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夢
私が意識を手放した時に見るのは、いつもこの夢です。
私は一羽のカナリア。
風切り羽は綺麗に切り揃えられ、外敵に襲われぬよう、鳥籠に守られています。
私が鳴く度に、周囲からは歓声が上がりました。
気を良くした私が更に声を響かせると、その歓声はどっと盛り上がります。
とても楽しい雰囲気に包まれた世界。
しかし、私は気が付きます。
歓声の中に含まれる嘲笑と憐憫の声に。
そう、これは夢なんかじゃない。
これは……。
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ぐわっと目を覚ますと、私は周囲を見回しました。
そこは散らかった一室で、私はぺらぺらの布団に横たわっていました。
そうだ、私は海辺までやってきて。
記憶を振り返っていると、外から声が掛けられました。
「目が覚めたか」
そう口にしながら近付いてくると、男はそっとカップを差し出します。
そこには、あの温かなスープが注がれていました。