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プロローグ

 この世界は魔王が存在し一度魔王が倒されると100年後に必ず新しい魔王が誕生する世界である。しかし魔王を倒すそんな話では無く一人の冒険者が己の個人的な目的の成す迄の話である。


 ターマ神殿入り口前


 俺は10個の職業を極め残る職業は後2つ残すだけ・・・


 そう・・・


 俺のステータスは【運】以外MAXであり地上に存在する人間のTOPに君臨する存在!!


 そんな俺がターマ神殿に何の用かだって?そんなの決まっている俺は11個目の職業をマスターし今から12個目の職業に転職する為に俺はここに居る。


  入り口に2人の護衛兵とまばらに少数の人々と中央に佇む神父が居る。神父を中心に人口的に作られた池が有り、中央に神父の元へと続く白い石で出来た橋がある。ターマ神殿内部は円形状に構成されており均等に12の台座が置かれている10個の台座に石像が置かれており、その石像には各違う職業の名前が彫られている。


 ここにある石像は俺一人で成した偉業ではあるが、それは隠さなければ行けない理由がある。

 それは・・・


 人ではマスターに成る事が出来ないからである!!


 では何故俺がマスターに成り得る事が出来るのか?と言うと俺はハーフエルフで寿命が人よりも大分長く俺の今の年齢は正確では無いが1000歳を超えている。

 

 マスターへの道のりは厳しく人間で才能あるもので上位クラス・才能無い者で中位クラスで人生の幕を閉じる。クラス毎の内訳として見習い・初級・中級・上級・超級・最級・マスターとなり人が人生を賭しても精々半分で終わる。


 本来職業とは人間が他の種族に対して対抗できる様に人間だけに与えられた加護であり、俺みたいな人間とエルフの混種がマスターにでもなった事が知れれば一大事なのである。


 人間はプテリュクス(勇者)とホビット(遊び人)以外の種族を魔族と認識している。実際に魔族に分類されるのはデーモン(魔法使い)系になるのであるが・・・勿論ハーフエルフの俺も人間からすれば魔族との混種になり隠さなけばいけない事なのだ。


 では何故俺が職業に就けるかというとそれは恐らくだが人間の血の方が濃いいのであろうと言うしかない、実際俺自身不思議である。


 

 さっさと転職を済ませて帰りたい俺なのだが・・・


 神父の周りに2匹のホビットが居る事が目に入る、遊び人の職業を持つ種で色々と悪戯をする種であり、何故か人間には縁起物とされているが・・・


 ろくな目にしかあった事が無い俺・・・


 神父に話掛けないと転職が出来ないので気は乗らないが足を進めて神父の元へと行く。


 「今日はどの様なご用件でしょうか?」


 と尋ねる神父の顔はホビットにより落書きだらけであった・・・


 何故人間がホビットの悪戯に気が付かないかと言うとそれはホビットが【ステルス】と言うスキルを使い姿を消しているからで【真実の目】と言うスキルを使う事によりそれを見る事が出来るのだが・・・

 どうやらこの神父は使えない様である。落書きもステルスの効果範囲に入り今は誰の目にも普通の顔をしている様にしか見えないであろうが・・・


 俺には見えてしまう・・・


 「転職をお願いします。」

 「あなたの願い神に届けましょう。では、今から貴方が転職に相応しいだけのご加護を承った者なのか審判いたします」


 と両手を大きく天に向かい上げた時・・・


 ここぞとばかりにホビットが神父のズボンを下す。恐らく神父はズボンが脱げ落ちた事には気が付いているのであろうが・・・


 何故か・・・


 何も無い様に話を進める・・・


 しかし気になる俺・・・


 何故なら・・・


 神父のパンツは・・・


 女性ものではないだろうか?!


 嫌・・・俺が疲れているんだと俺はそれを消化する。



 目を瞑り俺の肩に片手を置き魔法詠唱を始める神父・・・


 神父が魔法詠唱すると、神父の周りの水場の水が上空に舞い上がり、七色に発行し始めた・・・

 その神秘な出来事にその場にいる正確には俺以外の知性のある生き物が目を奪われた・・・


 「こ、こ、これは・・・・」


 神父の顏の表情は驚きと笑みの感情のどっち表に出るかまるで競い合っている様に変化している・・・



 ここぞとばかりにホビットが神父の上着を器用に脱がす・・・


 神父は薄い白い布を着ており・・・


 神父の胸にある物が透けて見える・・・


 あれは・・・


 女性ものではないだろうか?!


