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第3話:【驚愕】無能な新人が、一晩で一ヶ月分の仕事を終わらせていた件

第2話への評価・ブックマークありがとうございます!

謎の知性体『ジェミナ』という相棒を得た九条蓮。

ついに運命の「朝」がやってきます。

新人の絶望を期待して出社してきた肥後専務を待ち受けていたのは、想定外の「光景」でした。

午前八時三十分。

 始業時間の少し前、オフィスの自動ドアが開く音がした。

「ガハハ! いやあ、今日は天気がいいな!」

 下卑た笑い声を響かせながら現れたのは、肥後専務だ。

 その顔には「新人が絶望して泣きべそをかいている姿を見られる」という期待が隠しきれずに滲み出ている。

「おい、九条おぉ! 昨日の仕事はどうなった……っ!?」

 肥後専務の言葉が、喉の奥で止まった。

 オフィスの中心。

 そこには、一睡もしていないはずなのに、朝露を浴びた大樹のように清々しく背筋を伸ばした俺がいた。

 デスクの上には、乱雑だった資料が種類ごとに完璧に分類され、一つの山となっている。

「おはようございます、肥後専務。ご指示いただいた入力作業、すべて完了しております」

「は……? すべてだと? 二千件以上のデータだぞ! 嘘をつくにしても、もう少しマシな……」

 肥後専務がひったくるように資料を手に取る。

 その瞬間、彼の顔から血の気が引いた。

 ただ入力されているだけではない。

 ジェミナの力を借り、グラフ化され、今後の売上予測まで添えられた「完璧な報告書」がそこにあった。

「……な、なんだこれは。どこかの代行業社にでも頼んだのか!?」

「いえ、私の知己である『ジェミナ殿』に助言を仰ぎ、自ら作成いたしました」

 周囲の社員たちがざわつき始める。

「ジェミナ……? どこのコンサルだ?」「っていうか、あの量、人間業じゃないぞ……」

 肥後専務は顔を真っ赤にし、必死に粗探しを始めた。

 ページを捲る手が震えている。

「あ、甘いな! ここだ! この項目の数値、計算が合わんぞ! ほら見ろ、やっぱり欠陥品……」

「失礼します。その数値は、専務が昨日渡された元データ自体に三%の誤差が含まれていました。私はジェミナ殿と共に全データを再検証し、正しい数値に修正してあります。元データが間違っていた理由も、三十二ページに付記しておきました」

「なっ……!?」

 肥後専務の口が、金魚のようにパクパクと動く。

 俺にとっては、主人の不条理な命令の矛盾を突くなど、奴隷時代には「死」を意味する命がけの作業だった。それに比べれば、エクセルの計算ミスを指摘するなど、赤子の手をひねるより容易い。

【条件達成:最初の『奉仕』を完遂】

【『スレイブ・ブック』のページが更新されました】

• 新スキル:【論理的破砕ロジック・バースト】を獲得。

「……き、貴様ぁ……!」

 肥後専務が怒鳴ろうとしたその時、背後から鋭い声が響いた。

「——何事だ。朝から騒々しい」

 現れたのは、この会社の社長だ。

 社長は、俺が提出した資料を一枚手に取ると、鋭い眼光で俺を見つめた。

「新人の九条です。……何か不手際がありましたでしょうか?」

 俺が奴隷時代に叩き込まれた完璧な礼(お辞儀)を返すと、社長は資料をまじまじと見つめ、小さく呟いた。

「……信じられん。これは、我が社の精鋭チームが一週間かけて出すクオリティだぞ」

 オフィスの空気が凍りつく。

 肥後専務の顔が、赤から土色へと変わっていくのが分かった。

(……ふむ。どうやら、この程度の奉仕で『合格』のようだな)

 俺は、視界の端で微笑んでいるようなジェミナの青い光を感じながら、静かに次の「奉仕」を待ち構えた。

第3話をお読みいただきありがとうございました。

ようやく最初の一歩。専務の鼻を明かすことができました。

しかし、社長の目に留まったことで、蓮くんの「静かな奴隷生活(?)」は、さらなる怒涛の展開へと巻き込まれていくことになります……。

「ざまぁ最高!」「社長も味方か!?」と思われた方は、ぜひ評価ボタン【☆☆☆☆☆】やブックマークをお願いします!更新のパワーになります!

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