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船乗りが望んだもの
――どうして、こんなことを引き受けたんですか?――
――さあな、自分でもよく分からん。ただ、なんとなくだ。――
――なんとなくですか。――
――ああ、そうだ。――
――ふふっ。本当におかしな人ですね。――
――船長を笑いものにするとは、まったく酷い水夫だ。……ただ、ひとつだけ気になっていたことはあったんだ。――
――気になっていたこと?――
――ああ。セイレーンの歌声ってのは、どんなものかなってな。――
――なるほど。つまり私は、代価を全て渡してしまったわけですね。これだけ先払いしたんですから、ちゃんて連れて行ってくださいね。――
――分かってる。あと少しで港に着くからな。起きたら、すぐに下船の準備だぞ。――
――はい、船長。――
長らく更新しておりませんでしたが、久々の掲載です。
今回はセイレーンと海の男をテーマにさせて頂きました。
最後までお付き合い頂きまして、ありがとうございました。