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ある日の出来事〜始まりの言霊

作者: 八重桜花

それは、僕がある1人の女の子に出会ったことから始まった。


「ねぇ、おじさん。」

「ん?何かな?お嬢ちゃん。」


その子はふいに話かけてきた。


「おじさんはどうして元気が無いの?」

「あっ、あぁ。それはね・・・。」


私は何故か女の子に全てを話してしまった。

見ず知らずの子にだ。


「不思議だ。君に聞かれたらなんでも話してしまうな。」

「ごめんなさい。」

「何で謝るんだい?」

「私がそうゆう力を持ってるから。」

「力?」


この子はまた不思議なことを言い出した。


「力ねぇ。私も不思議な力があったら良かったのに。」

「おじさん・・・。私みたいな力欲しいですか?」

「欲しい、かな・・・でもそれより私は自分の居場所が欲しいかな。」

「居場所?なら私がおじさんにあげます。」

「本当かい?」

「おじさんに[居場所]をあげます。それからおじさんがまだ力を欲しいと思うなら、その時は力をあげます。」

「ありがと。でも力はどんなものなんだい?」

「それはおじさんが求めるものが力になるの。じゃぁ、行きましょう!おじさんがいるべき所に。」


女の子はそう言って私の手を掴み走り出した。

私は何故かそのまま一緒に走り出して・・・・。



そして・・・・今に至る。



「ここはどこだ。さっきの女の子は?」

今まで手を繋いで走ってた女の子は急にいなくなっていた。


私はただ1人何も無い草原に立っていた。

私は頭がおかしくなったのか。

確かについ先程までいた街が、たかが数分走っただけでこんな場所につくわけがない。

とゆうかどんな田舎に行けばこんな所に着くんだ。


私は訳も分からず彷徨い歩いてどれだけ経ったのだろうか。

来たと思える方に歩いてみたが、私の目の前にあるのは山と川だけ。


「とりあえず川沿いを歩くことにしよう。」

上手く行けば海に出られるか、どこかの街にでも着けば幸いと考えたからだ。


あたりは段々暗くなって来た。



これもおかしなことだが、私は女の子と出会ったのは夕方だ。なのに今頃暗くなるってのは時間すらおかしくなってるとゆう事か。



私は何が何だか分からないまま、一刻も早く帰ろうと休む間も無く歩き続けた。



そしてようやく夜になった。

その時少し先の方に一筋の光が見えた。間違いない、民家だ。


「助かった。今日はあそこに泊めてもらおう。」


私は家の前に着くと深呼吸をしてからドアをノックした。

呼び鈴みたいなものが無かったためだ。


「はい。どなた?」


中から聞こえて来たのは女性の声だった。

そしてドアがゆっくり開くと眼鏡を付けた女性が出て来た。


「あの貴方はどちら様でしょう?」

「夜分にスミマセン。それがどうやら道に迷ってしまい途方に暮れている所にこの家を見つけたもので。」

「それは大変ですね。どちらに行きたいのでしょうか?」

「東京です。」

「東・・京?」

「そうです。東京。分かりませんか?」

「東京ねぇ。すいません、聞き慣れない場所です。」

「そうですか。ではこの辺りに駅はないでしょうか?電車やバス、もしくは飛行機なんか。」


私は一か八かで尋ねてみた。


「駅、電車?バス?」


女性は何故か考え込んでしまった。


「バス分かりませんか?」

「バスとはなんでしょうか?」


バスがわからない?どんな田舎だよ。

そう思いながらも私は説明をした。


「成程。それは乗り物なんですね。」

「そうです。」

ようやく話が通じた。がその分この辺りにはそんな物は無いとゆう事も分かった。


「気を落とさないで下さい。貴方の言う乗り物はありませんが私の乗り物は有りますので、明日で良ければ送りますよ。」


「本当ですか?ありがとうございます。」

「良ければ今日はこの家でお休み下さい。」


