『 家路 』
5月26日発売の月刊コンプエース7月号に、
『刹那の風景』のコミカライズ3話が掲載されております。
そして、5月27日よりWebでの連載が開始されます。
詳しくは活動報告で。
【 セツナ 】
何の偶然かアルトとセセラギが僕を呼ぶ声が聞こえた。
遊びにいっているさなかに呼ばれたことなどなく、
何があったのかと聞く前に心配になって転移することに決めた。
今から思えば、
アルトにつけてある鳥が何も知らせていなかったのだから、
慌てることもなかったのだと内心でため息をついた。
まぁ、今日ここに来なければ、
アルト達が楽しそうに露店を見てまわる姿を、
見ることもなかったと思えばきてよかったかもしれない。
生命力に溢れ楽しそうにはしゃいでいる子供達の姿は、
リヴァイルに手紙を送ったことで沈んでいた僕の気持ちを、
慰めてくれていたから。
子供達はそろそろ家に帰る時間だということで、アルトと一緒に順番に送っていくことにする。僕といることでかなり注目を浴びていたので念のために。僕の前を歩くアルト達は、職人と交渉して手に入れたロケットチャームの中に何を入れるかという話題で盛り上がっていた。
「アルトからもらった、灯りの魔導具を入れようかな」
ジャネットが少し視線を落としながら呟いた。
「あの中に入れておけば、灯りをいつも持っていられるし」
「いいと思うよ。私もそうしようかな」
ジャネットに同意するようにエミリアが頷く。
そこからあの日の話になり、
それぞれがあのときに感じたことを話す友人達の姿を見て、
ミッシェルがぽつりと言葉を落とした。
「いいなぁ」
アルトがチラリと僕を見るので頷く。
「ミッシェル、灯りの魔導具いる?」
アルトの申し出に、ミッシェルがゆっくりと首を横に振った。
「そうじゃなくてね」
「うん」
「セイルとワイアットの行いは、
本気であり得ないと思っているんだよ」
名前を出された二人はばつが悪そうにあさってのほうを向いた。
「あんな所に閉じ込められたくないし、
魔物に追いかけられたくもないし、
怖い思いもしたくないって思う」
「うん」
「だけど……みんなと同じ時間を私も過ごしたかったなって、
ちょっと思ったんだ」
「その気持ちは俺にもわかる」
「そう思ったらね、
一度でいいから帰る時間なんて気にしないで、
みんなと遊んでご飯を食べて、それからあったかい火を囲んで、
一晩中いろんなことを話してみたいなって」
「安全な場所だったら、楽しそうだと思う」
「でしょう?」
ミッシェルがアルトの顔を見て柔らかく笑うが、
すぐに表情を曇らせた。
「でも、絶対お父さんは許してくれないと思う」
その言葉に、楽しげに話を聞いていたクロージャ達も、
現実に戻されたかのようにため息をついたり、
苦笑したりして諦めの感情をあらわにしていた。
そんな彼らの会話に、僕は口をはさんだ。
「僕からお願いしてみようか」
彼らの夢は、子供達だけでは叶わない夢だろう。
だけど、大人の協力があれば簡単に叶えることができる小さな夢だ。
それに、僕が計画していたこととも一致する。
「え?」
驚いたように全員が足を止めて僕を見上げた。
「ただ、たき火をするにしても広い場所が必要だし、
子供だけでは危ないから、目の届く場所ということで、
僕の家の庭になるけれどどうする?」
「どうして?」
子供達の疑問を代弁するように僕に問う。
「リシアを旅立つ前に、お世話になった人を招待して、
食事会をしようと思っているんだよ。
マグロもダルクテウスもまだ調理していないし、
僕達だけでは食べきれないでしょう?」
「うん!」
「だから、その日でよければ、
やりたいことをやってみればいいよ」
僕の提案に、アルトが機嫌良く尻尾を振り、
友人達の方へと体を向けて「どうする?」と尋ねる。
「お父さんが許してくれるならいきたい!」
ミッシェルが真っ先に勢いよく手を上げて返答する。
その動きにデスがバランスを崩して肩から落ちかけて、
彼女にしがみついた。
「俺も兄貴が許可してくれたらいきたい」
ミッシェルに続いてロイールがそう告げ、
その次にセイル達も目を輝かせながら「いきたい」と声を揃えた。
「あ、でも師匠、エレノアさんが反対していたけど大丈夫かな?」
「大丈夫だよ。
もう今更、ちょっと家が特殊ぐらいで問題にはならないよ……」
