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心に一筋の×××を

 高層ビルに設置された大画面。割れた液晶に太陽が反射している。

 そいつが道路のど真ん中を歩く俺を照らして、今にも焼き殺そうとしているかの様だ。あるいは、大根役者に向けられた眩しすぎるスポットライトか。

 今更だ。

 今更光に照らされようがどうでもいい。ずっとゴキブリみたいに生き延びてきたんだぜ?おい。

 暗がりには慣れている。そもそも、場所なんてモンを選ぶ時間は残されていない。

 やたら静かなビル群を見上げる。窓ガラスは割れ、所々外壁が崩れかけている。

 今歩いてる通りを見ても人影など微塵もなく、道路には車が大量に乗り捨てられている。

 5年前、人類の総人口約半分がいなくなり、都市は機能を失った。現在、そこからあと何割が生き残っているのやら。

 それなのに、この暑さってのはいつまで続くつもりだ?人が減ったところで気温は変わらねぇか?

 つい先日雨が降り、少しは涼しくなるかと思ったが、むしろ暑くなったようにすら感じる。

 どんなに雨が降ろうが、暑さは戻ってくる。人口が半分以下になったところでたった数年じゃ何も変わらないってか。

 涼しくなっても暑くなる。

 俺も同じことを何度も繰り返す。それに意味があるのか?


ザザ…ザ…


「……チッ」

 左目を手で押さえる。

 ふざけんな。意味があるまでやってやる。

 ポケットに突っ込んでいた手を出し、背中のバックパックに手を伸ばす。

 サイドポケットのペットボトルをつかみ取り、蓋を開ける。

 口に運び、傾ける。

 生暖かい水滴が舌に乗る感触。

 俺はペットボトルを握りつぶし、蓋も閉めずに路上に投げ捨てる。

 水がないのは理解している。

 半ばヤケになっているのも分かっているつもりだ。

 足元に目をやる。水溜まりだ。

 こいつでも啜るか?我ながらいい案だと思うが。

 青空を映しだすそれは、同時に酷い顔つきの男も映し出していた。

 口の端を歪める。ああ、俺か。俺だな。

 水面に映るソイツは、20代前半のクセにシワの寄ったかのような目元をしていた。

「よう、トモダチはできたか、ゴキブリ野郎」

 俺はソイツに話しかける。

 中指を立て、水溜まりを踏んずけ、捻り潰すように水を蹴り先に進む。

 先に進め。

 好機を逃すな。

 数々の繰り返しが産んだ最大最後の見落としを。

 弔い合戦じゃあねぇが、消えていったかつてのアイツらの為にも。


 あのクソッタレを殺して止める。


 俺の心がまだくたばってねぇなら





 心に一筋の


 を

 寄越しやがれ

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