8.映像④病気
どんどんやりたい放題。
ユーリの性格がやり返す女になってきてる><
本日は残業だったので白い部屋に入るのが少し遅くなる。
買い物もできなかったので、家にあるポテチなどの保存食をもってきた。
グレールは猫だけに「カニパン」が気になるようだ。
お菓子についていた綺麗なリボンをメイビスに渡す。
「これ、尻尾につけるといいよ」
「あら綺麗。グレールって灰色で地味だから綺麗な色でお洒落しましょう」
「うぐっ。ねえ君たち僕で遊んでない?」
「希望なら猫の洋服も買ってきてあげようか」
「遠慮したい」
押入れにあった毛糸玉も持ってきたので転がしてみたら追いかけて絡まっていた。
お約束すぎる。情けない声を上げていたのでもう限界だ。
だめだ。笑いが抑えられない。うぷぷっ。
◇
映像が王城に行く日になったようだ。
さて出動しますか。
メイビスに入れ替わってみたら、めまいがしてふらつく。
風邪だろうか?体も重いし熱があるのかほてる。
こんな状態でよく王城にいったわね。
侍女に具合が悪いと言い、おでこを冷やしてもらっていたらお父様が現れた。
「早く支度しなさい。今日は大事な日じゃないか」
「旦那様。お嬢様は熱があるようです」
「熱だと?ふざけるな!それでも伯爵家の者か?
たるんでる!さあ起きるんだ」
ほんとこの人魔物かなんかだろうか?
娘が熱出して寝てるのよ?
掛け布団を剥がしてベッドから引きずり落とされる。
うげげ、気持ち悪い。
「起きろったら!」
襟首をつかんで立ち上がらせる。ひどい。
もういいよねグレール。
お父様が手を挙げて叩こうと、私の顔を自分のほうに向けた途端口を開けた。
プシャアアアアアア
メイビスが練っていたどろどろの液体を発射する。
グレールが映像に向けて投げつけただけなんだけどね。
「!!〇×△◇!!!」
お父様が人間とは思えない声をあげた。
やはり魔物だったのかな。
「だ、旦那様!タオルを!」「いやそれより風呂だ、風呂」
家令が大慌てで私と引き離す。
そっと片目を開けてみたら頭から服までどろどろびしょびしょだ。
普通考えたらそんなに子供の口に入ってるわけなかろうという量だが気が付かないみたい。
私は侍女に布団の中に押し込まれて、おとなしく医者を待つこととなった。
その後、「王城って聞くと吐きそうになる」というだけで誰も無理に連れて行こうとしなくなった。
◇
白い部屋に戻ったらメイビスは突っ伏していた。
ありゃ、やっぱりやりすぎたかな?
ピクピク震えてる。
そしていきなり抱き着いてきた。
いやいや、何この展開?
「・・・ありがとう」
「へ?」
「私あのときは本当に苦しかったの。
頭の中はぐるぐる回ってるし、周りが何を言ってるのかもよくわからなくて。
助けてくれてありがとう」
実際は誰も助けてくれなかったわけだが、それでもメイビス自身の心は楽になったのだろうか。
そのころ猫グレールは爆笑中。
笑い過ぎて口を開けたまま手足がピクピク痙攣してた。
猫って笑うように骨が出来てないから顎でも外れたのかな。
まあいいか、ほっとこう。
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