 嫌・・・俺が女運が無く、今までキスの一つした事が無い俺の見せる、幻覚なのだろうとそれを消化する。



 やがて七色発行は収まり、少しずつ上空に舞い上がった水が元の水場に戻り始めた。そしてその現象が起こるまで存在していなかった石像が姿を現わす・・・


 その石像は今の俺の姿そのものであった・・・


 「ま、ま、マスター」


 静寂に包まれているターマ神殿に木霊する。


 その言葉で固まっていた神父が我に戻り、深く深く呼吸をすると。


 「マスタァァァーーー」


 神父は力強く・・・


 「ここにぃぃぃーーー」


 両手を天に掲げて・・・


 「誕生をぉぉぉーーー」


 拳を強く握りしめてる・・・

 

 「確認すぅぅぅーーー」


 その声はまるで天に届けるか如く大きな声だった。


 「オオオオーー!!!」


 神父に号令を受けた様にターマ神殿に歓喜のエールが注がれる。


 ターマ神殿に存在する知性ある生き物は10人ぐらい、しかしターマ神殿に響き渡る歓喜のエールは1000人を超える音量に匹敵したのである・・・



 神父の顔を見ると何故か頬を火照らせ息づかいが少し荒い・・・


 何故か凄い嫌な予感がする俺・・・


 なるべく神父の方には目を向けず、俯いたまま早く逃げたいのでさっさと話しを進める・・・


 「転職は【遊び人】でお願いします」


 俺の声は震えていた・・・


 そう神父に震えていたのである・・・


 いくら【運】以外MAXの俺でも怖いものは怖いのである!!



 暫く沈黙が続き・・・


 神父は裏声で言葉を発する・・・


 「この者に転職の儀を行ちゃうわよ~~~!」

 「おぉぉ〜」


 周りから静かに歓声が上がる。

 神父は脱ぎ落ちた服から教本らしき物を探し目的のページを開いたままその本を高々と上げた・・・


 《何故服を着ない!!と俺は遠い目する》


 「この者に神のご加護たる職業を与えて・あ・げ・る!」


 本が白く発光しその発光は徐々に肥大して本から水の様に溢れ落ちて俺にに注がれる・・・

 発光水の様な物が俺のの全身に注がれやがてその発光は四方に直線に飛散した。


 「我これにて転職の儀が慎ましく行われ、そしてそれを求める者の願いが神の加護を授かった事をここに証明するわよ~~!」


 神父は手を合わせ天に祈った・・・

 転職を終えた俺も同じく手を合わせ天に祈った・・・


 暫く祈りが続き・・・


 神父が手を解き、まだ祈りをつづけている転職を終えた俺の手を取り何かを渡した・・・


 「お・め・で・と・う!、今日から貴方は【遊び人】だよ!」


 神父は俺と目が合うと片方の目で器用にウインクした・・・


 そして・・・


 俺の手には・・・


 丈夫な紙で・・・



 【クラブ:エデン 源氏名:キャサリン その下に:あなたのハートにズームイン】と書かれた物があった・・・


 俺は神父の目の前でそれを破り、神父に叩き付けて、ターマ神殿を逃げる様にその場を後にしたのである。


 ・

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 ターマ神殿から大分離れた場所に湖があった。今までの経験上転職するとその容姿まで変化を及ぼす事があったので俺は湖を覗き込み今の自分の容姿を確認する。


 遊び人の顔はペンキを塗ったかの様に白く、右目は星、左目は丸で鼻の先と同様に赤くペイントされていた。眉毛は無く、口は口紅で塗ったかのように真っ赤で頬の1/2まで吊り上げてペイントされていた。髪はチリチリのアフロヘヤー色は明るい緑色・・・そうこれはピエロそのものである。着ている服も変わっており、ダボダボの赤と白の縦ストライプの上下服、ボタンは拳程の大きさのボンボンが付いていた。