ここ数日でそれ以上の経験を子供達はしているから、
僕の家を見ても軽く驚くぐらいだろうし、
それに他人に気軽に吹聴するような子達ではないことを知っている。
「気にしなくてもいいよ」
「うん!」
そこからは、何をするかという話で盛り上がり、
先ほどよりも賑やかになった。
未来の期待に瞳を輝かせ、
笑い合う子供達の表情は生き生きとしていた。
順番に送っていきがてら、それぞれの家族に許可を貰っていく。
孤児院の子供達も招待しようと思っていたが、
それは断られてしまった。
今回は、クロージャ達だけということになったので、
あとで何か差し入れることを頭の中にメモしておく。
是非にと誘って、ミッシェルの家は家族全員が食事会に参加。
ロイールの家もロガンさんが参加することになった。
忙しいかもしれないが、
ヤトさんやオウカさん達やナンシーさん達も招待する予定でいる。
ジャックの家を見たいといっていたから丁度いいだろう。
これで、セリアさんの悩みも解決することができるはずだ。
『いつ贈り物を渡そうかしラ?』
彼女の言葉が脳裏をよぎる。彼女は僕からお金を借りて、
せっせと自分が知り合った人達に贈り物を用意していた。
今回旅にでてしまえば、彼女は二度とハルに帰ってくることはない。
ハルからトリアまでの片道切符だ。
誰にもいうつもりはないけれど、
食事会は最後のお別れ会という意味も持っていた。
サーラさんやカルロさん達が、
アルトやセリアさんと離れることを、
かなり寂しがっていることに気付いている。
エリオさんがあまり笑わなくなっていることも知っている。
各々が、アルトに気付かれないように上手く隠しているが、
少し見ていればわかることだった。
別れる悲しみや、寂しさはそう簡単に消えることはない。
「いかないで」と言葉にできたら「寂しい」と口にできたら、
心は少し軽くなるかもしれない。
でも、それは口にしたくても、口にしてはいけないことだった。
水辺へと旅立つセリアさんに聞かせてはいけない言葉だった。
彼女に未練を残させるようなことを伝えるべきじゃないと、
誰もが理解していた。だから、僕もセリアさんも、
そんなチームの人達の想いに気付かない振りをしていた。
しかし……このまま旅立っていいのだろうかとも僕は考えていた。
どこかで無理矢理にでも踏ん切りをつけることができるように、
心を傾けるべきではないかと、セリアさんが気にすることなく、
ハルを旅立てるようにするべきではないかと。
そしていろいろ考えた結果が食事会だったのだ。
以前カルロさんが『俺達とも想い出を作ろうぜ』と、
アルトに声をかけていたことを思い出し、
それならば、そういった機会を作ればいいのだと考えて、
食事会をしようと思い立った。
一瞬でも寂しさが吹き飛ぶくらいに、
食べて、飲んで、騒いで、遊んで、
誰にとっても、よい日になればいいと、
楽しい一日になればいいと思うんだ。
そういった時間は……きっと、優しい想い出になってくれるはずだから。
子供達を送り届けたあと転移魔法で帰るつもりだったが、
アルトが歩いて帰りたいといったので、
のんびりと歩いて帰ることにした。
途中で、冒険者とのいざこざに巻き込まれたときの店主を見つけ、
アルトがあのときのことを謝罪したり、
美味しそうな屋台を見つけ買い食いをしたり、
セセラギが魚屋の前から動かなくなったりと、
いつもより時間をかけてアルトと家に帰っていた。
魚屋で購入した小さな魚を食べたセセラギが、
ご機嫌で「キュキュ」と歌うように歩いている後ろを、
僕とアルトがついていく。
人影もなくなった逢魔が時を二人と一匹で歩いていた。
アルトがときどき何かを話したそうに僕を見るのだが、
視線をあわせようとするとそっと顔を背けることを繰り返している。
話す決心がつかないのか、
話す内容が纏まらないのかはわからないけれど、
とりあえず気付かない振りをする。
何度目かの視線を感じ、
アルトに視線を落とすと今度はしっかりと目が合った。
「師匠」
「うん?」
「師匠はリシアの国籍を取得したんだよね?」
「そうなるね」
リシア国籍を取得したというより、
守護者になったことでリシア国籍になったといった方が正しい。
「俺もリシア国籍を取れる?」
「一応、成人まではサガーナ国籍でいて欲しいといわれているけれど、
