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Prologue
その少女との出会いは、まったくの偶然であった。
いや、運命というものが本当に存在するならば、それは必然の予定調和だったのだろうか。
彼女との初めての出会い、その場所は学園の図書室前の廊下だった。
彼女は問うた。初対面の彼に向かって。
普通の出会いであれば、おそらく訊ねる者はいないであろう質問をぶつけてきた。
「トーストじゃないのですか?」と。
彼と彼女が会話らしい会話をしたのは、図書室の中であった。
正確には、図書室に備えられた司書室のテーブルを挟んで。
彼と対面の椅子に腰掛けていた彼女は、ひざの上に置いていたその本をテーブルの上に置いた。
そして最初の見開きページを開き、無表情のままでその小さな口を開いたのだ。
「この本は意味がわかりません」
少女はそうつぶやき、かれこれ数時間は眺め続けたであろうページを撫でた。
全ての本には、それが書かれた理由があって然るべきだ。
だけど、もしそうであるならば。
――「?」の童話――
表紙にそう記された、その本は。
何のために、誰のために生み出されたのだろうか。