仁義なき戦争の始まり
「やあやあ皆さん、お久しぶりですねぇ
え、初めまして?
……そう、でも私は覚えていますから良いですよ
私の名前は桂 メイサ……ここではそういう名前でーす
さてさて、最近私の地位を脅かしかねない危険な少女が話題です
総帥候補らしいのですが、綺麗事を一切吐かず己の欲望に忠実なんだとか
ええ、ええ!
私、そーゆーの大大大大大好きです!
いつか私と激闘を繰り広げてくれるかも知れない……
その期待でヒジョーにワクワクしてます!
というわけで……私はこの娘の成長を見守っていきたいと思いますぅ!
フフフ、たーのしみーよーん」
・・・
「……何だお前……そこをどけ」
「否……断る」
ミサたち『改革組』の目の前に立ち塞がるのは『風紀組』のリーダー・桜島 平和
男子生徒たちの間では平和ちゃんと呼ばれている
とても無愛想だが、そこが好かれる理由らしい
「聞きましたよ、あなたは総帥になりたいのだとか
あなたのような自己中心的な人間を総帥にするわけにはいきません……
それは我々正義組が絶対に許さない……
故に……学園規則によりあなたとの決闘を申し出ます!!」
「そうか、好きにしろ
私は君とは違って正義には興味がない
遊びならば一人でやっていてくれ」
ミサは冷たく吐き捨てて平和ちゃんの横をすり抜けていった
「はは、無視されちゃってんの」
「僕は君みたいなの好きだけど、でもミサちゃんには敵わないなぁ」
付き添いの二人がそう言ってミサについて行こうとした瞬間───
「ではあなた方は……私の牢獄に『幽閉』します!」
平和ちゃんが叫ぶと共に、二人は消えた
それは多くの生徒たちの目の前での出来事
だが、毎日が世紀末なこの学園において、その程度で驚く者はいない
「止まりなさい、篠宮 ミサ
あなたの無礼な取り巻きを人質に取りました」
ミサは立ち止まった
立ち止まれと命じられたからではない
聞き捨てならなかったからだ
「……人質……人質……人質だと?
この私に対して人質だと言ったのか……君は……?」
「そうだ、お前との決闘のために人質を取ったのだ
いかにお前が自己中心的でも……こうなれば決闘は断れまい」
「……なるほど、全治10年コースをご所望というわけだな?
良いだろう、その決闘……受け入れる」
「……ようやくその気になったか
では震えて待ってなさい、ミサ
明日の正午……帝都第一グラウンドにて待っている
来なければこの二人の命はない」