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「やっと村が見えてきたぞ」
「?,,,町じゃないの?」
「俺たちがいた場所どこだっと思っていたんだよ、王国の辺境も辺境、ド田舎だぞ」
「そうだったんだ、すぐ着くもんだと思ってた」
「ルカちゃんそんなに森に籠ってたのね」
レーナに笑われ、ハイドに呆れられた、これまで少しの会話をてきてお姉さん気を出してきたレーナを無視して、
ハイドに今後のことを聞いてみた。
「ハイドさんこの後どうするの?」
「そうだな、冒険者ギルドがある町は一番近くてあと三日ほどだと思うから、今日はあそこの村で空き家でも借りて一晩過ごすかな」
「わかったハイドさんに任せるよ」
「ルカちゃん私には聞いてくれないの?」
「ハイドさんの方が知ってそうだし?」
「ひどいよルカちゃん私もそのぐらい知ってるよ」
そういいながら頭をなでようとしてきたのでサっと避ける。
レーナはここに来るまでに随分距離が近くなった。
途中で出たゴブリンをアイスバレットで倒したら「ルカちゃん魔法も使えるの?しかも無詠唱?すごーい」とかなんとか言って頭を撫でられそれからことあるごとに頭を撫でようとしてくる
「わかったから頭撫でようとしないで」
そんなやりとりをしてしばらくすると村の入り口が見えてきた
そこには槍を持った男性が門は無いが門番のように立っていて
近くに行きハイドが声をかけた。
「ご苦労さん、見ての通り盗賊とかでは無いから安心してくれ」
何か視線を感じるが気にしないでおく
「で、俺たちは王都目指し旅しててこの辺で泊まれる場所か野宿でから場所を探していて、この村が見えたから寄らせてもらったんだ。村の隅でもいいから借りたいんだが村長から許可を貰えばいいか?」
「そうだな俺じゃあ許可も出せないし、一度村長に会えるか聞いてくるよ少し待っててくれ」
「よろしく頼む」
そういって門番の男性は村の中に走って行った
しばらくして男性が戻ってきて村長が話を聞くそうで村長宅に案内された。
「俺はハイド、突然尋ねて申し訳ない。話は軽く聞いてると思うが、村の空いてるところを借りたくてな、いいだろうか?」
今私は横で村長の娘さんが出してくれたお茶を飲みながらことの成り行きを見ているだけだ、空いてるところはいっぱいあったし拒否されることはなさそうだしそんなに心配しなくていいかな?
「私はこの村の村長のローダです。話は伺いました、場所をお貸しするのは構わないのですが一つ頼みたいことがありまして。」
「もちろん俺たちに出来ることがあれば手伝うぞ?」
「それがですね、1ヶ月に1度くる商人の方が随分と来ていないので塩の備蓄が底を尽きていまして持っていたら売っていただけないかと、、、」
「それは災難だったな、俺はこの先の街で買えるからいいが今は3kgほどしか持っていないがそれでいいか?」
「十分です、なにぶんこんな田舎なもので商人が持ってきた物しか当てにできなくてですね、、、とても助かります」
村長は頭を下げながらハイドにお礼を言った。
「そうしましたら1kg銀貨1枚で如何でしょうか?」
「いいが少し高かないか?」
「ここは街から離れていますし、商人からもそのぐらいの値段です。少し色を付けさせていただきましたが、それぐらい今の現状で塩が手に入れられれば安いものです」
「そうか、ならありがたく貰っておく」
そう言ってハイドはマジック袋から塩の入った袋を出し村長と取引をした。
「それじゃあテントを張ってもいい場所に案内してもらってもいいか?もう日が暮れそうだしな」
外のオレンジ色の空を見ながらハイドが村長に言い
それを聞いた村長が娘さんに案内を頼んだ。
「私はタリアです、それでは案内しますね」
娘さんはタリアって言うみたいだ、20代後半の見た目は普通の女性だが
