13
眼が覚めると目の前が少し暗く少し暑苦しい。
顔をあげると理由がわかった
「レーナ手、どけて」
「もう起きちゃったの?」
「はぁ」
どうやら私はレーナに頭をつかまれ大きい胸に埋もれてたみたいだ。
少し前に起きていたのだろうレーナの腕をほどき起き上がる、害意がなかったから私は起きなかったようだ。
外に出るとすでにハイドはテントを仕舞い軽い朝食を用意している、空はまだ完全に明るくないがまだ町までは距離があるから早めに出るようだ、村に来た時に話していた。
「おはよう」
「ルカか、おはよう それとレーナ起きてたんだったら少しは手伝え」
「ハイドさんおはようございます、私は今起きたところですよ?」
「,,,まぁいい、さっさと食って出るぞ」
そうして素早く食事を済まして村を出ていく。
村長への挨拶は昨日ハイドが朝早く出るからしていた様で村人には会わずに出て行った。
村を出てからは特に魔物とかも出てこなく1日目が終わった。
村を出て2日目の昼、昼食をとっていたらレーナに話しかけられた。
「ルカちゃん、ご飯食べ終わったら食後の運動がてら私と剣の打ち合いでもしない?」
「急に何で?」
「ルカちゃんの戦いを見る限り絶対私より強いし、どのぐらい強いのか興味があるからかな?」
「まぁいいけど」
レーナは少し微笑んでそう言ってきて、私を見る顔は大体の男が堕ちそうな綺麗な笑顔だった。
褒められた私は少しご機嫌になり私も練習がてらいいかなと思い了承した。
「真剣だと危なしいからこれ使おうか」
そう言って私は自分の収納空間から(指輪から出した様に)2つの木刀を出した。
1つは真っ白で1つは真っ黒、お父さんが昔に作って練習に使っていた白い方は私が使っていて黒い方がお父さんが使っていたけ。ど、剣の練習が少なくなってきた頃両方とも貰った。
この木刀の銘は。
白い方が『シン・ボクトウ皎姫』
黒い方が『シン・ボクトウ呂姫』
少し厨二病ぽいって思ったのはいまだにお父さんには秘密にしている、ゲームでも出てきそうだし私は気に入っている何よりこの木刀は絶対に折れない!魔力を通しておけばドラゴンも撲殺できそうなほど硬い。
ちなみにだけど私の剣(刀)の名前もお父さんがつけた。
とりあえず今はこれをレーナに渡そう。
「ルカちゃん、、、この剣から凄い魔力感じるんだけど大丈夫?、、、」
「昔お父さんに作ってもらった刃のない剣だから安心して、でも魔力を上手く纏わせれば切れないことは無いけど、魔力が篭ってるのも特殊な素材だからだね気にしないで」
久しぶりの対人戦(お父さん以外)で段々と楽しくなってきて
ボクトウの説明も適当に私は広い場所に歩き出す。
「ハイドさん、、、ルカちゃん凄い楽しそうなんですけど、私間違いちゃいました?」
「、、、お前が言い出したんだ、楽しんでこい」
「はぁ、、、ルカちゃんがあんなに好戦的だったなんて」
私の前には少しだけ苦笑いをしているレーナが立っている。
「ルカちゃんってもしかしてイジメるのが大好きなの?」
「そ、そんなわけ無いでしょ!まったく、、、」
「だって私より強いって言ったから虐めれるから笑ってると少なからず思ったから、、、」
そんな事を言われ私は母親を触り無意識に笑っていたのに気がついた。
「こ、これはお父さん以外と剣の練習した事ないから!」
「まぁとりあえず私が言い出しっぺだしやりますか」
「それじゃあ、ナシナシでいい?」
「ナシナシ?」
「あ、何でも無い、えーと魔法と身体強化無しでいいの?」
私は思った以上にこの状況を楽しんでるみたいだ、ゲーム時代の用語が出てしまった、ちなみにナシナシは決闘ルールで魔法、スキルなしの略語で基本ステータスとPSのみの決闘だその分実力がはっきりわかるのがこのルールの特徴
