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ギルドは本日も平和なり  作者: ナヤカ
騒がしいタウーレンの町編
151/206

五十八話 知らせ

冒険者ギルドへ出勤する途中、妙な話を聞いた。闘技場で朝早くから大きな音がしているとのことだ。町の人たちが話しているのを聞いたのである。おおかた、ローブ野郎が何か実験をしたのだろうと想像してから、ため息を吐く。

なんだか、騒がしい一日になるような気がしたからだ。何か問題が起きたのなら、その知らせは当然冒険者ギルドにくるだろう。おれば憂鬱な気持ちを抱えたままギルドへと向かう。

まさか、それが冒険者ギルドを揺るがす事件だとは思いもしなかったのである。



「テプトくん! 大変よ!」

「おはようございます。ミーネさん」


冒険者ギルドに着いて扉を開けると、中は騒がしく職員たちが動き回っていた。なんだ? そう思っているとミーネさんが近寄ってきた。


「どうしたんですか? この騒ぎ」

「さっき、企画部部長から報告があったの。今、闘技場で大変な事が起こってるのよ」


そう言ってミーネさんは、ロビーの隅を指差す。そこには、疲れきったローブ野郎が椅子に座って頭を抱えていた。


(……やっぱり闘技場かよ)


半ば呆れた表情をして、ローブ野郎に近づいていく。だが、ミーネさんの一言で俺は歩みを止めてしまった。


「闘技場で、冒険者同士が争いをしているらしいの」

「……は?」


それは、想像していない言葉だった。


「企画部部長が朝起きたら、始まっていたみたい。闘技場の兵士たちはどこにもいなくて、彼はそれを知らせるためにさっきここにきたのよ。まだ、バリザス様もいないからどうしようも無くて。とりあえず、真偽を確かめるために何人か闘技場に行ってもらったわ」

「冒険者同士? 意味が分からないんですけど」

「私も訳が分からないわ。でも、事実よ」


俺はローブ野郎に駆け寄る。彼は、俺に気づくと立ち上がった。


「……テプトさん」

「どういうことですか?」

「私も何がなんだか……朝、大きな音で目を覚ましたら冒険者たちが争っていたのです。魔法が飛び交い、私が見たときは既に何人か怪我をしているようでした。兵士たちも何処にもいなくて……急いで走ってきたのです。門は妙な氷で覆われて使い物にならなくなっていました。私は、緊急用の魔法陣で闘技場の外に脱出してきたのです」

「……氷」


間違いなく、レイカの魔法だ。ということは、その争いにレイカが関わっていることになる。


「その魔法陣は中にも入れますか?」

「……いえ、外に出るためだけの物です。あの氷を何とかしなくては、中には入れません」


(何が起こってる?)


俺は、意味の分からない現状に呆然としかけたが、すぐにそんな暇はないと判断した。


「ミーネさん。俺も闘技場に向かいます」


ミーネさんは頷いた。


「えぇ。実は、テプトくんにはそうしてもらうつもりだったの。あと、ギルド職員の制服を着ていきなさい。もし、戦いに巻き込まれた時、冒険者と間違われないように」

「分かりました」


それから、俺は管理部に行き壁に掛かっているギルドの制服を掴んで、一階に戻る。


「私もバリザス様と共にすぐ行くわ」


ミーネさんの言葉に頷く。


「それと無茶しちゃダメよ? 今、町の診療所にも職員をやって、回復魔法を使える人たちを呼びにいってるから。まだ早い時間帯だし、どれくらい連れてこれるか分からないけれど」

「十分です」


冒険者ギルドを出ようとした時、その扉が向こうから開いた。


「おはようございまー……って、テプトくん?」


セリエさんだった。


「どうしたの? そんなに急いで……というか、なんか騒がしくない?」

「すいません。話は他の人から聞いてください」


俺はセリエさんを避けると、冒険者ギルドを出た。

もしも、レイカが関わっているなら大変な争いとなっているはずだ。そして戦いになった場合の事を考えて魔力は出来るだけ温存しておきたい。

俺は、空間魔法で一気に闘技場に向かいたい気持ちを抑えて、駆け出した。









二章も終わりが見えてきました。

駆け足になり、文章が簡素になりすぎてしまわないよう気をつけます。

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