『必勝絶勝』vs『牢錠地獄』
───決闘の時───
帝都第一グラウンドには、沢山の生徒たちが見物に来ていた
砂混じりの風が、二人の決闘者の頬を撫でる
さながら西部劇のガンマン同士の撃ち合いを彷彿とさせる光景
「……約束を破らずに来たな……
少しは認めてやろう、篠宮 ミサ」
「あとは君が約束を果たすだけだ
人質は……君が負ければ解放される」
その言葉に平和ちゃんは黙って頷く
どうせミサは負ける
その傲りからくる余裕
「……紹介しておこう
この桜島 平和の能力は『牢錠地獄
私に敵対する者は誰であろうと異空間に幽閉しておくことが出来る
ただし、これは決闘であらねばならない
故に、お前にはこの能力は使わない」
生身で戦うと言っているようなものである
やめておけ、とばかりに笑うミサ
その笑顔が平和ちゃんの心の平穏をかき乱した
「ッ笑う……なァァァァ───ッ!!」
「……戦いにおいて冷静さを欠いた者は必ず破れる」
平和ちゃんの迫真の正拳突き
ミサは顔面に命中する寸前でその拳を掴み、引っ張る
平和ちゃんはミサの方に吸い寄せられ、ゼロ距離アッパーを喰らった
「ごふッ!」
更にミサは平和ちゃんを蹴り飛ばし、何度も何度も追撃した
「どうした、君はこの程度の強さで決闘を挑んできたのか?」
「ウ"ア"ッ!」
一方的にボコボコにされる平和ちゃん
手も足も出ないとはよく言ったものである
一撃一撃が重く、その上反撃の隙が一切ない
まるで止めどなく降り注ぐ鋼鉄の雨のように───
「こッ……この強さ……はァァァァ!?」
「言い忘れていたな……私の能力は……
必ず勝つ……『必勝絶勝』だ……
このまま殴り続けさせてもらうぞ……君の骨格が原型をとどめなくなるまで……!」
「そんなッバカ……ァァ……な……!!」
ミサの一方的且つ過激すぎる猛攻
その場にいる生徒たちも、その凄絶な状況には恐怖を覚えざるを得なかった