女性はそう言って私を部屋の中に入れてくれた。


その部屋は昔の西洋風な作りだが、電気などない感じだった。


「泊めていただいてありがとうございます。」

「いえいえ、困っているなら助け合いです。」

「それで良ければ充電だけでもさせて貰えれば助かるのですが。」

「充電?お腹空いてますか?」

「いえ、そうではなくて・・。」

私は説明しようとした時、お腹から物凄い音が鳴ってしまった。


「くす。あらあら、ご飯作りますから、是非食べて下さい。」

「・・・スミマセン。」

女性は私のお腹の音を聞いてクスッと笑いそのまま台所へと向かってしまった。

私はじっと椅子に座って待っているしかなかった。


女性のいる台所から上機嫌な鼻歌が聞こえてきた。


(あぁ、どうして私は我慢出来なかったのか。確かにずっと歩いて来たから限界ではあったけど・・あの人が優しい人で良かった。)


「あの。」

「はい!なんでしょうか?」

急に声をかけられ少し驚いてしまい声がうわずってしまったが、振り向くと女性の驚いた顔をしていた。


「ごめんなさい。驚かせてしまいましたか?」

「いえ、こちらこそ申し訳ない。少し考え事をしていました。それで何かありましたか?」

「そうでしたか、あの食べられない物は無いかなと思いまして。」

「あぁ、好き嫌いはありませんね。なんでも食べられますよ。ご馳走になるのですから、わがままは言いませんよ。」

「わかりました。ではもう少しで出来上がりますので、もう少しだけ待っていて下さい。・・あ〜。」

「どうしました?」

「そう言えば貴方のお名前を聞いていませんでしので、なんとお呼びすれば良いかたと。」

「スミマセン。私は保炉ほろ 雷楓らいふと言います。」

「ほろさん、ですね。私はエイミーです。」

「エイミーさん。」

「はい。」


2人は何故か初対面とは感じないくらい親しくなっていた。

まるで昔からの知り合いみたいに。


だが、この家には電気がない。それにガスも無いだろう。

薪で火を起こしているのを見てしまったからだ。


どうしたら良いか。

私は案内された部屋のベッドに横になりながら今の現状を考えていた。


「あの子はどこに消えたのか?明日にはせめて電気がある場所に行けたらいいが。」


そんな事を考えて床に着いた。


「おはようございます。ほろさん。」

「おはようございますエイミーさん。」


朝が来た。

清々しいくらいの晴天に気持ちが良い。


エイミーさんは乗り物を取りに行っている。

私は外で改めて周りを見渡してみる。

「やはり何もない。」

スマホを取り出して地図を開いてみるが、反応がない。もちろん電話も繋がらない。


「無理か。ここは日本でも外国でもないのか。」

そうこうしているとエイミーさんがやって来た。

「お待たせしました。」

私はエイミーさんの乗って来たものを見て確信した。

「エイミーさん。この生き物はなんでしょうか?」

「この子はランバですよ。ランバ・・見たことありませんか?」

「そうですね、私は初めて見ます。」

この生き物は馬とカンガルーを合わせた感じで、しかも四足歩行ではなく、二足歩行で歩いている。


エイミーさんは荷台の前の席に乗り縄を持っている。

『さぁ、あなたも後ろにお乗りください。』

私は言われる通りに、後ろの荷台に乗り込んだ。

『これは馬車みたいだ。』

乗り心地は決して悪く無いが、時折石ころに車輪が乗り上げては私のお尻に痛みがくる。

でも、昨日とは違いそたの景色は違うようにも思える。

私はエイミーさんにその事を話すと、エイミーさんは笑いながら教えてくれた。

『それはきっと獣道だったでしょう。この道は人用に作られた道なのです。』

私はその言葉を聞くと納得した。

『人に合わなかった理由も頷けますね。あれは獣道でしたか。』




















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