 「なんだこれ?プッ」


 俺は自分の変わり果てた容姿にまるで他人事の様に笑いを吹き出してしまった・・・


 だが俺には関係が無かった・・・


 何故かと言うと俺はソロで冒険をしているからだ、最初はさすがに1人では無理であったが3つの職業をマスタークラスまで上り詰めると後は他愛もなかった。


 それに冒険者は自分のランクやLVを上げる為効率化を行う。自分が安全に尚且つ一番経験値を稼ぎだす場所・・・そう一般的に言う狩場である。

 冒険者たる者、狩場の一つや二つ持ってるのが当たり前、俺の場合その狩場こそパーティを組めない最大の理由があったのだ。


 俺の狩場は魔界の魔王の王座よりさらに下にある最深部そこに居る魔界の神と呼ばれる存在、名を『ペスターク』と言う。


 ペスタークは6本の腕を持ちその6本全てに魔剣を備えている。その6本の魔剣はそれぞれに6大精霊『火、水、風、土、光、闇』の加護を宿しており、ペスタークの攻撃力は3段階に渡るのである。


 まずは振り落とされた魔剣自体の切れ味による攻撃、次に振り落とされた速さによる衝撃波、最後に6大精霊の加護による属性攻撃、この3つの内どれか一つでもまともに食らうと流石の俺でも命が無いであろう。

 その攻撃を剣技『2段切り』『燕返し』を繰り出してくるのがペスタークの基本攻撃、もちろんながら腕が6本あるのでこの攻撃が6回隙無く続く・・・


 ペスターク最大の攻撃『地平線をも焼き尽くす炎』を初めて見た時は、この俺も流石に度肝を抜かれた思い出がある。そんなペスタークを狩場としているからこそパーティを組むことが出来ないのだ。


 では早速俺の狩場でLVランク上げようと思い立つ。


 「ラール【転移魔法】」


 魔法を唱えると目の前にウィンドウが表示され、表示されたウィンドウには街の名前や城の名前が表示されている。ウィンドの右のカーソルを右手の人差し指で器用に1番上まで移動させて、一番上の地名【神をも毒す沼地】を押そうとするのだが・・・

 

 何故か・・・


 俺の本能が・・・


 邪魔をする・・・


 そして・・・



 「俺のこの御手てが真っ赤に燃える!ボケを掴めと、心で叫ぶ!モウレツゥー!コォップゥ、ノー、フチ子ォォチャンンーッ」※しげるverが個人的には好きです。


 かなり無理矢理誤魔化してはいるが、凄い危険な匂いがする決め台詞を叫び町の名前を押すのである・・・

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始まりの町


 始まりの町の表札をぼーと見ている奇妙な格好をした冒険者。そう、その冒険者こそ約1時間前にターマ神殿で転職の儀を済ましたばかりの冒険者であった。


 遊び人になった冒険者は無意識に華麗なステップを時折見せては、顎に手をやり何か悩んでいる様子であった。


 「う〜んまたダメか・・・」


 何を悩んでいるのかと言うとボケで転移した先が【始まりの町】であった為に、ラール【転移魔法】を再度使用し、本来の目的であるペスターク討伐への一番近い場所である【神をも毒す沼地】に転移しようと試みているのであるが・・・最初と同じ様に急に発生する俺のボケに妨害されているのである。


 「これで10回失敗・・・ありえないわ!!」


 そう呟くと


 「ウィンドウオープン、スキル」


 遊び人がそう言葉を発するとウィンドウが現れ、幾つもスキルが表示されている。


 《職業のランクやLVが上がるとスキルを習得する事があり、そのスキルは持っているだけでその条件下の元発動するものがある。


 例えば戦士の職業で有れば【背水の陣】というスキルがありスキルの条件下は【逃げ場がない場合に全てのパラメータを10%引き上げる。】この様に条件下を満たせばスキルが勝手に発動する事になり、今回の原因がスキルによるものだと判断したから俺は今スキルの確認を行っている。》


 そこで見つけた遊び人になった事による新しいスキルの取得・・・


 スキル名【 一人ボケ】その条件下は【一人でいる時に大いにボケる】と書かれていた・・・



 しかし俺はこの時知らなかったのである・・・



 一人ボケの他にもう一つスキルを取得していた事を・・・




 その名は【神の真似事(まねごと)】この2つのスキルにより俺の人生は急展開を迎える事になる。

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