家から出て貸してくれる場所に行くまでの歩き姿は隙がなく、やっぱりこういう村だと女性も戦える様にしてるのかな?って思った。
テントを張り終え食事の準備でもしようかなって思った時
タリアさんがきて食事のお誘いを受けた、何でも村長が塩を売ってもらったお礼に食事でもと、と言うことらしい。
ハイドはその提案を受ける様だ、私たちも一緒にってことでタリアさんと4人で村長宅に向かった。
家に入るとすでに料理がテーブルに用意されており村長と男性が席についていた。
男性はタリアさんの旦那さんでベンさんというようだ村長が紹介してくれた、お互いの紹介もすみ。
久しぶりのちゃんとした料理に少し感動した。
料理を残さす食べ少しの雑談のあとテントに戻ることにする。
「ごはんありがとうございました、とても美味しかったです!」
「喜んでもらえたようで作ってよかったわ」
私はタリアさんにお礼を言いレーナとテントに戻った。
ハイドさんはというとお酒を飲み村長と話が弾みまだ少しいるようだ。
「それじゃあ私は寝るね、おやすみ」
「そうね、明日も早そうだから私も寝るね、ルカちゃんおやすみ」
「ハイドさん大丈夫なの?」
「適当に帰ってくると思うし、お酒も普通の人より飲めるから大丈夫よ」
「なら大丈夫か、それじゃ」
そうして久しぶりの手料理も食べれて満足した私は眠りについた
♢♢♢♢
ルカが出て行った後の村長宅
「それでハイド殿、あの子はどちら様なのでしょうか?、領主様から頂いた情報はハイド殿とレーナ殿の事しか聞かされていませんでしたので」
「俺もそんなに知らないんだが、見た目は子供だが腕は一流だな多分俺よりよと思うぞ、今は冒険者になるためにヘンゲルの町に案内しているところだ」
「そんなにですか、帝国の暗部の方にそこまで評価されるとは中々不思議な方のようですね」
「まぁレーナにも確認したし悪意はないようだし町までは行動を一緒にしているだけだ、任務にも影響はないしな」
「そうですか,,,それでですね、商人が遅れていると先ほど言ったと思うのですが、あれはどうも改革派が絡んでいるようでもしかしたら動くかもと領主様は懸念されているようで早めにお会いしたいようです」
「そうか、こちらも改革派に政権を取られるのはなるべく避けたいことだから手を貸しているわけだしな、村を出たらまっすぐヘンゲルの町に向かう予定だから安心してくれ」
「ならよかったです、私もほんとは領主様のそばで仕えたいのですがやはり老いには勝てなくてこうして裏方と新人の育成に力を向けることしかできなくて悔しいですな」
「それも大事なことだと思うぞ、第一俺と接触させてもいいと思われているようだし信頼は厚いと容易に想像できるぞ」
「そういっていただけるとこの老体に鞭を打てますな、ハハハ」
俺はこの後少し情報交換をしてテントに戻った。
だが確かにルカは不思議だな、父と森に住みまだ若く見えるが冒険者になると森を出たそうだし。
一応レーナに確認したが特に怪しいところはなかったようだ。
レーナは自慢の耳で相手の言葉の真偽がある程度わかるようで、今回も経験を積むために俺とペアを組んで任務にあたっている。
だが最近やけにルカに構っている。
そのことを聞いてみたら「ルカに触れているとなんか安心するんですよね」とのことだった。
俺にはよくわからんが兎人族には魔力などに敏感な物が多いようで何か感じ取ったのかもしれない。
テントが設置してある場所に戻ると二人のいるテントはもう明かりが消されている、すでに寝ているようだ。
普段は場所によってテントを張り、見張りを交互にし寝ていて1つでこと足りるんだが一応持ってきた2個目のテントをルカに貸して二人で寝てもらっている。
持ってきてよかったと思う、なかったら俺が一人地面で寝てたと思うし。
俺はそんなことを思いながらテントに入りすぐに眠りについた。