どうしてもというのなら、お願いしてみるよ? でも、どうして?」
リシアの本国籍の取得は色々と条件があるが、
アルトの場合その事情を考慮して、
本人が望めば、リシア国籍を取ることができるようにはしてくれている。
「クロージャ達と一緒に、
成人の儀というのに参加したいって思った」
成人の儀までまだ6年もある。
まだまだ先のことをどうして今考えているのか気になった。
「どうして、そう思ったの?」
僕の問いにアルトが視線をセセラギに向けながら、
その理由を話してくれた。
「ミッシェルが「無事にハルに帰ってこれるように」って、
俺に贈り物をくれるといってくれたんだ」
「うん」
「そしたら、ロイールもセイルもワイアットもクロージャも、
エミリアもジャネットも同じように考えていたって……。
すごく嬉しかったんだ。俺が大切に想っている人が、
俺の無事を祈ってくれる。
帰ってくるのを願ってくれている。それが本当に嬉しかった」
そういって幸せそうにアルトが笑う。
「俺、そのときに初めて師匠にいわれた言葉の意味がわかったんだ」
「僕がいった?」
「……帰れる場所があったほうがいいって」
ロシュナさんに会いにいくために、
僕と離れることを渋るアルトにいった言葉だ。
「誰かが俺の帰りを待ってくれている。
それはとても心が暖かくなるものなんだって、初めて知った」
「ロシュナさんやハンクさんも、
アルトを大切に思ってくれているよ?」
「それは知ってる。
だけど、俺はサガーナを好きになることはないと思う」
そう断言するアルトに、少し驚いてどうしてかを尋ねた。
「アイリ達も蒼露様も長達も好きだ。
だけど、サガーナは師匠の帰る場所にはならない。
俺にはいつでも帰ってこいっていってくれたけど、
師匠にはいわなかった」
気付いていたんだ……。
「それに、一部の人の俺を見る目が嫌いだ。
師匠に敵意を見せている人が嫌いだ。
自国の危機を師匠に救って貰っておきながら、
俺や師匠に敵意を見せる奴らを見ると殺したくなる」
「アルト……」
少し窘めるように名前を呼ぶと、
一瞬こちらを見てから言葉を付け足した。
「殺さないけど」
アルトが行動に移すことはないとわかっているので、
それ以上追求することはしない。
サガーナに滞在しているときも、
不機嫌そうにしていることはあったが、
ここまで強い不満を抱いているとは思っていなかった。
でも、確かにアルトのいうように、
半獣であるアルトをよく思ってない獣人達はいた。
蒼露様や長達の目があったから、
直接何かをいってくる人はいなかった。
「リペイドという選択肢もあるよ?」
「うーん。リペイドは好きだけど、
サイラスさん達は王様が一番だし、
王様は国が一番だから、師匠や俺を助けてくれないかもしれない。
でもリシアは違う。この国の人達は多分師匠のことが好きだ」
「……」
「それに、俺が半獣だと知っていてもおまけをくれたり、
気遣ってくれたりする。
黒達も困ったことがあったら必ず手を伸ばしてくれるって、
寄り添ってくれるっていってくれたんだ」
「そうなんだ」
生涯を国を守るために捧げる王と、
自由を信条とする冒険者を比べるのはどうかと思うが、
国王様の言葉が心にずっと残るほど、
そのときのアルトは衝撃を受けたのだろう。
あのときのアルトに包み隠すことなく、
真意を語ったことこそが、国王様の誠意の証なのだけど……。
アルトがそのことに気付くのはもう少し成長してからかもしれない。
「俺、ミッシェル達から帰りを待っているっていわれたときに、
帰る場所というのは、俺が帰りたいと望んだ場所なんだって思った。
だから、サガーナは俺の帰る場所にはならないってわかったんだ」
帰りたい場所……か……。
「そうか。
アルトはクロージャ達のいるこの国に帰ってきたいんだね」
「……」
「アルト?」
アルトが足を止めて僕を見上げた。
「そのときはそう思った。
だけど、いろいろと考えて、
それだけじゃ足りないってことに気付いた。
クロージャ達だけがいても駄目なんだ……」
「足りない?」
「うん。俺が本当に帰りたいと望む場所は、
師匠がいる場所だから」
「……」
「師匠は……生涯をかけて、
リシアを守っていくことを誓ったんでしょう?」
「そうだね」
花井さんとかなでが守ってきたこの国を僕も守っていくと決めた。
