そんな性癖見せないでよ!!!!」


 とミリアは怒り出す・・・

 俺はナイフを引き抜くと・・・


 「大切な事なんだ少し目をつぶってくれ」


 と言うとその後も言いかけようとしていた言葉をミリアは飲み込んでくれたみたいだ。


 「ダルク」

 「は、はい」

 「俺の左手をお前の剣で切ってくれ」

 「えっ?な。何言ってるんですかルーさん、そ、そんな事、ぼ、僕出来ないですよ」

 「そうよ!そうよ!自虐で興奮出来ないからってダルクを巻き込むなんて私許さないからね!!」


 メチャクチャ怒っているミリア。

 それもそうだな・・・言葉足りずな自分をいさしめ・・・俺はダルクに深く頭を下げてこう言った。


 「ダルクお前の剣は誰かを傷つける剣で無く、誰かを護る剣なんだ!」

 「えっ、ど、どういう事なんですか?」

 「お前は剣に無意識に魔法を込めている、そう魔法剣なんだ!そしてそれに宿してあるのは癒しの力なんだ!」

 「えっ?な、何を言ってるんですか?ルーさん」

 「つまりダルクに切られた者は回復すると言っているのよ」


 とリーが分かり易く説明してくれた。


 「だから切ってくれ、俺の左手をお前の剣で直してくれないか?」

 「・・・・」


 黙り込むダルク・・・


 少し時間が経過し、ポタポタと血が落ちる俺の左手を見て・・・


 「わ、わかりました・・・やってみます。」


 俺は無言のまま左手を突き出す。


 「い、いきますね」


 ダルクは静かに剣を構えると、剣を上段に構えて・・・振り下ろした・・・


 その動作一つ一つに無駄が無く・・・


 それはもはや剣の技では無く・・・


 それは正しく見るもの全てを魅了する芸術であった・・・



 ダルクに切られた左手はナイフの傷跡が一切無い綺麗な手であった。


 「ありがとうダルク元どうりだ、ありがとう」


 そうダルクに言葉をかけると、ダルクは膝を落として・・・


 「わ〜〜〜〜ん」


 と泣き始めたのである・・・


 俺はダルクが泣く思いは分からなかったが理由は察した・・・


 ダルクは俺を唸らせるだけの剣の技を持っている、どれ程の努力・時間を剣に捧げて来たのであろう、あれだけの技が有れば王国騎士団でもトップクラスであろう、冒険者は全員がほぼ我流で正式な形なんて知らない、しかしダルクは違った。


 整った足運び・整った剣さばきアレは数世代を賭して培った剣の形である事はすぐに見てとれた。


 そんなダルクが冒険者になる理由なんて一つしかないのだ・・・


 そう切っても切っても切れない剣それに思い悩み・苦しみ今ここにダルクは居る。それがダルクの心をどれだけ蝕んだのかは分からないがその理由が分かった今、その蝕んだ全てが涙と一緒に洗い流されているのだろうと俺は思った。


 その泣き始めた理由を理解出来ていなかったのはおそらくミリアだけであろう。


 「ねぇどうしちゃったの?ねぇダルク?どうしたの?」


 ミイアは必死で泣く理由を聞こうとしている・・・

 そんなミリアに俺は肩に手置き、ミリアが振り向くと俺は首を横に振った・・・


 それを察したミリアはダルクにこれ以上声をかけずただ黙って泣いているダルクを見守ったのである。


 ダルクお前は魔物と対峙した時でも傷付けたくないと無意識で癒しの魔法を込める優しいやつなんだ。


 ダルク今は泣くといい。

 そしてこれから新たに歩み始めればいい・・・


 と俺は心でダルクに話しかけたのである・・・

ここまで読んで頂いてありがとうございます。

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