まぁ魔法の扱いがものすごい上手かった人もいたからナシナシ=実力とは一概にも言えないことがあるけど。
「私はそれで構わないわよ、それよりルカちゃん身体強化も使えるんだ!」
「まぁ一応、それよりハイドさん適当に合図お願い」
「わかったそれじゃあこの行と石を投げるから落ちたら開始な」
足元に落ちてる小石を拾いながらハイドが開始の合図をしてくれる事になった。
ボトっと石が地面に落ちた瞬間に私は少し早めにレーナに詰め寄る。
これは私がゲーム時代でやっていた初見相手にする戦い方、
別にいち早く攻撃したいからじゃ無い、私が突進してどうするか見るためだ。
防御をしようとしたり、回避をしようとしたり、はたまた相手も突進してきたりと様々だそうして私は相手の戦闘スタイルを見極めてる。
そんなレーナは防御することにした様だ。
「っはや!っちょったんm」
動きがなかったレーナに私は軽く白い木刀の皎姫を振り下ろした
攻撃を防いだ時に何か言ったので1度後ろに飛び退いて話しかける。
「何か言った?」
「ちょっとたんまって言ったのよ、」
「そんなこと言ったら練習になんないよ」
少し楽しくなってきた私はにこやかにレーナに言って再び接近した。
少し速度を上げて切りかかる私にレーナは攻撃を合わせてくる
少し目が慣れてきたみたいだ。
「ほんとにそれで身体強化してないの!?」
「しゃべる余裕があるみたいだからもう少し速度上げるね?」
攻撃を防いでるレーナにだんだんと速度を上げて攻撃を重ねていく。
数回攻撃を防がれ少し余裕の顔が浮かんだレーナに左中段の切りつけをする。
それを見てレーナが防御のため剣先を下にし垂直に構える
残念、それはフェイント、
木刀を止めた勢いを利用して体を回して右にステップし右わき腹を軽く突っつく。
「こっちだよ」
楽しくなってきた私は少し挑発気味に言った。
突いてレーナの後ろにいる私に、三日月を描くように上段から木刀を振り下ろしてくる。
それを木刀で体の右に流し地面に誘う、それと同時に木刀を峰を伝い手元の方へと滑らせて。
その勢いのまま首元へ木刀を走らせる。
「これで終わりだね」
寸止めした私は唖然としているレーナに終了を告げる
「久しぶりに楽しめたかな」
まだレーナは切っ先が少し地面に埋まっている木刀を見ている。
「これは驚いたな、まさかここまでやるとは。おい!レーナお前の負けだぞ」
声をかけたのはハイドで、少し嬉しそうに言った。
「いい経験になったな、こいつ意外と周りの奴らにちやほやされてからな」
「そうなの?十分強いと思うよ?」
実際私の動きにある程度ついてこれてたし、やっぱりフォレストウルフの群れは二人で何とかなっていたと思う。
そんなことを思っているとレーナがこちらに向き直る、少し目が光っているような気がする。
「もぅ、こんなに強いなんて,,,ルカちゃんひどいよ」
「ご、ごめん」
「手も足も出ないなんて初めてだよ、これでも一応戦えるように訓練しているんだよ」
「冒険者じゃないのに?」
「そ、そうだよ。なにかあったときのためにね」
「とりあえずだ、レーナはもっと慎重に相手を見ろ、まぁ格上相手だったし難しいと思うが。食後の運動も終わったしそろそろ出発するぞ」
そう話を切ったのはハイドで私も満足したので食事をしていたところの片づけに向かう。
レーナは少しだけ木刀を振り「はい、これありがとう」と木刀を返してきた。
やっぱり対人戦は楽しい
けど今はあくまで練習だ、この先命の駆け引きがあった場合私はどう思ってどうするのだろうとほんの少しの不安を抱き出発し、
この先の冒険に比べれば些細なことだとすぐに頭の片隅に追いやった。
まずは冒険者になるところだしワクワクが止まらない。