「冒険者になった、クロージャ達と師匠と一緒に旅をして、
俺も師匠とクロージャ達と共に、
この国に帰ってきたいと思ったんだ。
師匠が守るこの国の民として。師匠が守るこの国に。
だから、俺はリシア国籍が欲しい。
クロージャ達と一緒に成人の儀に参加したい」
どこか不安そうに瞳を揺らしながらも、
僕から視線を外すことなくアルトがそう断言する。
「そう。アルトの気持ちはわかったよ」
アルトの世界はいまだに僕を中心に回っている。
それでも、リシアにきて友人達と出会い、
黒や黒のチームの人達と過ごすうちに、
アルトの世界は大きく広がりを見せた。
アルトは未来へと羽ばたく翼を手に入れようとしている。
僕から巣立ち、アルトが大空へと羽ばたくその翼は……、
きっと美しいに違いない。
「師匠?」
僕の返事を待つアルトの頭を優しく撫でる。
「とりあえず、仮国籍から取得しようか。
仮国籍なら、サガーナの国籍を持っていても大丈夫だから」
「うん!」
目を細めて笑うアルトに少しの罪悪感を覚える。
リシアは守るべき場所だけど、帰りたいと望んだ場所が、
帰る場所だというのなら……。僕の帰る場所はリシアではない。
未来はわからないけれど、今はまだそう思えない。
勘違いしているアルトに伝えるべきか悩み、
伝えようがないことに思い至る。
内心でため息をついたとき、
何かが体当たりしたあと僕の体を駆け上がり、
肩の辺りで「うにゃうにゃ」と鳴く声が聞こえた。
それと同時にアルトが叫ぶ。
「あぁぁぁ! セセラギ!
師匠の服が泥だらけになったじゃないか!」
「……」
アルトの言葉に、服を見るとセセラギの足跡がついている……。
でもまぁ、僕を心配してきてくれたのだから怒ることはせず、
僕の肩の上で「うにゃうにゃ」話しているセセラギを、
撫でながら、アルトをなだめたのだった。
「俺は庭で魚釣りをしたらいいと思う」
「え?」
気になっていたことを、話すことができたからか、
機嫌良く尻尾を振り耳をピシッと立て、
楽しそうに笑いながら、アルトがそんなことをいった。
「俺は庭で魚釣りをしたい!」
「え? 庭で魚釣り?」
僕は食事会の時に何を食べたいかを聞いたのに、
どうして魚釣り? 庭に魚が釣れるような場所はない。
「自分で釣った魚を焼いて食べる!」
「魚はマグロとダルクテウスがあるよ?」
「うーん、それも食べるけど、
師匠、闘技場に海を持ってきたでしょう?」
「あぁ……」
そういえば、あのとき、
闘技場につくった巨大な水槽で魚釣りがしたいと話してたな……。
「あそこで魚釣りをしたら、
食べたことのない魚が釣れるかもしれない!」
確かにそうだけど……魔物も釣れる可能性が……。
まぁ、少し調整すれば魚だけを持ってくることができるかな?
「魚釣りできる?」
期待を込めた目で見つめられると、
その期待に応えたくなる。
「釣り大会をしても面白いかもしれないね」
「おおぉ! 俺は負けない!」
拳を握りしめ、今から気合いを入れているアルトの姿に笑う。
このことを黒達に話せば「アルトに甘すぎる」と、
小言を貰いそうな気がするが、
酒肴の人達はアルトと一緒に喜んでくれるだろう……。
「魚だけでいいの? 肉はいらない?」
「いる! 俺は魚も好きだけど肉はもっと好きだから!」
「フィガニウスがまだ余っていたと思うけど、
他の肉も用意しようか」
「うん! 楽しみだな~」
「楽しみでよかった」
「あ、師匠」
「うん?」
「その日だけでいいから、
ギルスとヴァーシィルを呼べないかな?」
「どうして?」
「セイル達が、ギルスとヴァーシィルに、
乗りたいっていってたから」
そういえば、そんなことをアルトから聞いたような気がする。
「わかったよ」
ギルスとヴァーシィルの中に入っている、
子供達はアリアケやシノノメと同じように、
完全に眠りについている。
なので、多少騒がしくしても大丈夫だろう。
中の子供達に合わせてギルス達は体長が変化していたが、
眠っている間なら僕の意思で大きさを変えることができると思う。
多分。駄目なら謝ろうと思う。
「食事会いつするの?」
「ジゲルさんや黒達と相談してからかな」
「ジゲルさんはわかるけど、どうして黒達も?」
「今住んでいる家の開放は、
僕がハルを離れるまでという約束だったけど、
僕が旅立ったあとも開放しておこうと思っているんだよ」
「え!?」
