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ちびじゅう!!

作者: 史桔

 


 


ちょっと前の自分=太陽系の第三惑星地球アジアの日本産三十路女性。

 

 

今の自分=子供の獣人?分かりやすく言うとちっちゃいケモショタ系。

 

 

 


あ~~……所謂これが転生ってヤツですかそうですかなんでこうなったんですか意味不!!

そんな風にテンパっていた時もありました、懐かしい思い出ですありがとうございます(?)

 


 


 


ある程度落ち着きも見いだせた今現在、私はある男性の元に身を寄せて生活している。

彼の名はキジェナ・ロンブル。

 


起きたら古びた遺跡だった…というなんぞそれ状態。

脳の処理能力が追いつかず途方に暮れていた私を、偶々か必然か遭遇した彼が拾ってくれて。

そのまま見過ごせなかったのか保護を引き受けてくれ現在に至る。

 


 


キジェナさんは小さな村のような田舎町の片隅にある、これまた小さな冒険者ギルドのギルド長を務めている。

 


ギルド長とはいっても大きな都市のような、冒険者の出入りも激しく大小様々な仕事が舞い込みやすい部署とは違い。

ここは末端も末端で仕事もせいぜい町の人間が畑仕事の手伝いに時折依頼を出す程度な、そんな

のんびりのほほんを地で行く平和な所だ。

 


 


勿論その畑を荒らす魔物が出たり、都へと続く道程で時折山賊や盗賊などが出没すると聞くので、治安が生まれ育った日本のようにいい訳ではないらしい。

まぁ生活水準とか人々が着ている服装を見るに、RPGな世界観まんまだな~と感じたのでそういうもんなのかも。

 


魔法とか精霊妖精の類も存在していると知った時は恥ずかしながらかなり興奮してしまったね!

自分の身の上も大概だけどそこは今はどうこうしようもないのだから、この世界にいる内にどこかで遭遇できやしないかとちょっとドキワクしてる!

 


 


 


おっと話が逸れてきた。

 


 


で、そのキジェナさんの容姿だけども。

 


ちょっぴり無精ヒゲを生やしたそこそこイケてる風な(美系とまではいかない)三十路男性。

髪はロングでストレート、毛先が傷み故かちょっとゆるめのカールが入っていて色は深い萌黄色。そいつを適当に一括りして後ろに垂らしている。

 


そう、地球上ではなかった地毛の色してんの!

他にも割とカラフルめな色合いの人が普通にいて驚いた。

さすがRPG世界…!(いや勝手に断定すなって話なんだけどね)

 


そんでもって瞳の色はやや薄めの琥珀色。

気持ちタレ目で笑うと目尻に笑いじわができるのが結構可愛い。

 


そんでもって性格は~……

 


 


 


 


「こら、こんなところに登っちゃ危ないだろう?」

 


 


「きゅっ!きゅぅ~~…(わっ!見つかったか~…)」

 


 


 


そう言って現れたキジェナさんは、ギルドカウンター上にいた私の両脇に手を入れヒョイと体を持ち上げた。

 


 


 


「落ちて頭でも打ったらイタイイタイなんだぞ?めっ!」

 


 


「きゅっきゅー!きゅきゅいきゅ!(もー心配性だな!中身は大人なんだから大丈夫だよ!)」

 


 


 


このように優しくしてくれるので、右も左も本気で分からない身としてはありがたい事この上ない。幼児姿のせいで多少過保護気味なのは否めないけれどね…。

 


そしてお気づきだと思うが私は現在ケモショタだからか、言葉が少々特殊になってしまった様子。

いくら頑張っても相手には「きゅきゅきゅ」としか聞こえてない様で意思疎通が少々難しい。

いやでも、相手の言葉が理解できるだけマシというものか…うむ。

 


