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ギルドは本日も平和なり  作者: ナヤカ
問題だらけのギルド編
52/206

五十二話 ダンジョン

~十階層にて。


『こうしていると、懐かしいな』

「なにがだよ」

『主と共にダンジョンに潜った時を思い出す』

「あの頃はガムシャラだったからな。まぁ、すぐに慣れたけど」

『当然だ。我を屈服させた主が、ダンジョンの魔物程度に慌てるはずなかろう』

「そうか?流石に五十階層越えたらお前だってビビってたじゃないか」

『ビビってなどおらぬ。少しばかり慎重になったのだ』

どっちも一緒だろ。

しかし、それは言わないでおく。なぜなら、俺も同じようなものだったからだ。


少し広い空間で、休憩をしている冒険者がいた。よほど疲れているのか、座り込んだまま寝てしまっている。

「…タロウ、起こしてやれ」

『その名で呼ぶなと言っているだろう!』

言いながらも、通りすぎる瞬間にタロウは軽い遠吠えをした。


「……っっ!?なんだ!?」

目を覚ましたらしい。


『お優しいことだな』

「このくらいなら普通だろ?」

ダンジョン内部で寝て良いのは、魔物が発生しない特別な部屋と、仲間が見張りをしてくれる時だけだ。まぁ、冒険者には眠気に勝てず寝てしまう経験がある者の方が多い。起きたときに、自分のやってしまったことにたいして恐ろしくなるのだ。



~十五階層にて。



「えっ…なに!?」

「ギルド職員!?」

「こいつは……ヘルハウンド!?なんでこんなところに!!」



十階層を越えた辺りから急に冒険者の数が増した。魔物ならば蹴散らして通るところを、飛び越えたり避けたりして通ることが多くなった。まるで障害物競争をやっている感覚に陥る。


『なぜ、こんなにも冒険者が多いのだ!?』

タロウが苛立ちを露にした。

「仕方ないだろ?たぶん、二十五階層辺りまで続くぞ」

『そういえば三十階層まで行くのだったな。なぜだ?』

「とある二人組の冒険者パーティーを捕まえに行くんだ」

『また、他人事に関わっているのか』

「そんなこと言うなよ」

『主がそうしたいなら、すれば良い。ただ……』


「なんだよ?言いたいことなら言って良いぞ」

『主は弱くなったな。前はもっと荒々しさがあった。他人などに影響されたりなどしなかった』

「大人になったと言ってくれよ?」

『大人になる必要などあったのか?』

タロウは、走りながらも横目でしっかりと俺を捉えていた。

「……さぁな」

いつからだろうか?何かを我慢するようになったのは。

いつからだろうか?それらしい理由を捜すようになったのは。

そんなこと、意識的にやってたわけじゃないのにな?


~十八階層


……なんだこれは。


「おぉ!良いところに来てくれた。手伝ってくれ!魔物が大量発生して……って、あんた何でこんなところに!?」


目の前には複数の冒険者達と、大勢の魔物が大乱闘を繰り広げていた。

大量発生しているのはゾンビだ。冒険者がいくら切り伏せても後から後から沸いている。

『どうする主よ』

タロウが一歩前へ出た。


「うわぁぁ!ヘルハウンドがいるぞ!!」

「くそっ!この忙しいときに」

「諦めないで!力を合わせるのよ!」


突然、タロウに向かって矢が飛んできた。それを、掴んでへし折る。

『そんなもので倒される我ではない』

「礼ぐらい言えよ…にしても厄介だな。……仕方ない」


俺は、広範囲の回復魔法を発動する。


「なんだ?」

「光がっ!」


俺を中心に、光の輪が広がる。その輪にゾンビが触れた瞬間、彼等は塵となって消えていった。

「今だ走れ!」

俺とタロウは、動揺している冒険者達の間を走った。ゾンビはまだまだいたらしく、回復魔法の範囲を越えても出てきた。

「邪魔だ…なっ!!」

それらを掴んで壁に投げていく。タロウもゾンビ達を押し倒して走る。

ゾンビの大量発生はしばらく続いた。


『強力魔法は使わないんじゃなかったのか?』

「あれは仕方ないだろ?」


言い合いをしながらも階層を突破していく。もうすぐ二十階層だ。

そこはボス部屋で、今までの魔物とは段違いの強さをしている。強力魔法一発目はそこだと思ったんだが……予想は外れてしまったな。

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