その声に驚いたのか、
アルトに抱かれているセセラギが非難するように、
「う゛ぅーん」と不機嫌に鳴く。
「あ、ごめん」
謝罪しセセラギを撫でて落ち着かせてから、口を開いた。
「でも、黒達も旅にでるでしょう?」
「基本はそうらしいけど、
月光はサーラさんが子供を産むために、
邂逅の調べは、メンバーが足りないことと、
エイクさんが学院に通うために、
チームとしての活動を休止するらしいからね」
「あー、そういえば話していた気がする」
気がするではなく確実に話していたよ。
まぁ、休止するといっても個人での活動は継続するといっていた。
「誰かがハルに残っているのなら、
あの家は解放しておこうかなと思ったんだよ」
「どうして?」
「ん……。有効活用してもらえそうだから?」
「有効活用?」
「そう。サフィールさんは、
図書室に住んでいるような感じになっているし、
エレノアさん達は剣を作るのに夢中だし、
バルタスさん達は暇があれば厨房で何か作っている……。
そしてアギトさん達は魔王を攻略することに力を入れているしね」
「……」
「家の管理はトキアに任せるつもりだから、
なにかあればわかるだろうし」
ハルの情報を手に入れるために、
魔法の鳥を飛ばしていく予定だけど、
トキアをとおして黒や黒のチームの人達からも色々と聞けるだろう。
「トキア残していくの?」
「そのつもりだけど、連れて行ったほうがいい?」
「寂しくないかな?」
「それは大丈夫だよ。
多分、誰かが必ず家にいるだろうから……」
「あー……」
「だから、黒達やジゲルさんに相談して決めるから、
詳細は少し待ってくれる?」
「うん! 楽しみだ!」
「……そうだね。僕も頑張るよ」
とりあえず、近いうちに肉を狩りにいこう。
誰も食べたことのないものを……。
大きな話題になりそうな物を狩りにいこう。
家に帰り、みんなの食事が終わってから、
アルトに話したことを黒達に話した。
家を開放することについては、
無理をすることはないと苦言を呈されたけれど感謝もされた。
食事会については、想像通り酒肴の人達が盛り上がり、
アルトが釣り大会をするのだといったことで、
それぞれの目に闘志が宿っていた……。
僕はそんな彼らを眺めながら、
その日までにやるべきことを頭の中でまとめていた。
オウカさん達に魔法を伝えないといけない。
アギトさん達のこれからの予定ももう一度確認しておきたい。
そして、ハイロスさんに会いにいくことも忘れないようにしなければ。
思ったよりも忙しくなりそうだと考えたところで、
アリアケとシノノメが僕のそばでくつろぎ、
羽を膨らませながら羽繕いを始めた。
ふくふくとした羽毛を触ると気持ちよさそうだ。
自分の羽繕いが終わったからか、
僕にもしてくれようとするがやんわりと断り、頭を軽く撫でた。
満足したように目を細める姿に思わず笑っていると、
セセラギが膝の上に乗ってきて「うにゃうにゃ」と話し出す。
セセラギも撫でて欲しいらしい……。
二羽と一匹を順番に撫でていると、
クリスさん達と釣りの話をしていたアルトが僕の前に来て、
不機嫌そうにセセラギ達を見下ろしていた。
アルトのその態度に各々が笑いを堪えていた。
この態度が焼き餅だともうわかっていたので、
とくにその態度を言及することなく、
アルトの好きそうな話題を振り機嫌をなおしてもらった。
その日の夜は、僕のベッドで子狼のアルトとトキア、
セセラギ。そしてシノノメとアリアケと寝ることになったのだが、
それぞれが僕にくっついて寝ようとするために、
非常に寝苦しい一夜を過ごすことになり、
早急にセセラギ達の寝床を作ることを決意した。
そして数日後、
ジゲルさんと会い話を詰めてハルを旅立つ日が決まった。
食事会は、旅立つ日の前日。
ジゲルさんもその日に宿を引き払い食事会に参加し、
そのあと僕の家で一泊。
次の日の午前中にトキトナへ向けて出発することに決めたのだった。
書籍関連の方に『リヴァイルとアルト』をUpしました。
刹那の風景3巻に入りきらず、
泣く泣く削ったエピソードに少し書き足して、
掌編に作り直しました。
リヴァイルとアルトが会話している、
一片の物語となっております。
https://ncode.syosetu.com/n7912gm/16/
よろしければ読んでみて下さい!





