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私はフェルカ・アルノート
周りの人にはルカって呼ばれているの
私にはお父さんにも秘密にしていることがあるの、それは転生者ってこと。
だいぶ昔のことだけど、私は2450年の日本って言うところで病気で死んじゃって気がついたらこの子の消えそうな魂と混ざり合い転生した。
魂が交わったせいか昔のパパとママのことも自分のことの様に思い出せる、不思議だけど前世も今世も私って感じかな?違和感がないんだよね。
そんな私は今初めての冒険に出て早くも魔物の気配がして少しばかり心が昂っている。
病床で動くこともできずに唯一の楽しみのVRMMORPG『グランドタワーファンタジー』通称GTF 私はそのゲームをリアルの時間よりも多く費やした。魔法、武器、スキル全てを集めて、使っての繰り返しでトップランカーを駆けてた。とても面白かったけど何よりよかったのは、、、
痛覚があるって事、ほんとは痛覚なんてものは国側の脳神経同調規格で規制があるらしいんだけど。
痛みがある事は誰にも言ってないけど私の病気、詳しくは知らないんだけど多分先生たちの話を聞くとそれが原因のような気がする。
痛みと言ってもモンスターの爪が刺さったら少し爪楊枝でツンとしたぐらいに抑えられてる、本来はありえないんだけど。
最初はとても嫌だったけど次第に外に出れない私が唯一外に出れる、冒険できる、と思うととても現実味がまし少しの痛みもうれしくなりさらにゲームにハマった。
そんなある日いつものダンジョンでボスラッシュをしていたら突然頭にとんでもない痛みが走り気が付いた時には周りは暗くて何もない空間だった。
私は必然的に死んだんだなと悟った。どのぐらいの時間が経過したのかもわからなくなった時少し先に光が見えて、それがだんだん近づいてきてるのに気が付いた。
目の前まで来るとはっきりとその光が何であるのかが分かった
暖かい感じのする明るい光に、寂しいような怒りのような黒い光と気持ちのいい優しい白い光がグルグルと、暖かい感じの光の周りを飛んでいるのがわかる。
その光たちはゆっくりと私の体に入ってきた嫌な気持ちはないなと思ったと同時にこれはこの子の魂なんだなと理解した。昔の記憶が流れてきたんだ。
意識が遠のき気が付いたら辺り一面が森になっていて、しばらくすると白い肌にきらきらと光る白い髪の男の人が私の目の前に立っていた、その人は目に涙を浮かべていたが記憶にある人物で昔にパパとママと話していた人だ。
そんなこんなでお父さんに育てられた私は渋々だけど冒険に出る許可を貰い今冒険の一歩を踏み出したところだ。まだ私がお父さんって呼ぶような出来事とか、修行の事とかあるけど、今は目の前の魔物に集中しよう。
今私の目の前にいる魔物はフォレストウルフ、森を住処にしているオオカミ型の魔物だ。
特徴は鋭い牙に黒に濃い緑が混じったような体毛を持っている比較的弱い魔物で島にいたときも何回も狩っている、三匹いようが油断しなければ問題ないかな。
剣を構えて様子を見ていると正面のフォレストウルフが向かってきた、それに合わせて残りの二匹も左右から攻めてきた
まずは正面からだね。
「えいや」
思わず楽しくてしょうがなくて掛け声が出てしまった自分自身に笑みを浮かべながら正面の敵にバク中蹴りをくらわして着地する前に右手の剣の先と左手からアイスバレットを左右から来ている敵に放った。
難なく当たった魔法を食らったフォレストウルフは絶命している、蹴り上げたフォレストウルフは地面に落ちた後すぐに近づいてとどめを刺した。
「やったー!,,,これから私の冒険は始まるんだ!」
うれしさのあまり誰もいない森の中で叫んでしまった。少し恥ずかしいかも。
「とりあえず魔石取ろうかな」
そういって倒した三匹から魔石を取り除いた。
解体は森だし後回しかな
お父さんから貰った指輪の収納空間に仕舞う、この収納空間は時間の経過がないから便利だ私も使えるけどまだ小さいしお父さんには感謝だね!
ちなみに私は拡張空間から練習した、拡張空間は時間経過があって空間魔法の中では簡単みたいでこれから練習するみたい
実際収納空間を覚えるのは大変だったそんな魔法を指輪におまけみたいに付与できるお父さんはやっぱりすごい!
「初戦闘は終わったし次はどこ行こうかな?」
3匹を仕舞い終わり次の進行方向を決めるため木の枝の片方をとがらせて軽く空に投げて、運任せにすることを決めた。
「こっちは北北東かな?,,,とりあえず出発だ!」
「今日はこの辺で野宿でもしようかな」
しばらく進んでも森を抜けることはなく周りが暗くなってきた、ここに来るまで数回先ほどのウルフが出てきたが怪我もせず倒すことができた。
「はじめて~の野宿♪たのし~野宿♪」
私は楽しすぎて歌を歌いながら野営の準備を進めた、もちろん周りの警戒は怠ったりしない。
準備を終えた私は収納空間からパンと干し肉と水を出して夕飯にする
「これだよ!これ! すんごい美味し~!」
初めての冒険、初めての野営食、一人で、塩味しか感じられないがとてもおいしく感じる。
美味しい夕飯も終えて就寝の準備する、後ろの木と前の焚火の間に簡易的に寝床を作って今夜はここで寝る。
「明日はどんな冒険ができるかな,,,」
そんなことを言いながらお父さんとの修行を思い出しながら眠りについた。
♢♢♢♢
「いったー!」
突然おでこに痛みを感じて飛び起きる
「ルカそんなんじゃ魔物が来ても何もできずにおなかの中だぞ」
「わかってるけど、魔法をしながら寝るって意味わからいもん!」
「そればっかりは慣れるしかないな、これができなきゃいくら強くなっても冒険は認めないぞ」
「わかった,,,頑張るよ明日もお願い」
「それじゃあ、朝まで早いからもう一回寝てなさい、もしかしたらおでこが痛くなるかもだけど]
「,,,」
「嘘だよ お休み」
そういってお父さんは部屋から出て行った
おでこ抑えながらビクビクとしていると少しコツがわかったような気がしてもうひと眠りについた。
近くに誰かいる感じがして目を開けてみると
デコピンの形で手をおでこに近づけるお父さんが見えたので慌てておでこを守った。
「おはようルカ、気が付いたようだけどもう少し早く気が付かないとだめだぞ。
けどよく頑張ったな、朝食にしようか」
「,,,そうだね」
お父さんはそう言ってドアに向かった、私は気づくことができて、褒めてもらえてニヤニヤとした顔でお父さんのあとを追った。