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訪問者
朝日も未だに顔を出さない未明。
漁の準備をしていると、声を掛けてくる奴がいた。
こんな時間から奇特な奴だ。
そう思いながら振り返ると、そこには見慣れぬ存在があった。
人間の上半身に、鳥類の下半身。
そいつはふらり、ふらりと近付くと、「船に乗せてください」と一言だけ呟き、俺の方へと倒れ込んできた。
***
ゆっくりと瞼を押し上げます。
ここは……。戸惑う私に、奥の方から声を掛けてくる者がいます。
その者は私に話し掛けながら近付いてくると、そっとカップを差し出してきました。
私はお礼を口にすると、その中身を口に含みました。
これは、野菜の煮汁でしょうか?仄かに香る磯の香り。
身体の芯が温まっていくのを感じます。
私はそれを飲み干すと、再び瞼を下ろしました。