そんな私の容姿が今はどんなかっていうと……。

大きなお耳とふっさり尻尾がデフォルトでついていて、毛色は裏葉色で艶もばっちり。

おめめは大きくクリクリしていて、瞳の色は勿忘草色。

アイラインが目の縁に入ってるせいか、ちょっぴりエキゾチックな印象の愛らしい顔立ち。

手足は動物寄りなのでビロードのような毛皮で覆われていて、耳と尻尾の先っちょと手足は色が白っぽい。

 


ちっちゃくてや~らかい肉球もあるよ、実は時々そっと揉まれます。

世界超えても共通なのかね、魅惑の肉球ってやつぁ…。

 


 


 


 


 


「お、早速お絵かきしてたのか?どれどれ……て、ん?」

 


 


「きゅっきゅる…(お絵かきっていうか、単なる現状整理的な何かだよなぁ…コレ)」

 


 


 


普通なら発狂してもおかしくない状態に置かれている身。

いつどうなるか何も予測がつかないから、今わかっている事を少しでもまとめておこう。

そう思って書く物をくれとジェスチャーを交えてねだってたら。

なんとか成功したみたいで今朝用意してくれてたの貰えたから、今まさに一生懸命書いていたのだ。

 


電気なんざ無いこの世界、窓も田舎故に大きなガラス窓じゃない。

木枠のそれを押し上げて光を入れていても、空がちょっとでも曇れば室内はどうしたって暗い。

 


 


((文字書いてんだから、光が比較的集まる場所で書きたくなるじゃない~))

 


 


そう思ってキジェナさんを見上げると、何やらカウンター…に置いたままの紙を凝視しているようだ。

どうしたんだろうか?

 


 


 


「こ、れは…………文字なのか……?」

 


 


「きゅー、きゅんきゅー(そだよー、日本語て言うんだよー)」

 


 


 


キジェナさんは私を片腕に座らせ安定させると紙を手に取り、まるで視力の悪い人が新聞紙を読む時のように近づけては離しを繰り返しながらしげしげと眺め始めた。





「うーん……模様である可能性もある…、か?」



「きゅっ…きゅきゅん(模様て…こっちの文字の方がまるで模様だよ)」





この世界の共通文字は読解が難解だ、どの文字もほとんど同じにしか見えない。

簡単な文字から少しずつ折に触れ教えてくれているが、外見が幼子でも中身は三十路の成人女性。

そんな偏差値の高い学校出たわけでも、語学に強いわけでもないので吸収は困難を極めていた。





「きゅ?きゅ~(ここに長居したら仕事の邪魔だよね?のくよ)」





 私はその小さな手の肉球でもってキジェナさんの服をポムポムと叩き紙片から視線を戻させた。





「ん…そうだな、今日は外へ散歩にでも行こうか?」



「きゅんきゅ、ぐぎゅきゅ~(え、何、今日もギルドは開店休業だってか~)」





日がな毎日ギルドの仕事があるわけではないので、日中は家事やら畑へ行ったり町の野良仕事も手伝っているキジェナさん。

どうやら家事か畑仕事を軽く終え、少々時間に余裕ができたようだ。





「きゅっきゅ!(しょうがないな、私も暇してたしつき合ってあげるよ!)」





 肯定の意思が伝わりやすいように大きく首を縦に振ると、





「よぉし、じゃあ準備をしたら出かけような」





彼は目じりにしわを寄せて朗らかに微笑み紙をカウンターの引き出しへしまった。

私はよいせっと腕から床へ下りると出入り口を目指して小走り。

後ろからかかった「転ぶから気をつけろ」の声に尻尾を一振りして外へ出た。



今日は生憎雲が多くて青い空は少しだけしか拝めないけど、風が清々しく吹いているから明日はきっと盛大に晴れる事だろう。





「さぁ行くぞ、チビ」



「きゅきゅん!(あいあいさ~!)」





本日もちび獣人な私はそれなりに元気でやっています。

ケモナーなのです拙者…。


いいですよね~モフモフ(*´ω`*)


主人公の名前が出てないのは。

言葉での意思疎通が難しい上文字も読めない為、伝えられていないのです。


もし続いたらその時に出るのかも?


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