126.最終回
今回は最終回となっております。
1年と3ヶ月、とても長く短い時間でした。
最後まで読んでくださった皆様。
本当に感謝しきれないほどありがたく思います。
それでは最後の本編へどうぞ!!
ぼやけた視界を閉じて、息を吸って、私は叫ぶ。
「助けて!ハイツ!イズ!!」
悪魔は何言ってんだと嘲笑い、私の首元にあった剣の力を緩めた。
その瞬間、目の前にハイツが現れた。そして、私の形をした悪魔は唸り声をしていた。
ハイツは私の視界を真っ暗にし、不快な音が鳴りやんだ後、手をどかした。
目の前にはどす黒い血が付いているイズと、もはや何なのかわからない肉塊があった。
恐怖で息が荒くなる。そして状況を把握するために会場を見渡す。
そこには攻略対象たちが互いの形をした悪魔と戦っている姿が見て取れた。
深呼吸をする。
いつの間にか肉塊から私の姿に戻っていった悪魔の方を向く。
「戻んの大変なんだよ・・・。ていうか、この通り聖女じゃないと俺らは死なない。たとえどんなにぐしゃぐしゃにされてもね?だから、抵抗はやめなよ。無駄だ。」
そういって今度は本気で私を殴りにかかってくる。しかし、イズが私をかばって戦ってくれる。
……聖女。聖女か……。
ならば私にもできるはず!!しかし、スキルを知らない……。
私はスズネちゃんらしきものを鑑定する。
名前:柳 鈴音 職業:聖女
年齢:15歳
Lv:5
魔力:無限
スキル:魅力LvMax、洗脳LvMax、洗浄LvMax
称号:転移者、運命の変わり者、聖女、悪魔と契約すべし者
属性:聖 光 闇
洗浄…….。私はこのスキルを使ったことは無い。
けど、これしか手がないと思う。
私はレンドが持っているスキル。海を使うことを決断した。そしてその中に聖の属性を混ぜ込む。
できるかわからないし、そもそも私にそんな高度なことができるかわからない。
そして、それが暴発する可能性もある。下手したら、魔力切れで私は死ぬ。
けど、ここでやらないゃ。勇気を出さなきゃ、すべてが終わるだろう。
頼む。
そう思った私の身体から何か暖かいものを感じる。
そして体から金色の光が漏れ出していく。敵味方関係なく、戦っていた手をやめ、私を見ている。
「 海 」
私を中心として、青い空気と水でできた魚が泳ぎ始める。
私の形をした悪魔が気になったのか触ってしまう。すると、指先からほろほろと黒い物体が解けていく、誰も予想などできず困惑している。
そしてさらに私は魅了を使う。
「私の魔力で作った美しい魚にぜひ触れてくれ!!」
そして、ありったけの魔力を使い、水と聖の属性を半々くらいにしたグランドピアノほどの魚を作った。
「スズネちゃんにはぜひ特別なその魚に触れてほしいな!さぁ、僕の愛を受け取って!!」
吐き気のする、気持ち悪い言葉をつらつらと並べ、スズネちゃんに言う。
すると、スズネちゃんはその言葉がお気に召したのか率先してそれを触れた。
しゅわぁと黒い物体が解けていく様を見ながら、私は魔力切れで倒れた。
白い空間に来る。
そこにはレンドと前にこの世界に私を連れてきてくれたヒリンさんがいた。
「おぉ!優陽じゃねぇか!!お疲れ様!!」
「優陽様!この度はお疲れ様でした!!」
「ヒリンさん?何故ここに?」
「感謝と謝罪を申し上げに来ました。聖女と名乗った鈴音が大変ご迷惑をおかけ致しました。あの女はやはりバグでした。
そのバグの対処は本来私たちがやらなければいけなかったのですが、悪魔と契約した彼女にはもう手をつけることが出来ませんでした。
本当にありがとうございました。」
「……いえ、それより被害の方は?」
「2名を除いて、被害はほぼ無いに等しいものとなりました。人も国も無事です。」
「2名というのはスズネちゃんと私ですか?」
「はい。スズネの方は死亡判定と致します。そして優陽様。あなたは今意識不明の重体です。ただ、そろそろ起きれると思います。」
「そうですか……。じゃあ、ありがとうございました。また!!」
「おぉ、行ってらっしゃい〜!!」
「行ってらっしゃいませ!」
私は2人に手を振り、遠ざかって行った。
すると眩い光に包まれる。目の前はちゃんと天井だ。
私が起きたことに気づいたメイドが声をあげる。その瞬間、一斉にみんなが入ってくる。
「レンド!!」
「レン!」
「レイ様!!」
一斉に声がかかり、びっくりする。私が体を起こそうとすると、重くて上がらないことに気づいた。
「えーと……どのくらい寝てた?」
「1ヶ月くらい寝てたよ!」
「さぁ!宴だ!!我が息子、レンドの目覚めだ!!」
「……本当に戻ってきてくださり、ありがとうございます。」
「あぁ、ただいまルナ。」
みんなでわちゃわちゃと騒ぐ。そして落ち着いた頃、お父様が2人で話したいことがあると、みんなに外に出でってもらった。
お父様は真剣な顔をして、話を始める。
「まずはこの国を守ってくれたことに、王として感謝する。そして、一つ案があるのだが聞いてくれるか?」
「はい、なんでしょう。」
「貴殿は我が国の救世主。聖者、勇者、救世主の称号を授けようと考えてる。」
「王の心のままに。」
「では貴殿、レンド=A=アクアオリアは此度より救世主の称号を名乗りし者!無下にすること赦されず、尊敬に値し、王と同等の立場につく者!」
「承りました!我の心、ここに在りし、王に在りし、国に在りしもの!命あれば、馳せ参じることここに誓いましょう!」
「……緊張したか?これをお前の体調が良くなったら皆の前でやる。その後、街で救世主のパレードを開こう!」
「ありがとうございます!」
互いに微笑みながら一日中たわいない話をして、私はいつの間にか寝た。
後日栄誉受賞式とパラードを難なく終わらせ、若くもルナと籍を入れることが決まった。
そしてどこかの作家がこの時のことを書き記し、それは後生に残る伝説となったとさ。
読んでくださりありがとうございます!
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