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Chapter13-6

挿絵(By みてみん)





「よーし、全員居るかー?」


「A隊、全員居ます」

「B隊、事前欠席三名以外居ます」

「C隊、います」

「D隊、E隊、事前欠席二名以外居ます」




 演習場に新人隊員全員が集められた。事前に欠席している者以外は全て揃っている状態に、総隊長が今一度声を上げて全員居るか確認すれば、隊の新人が声を上げる。




「よぉーし。じゃあサクっというぞ。お前たちは今日から、一つ上、二つ上の先輩と"親子関係"を組んでもらう」




 総隊長がそう言うと、周りの反応は様々だった。


 気になったであろう一人が、顔の横に手を付ける様少しだけ手を上げれば、総隊長が"おっ、なんだ?"と笑顔を向けつつ首を傾げる。



「親子関係、というのは、どういったものなのですか?」

「簡単に言えば、必須ではないフリークエストや、ギルド内での些細な活動等を共にする先輩と、ツーマンセルを組むって事だ。ギルド活動や、約束事を教えてもらうための先輩だな。それを総称して"親子"と呼ぶ」



 親が先輩、子が新人、ということを説明した総隊長に、新人隊員は納得の頷きをしている。



「親選びは隊長会議にて決めたから、今から発表する。おーい、新人の通信機にリストを送信してくれ。あと俺が昨日カテゴライズした場所に、親リストってやつを送ってくれ」



 専用通信機に声を掛けた総隊長。通信機から返事が聞こえ、数秒後に新人隊員たちの専用通信機が軽く点滅する。一斉に通信機を操作する新人隊員達に、総隊長は全員が確認し終わるまで待った。




「よし、全員確認し終えたか?」


「「「はい!」」」


「良い返事だ。親子関係は今から一年後まで続く。先輩と信頼を築いて、他の先輩とも交流の幅を広げたり、ギルドの仕組みや暗黙の了解ってやつを覚えてくれ。今から親となる先輩に会って挨拶の時間とする、解散!」



 その言葉で一斉に新人隊員達が演習場から出ていく。楽しみだという歓声を上げる声がほとんどの中で、一人だけ緊張という顔色を隠し切れない者がいた。



「(今から挨拶を…?そも、俺はあまり"彼女"と会話をしたことがない…)」



 上手く会話が出来るだろか、という内情を抱えて、金色の束を揺らしながら歩くのは、新人隊員のリーコスだ。心臓が妙な脈を刻んでいるのか、胸を軽く押さえながら"親"になる人物に会いに行くために歩き、そして目立つ赤の髪を持つ"先輩"を発見すると、丁度通信機を確認し終わったのか、顔を上げてきょろりと視線を動かしており、その視線にばっちりと合う。



「あ、」

「リーコス隊員、あの…私が親で良いのか、今一度総隊長に確認してきましょうか?」

「い、いや…構わない。工場の事件以来だな…、で、ですね。改めてよろしくお願いします」

「…ふふっ!元の口調でよろしいですよリーコス隊員」



 "親"という名目で直接関わる事になった先輩――…セリーニがリーコスの元に近付いてきた。それだけで声をどもらせてしまったリーコスに、セリーニが今一度本当に親がCクラスである自分で合っているのか、Aに上がっている二つ上の隊員と間違えているのではないのかという考えを導き出して提案をすると、リーコスが首を振りながら言葉を正す。


 決して敬語が苦手なわけではないのだが、先に会話をしたのがエルミスと共に居た時だった為、自然と砕けた口調になってしまうのを慌てて正すと、セリーニが小さく笑っていつも通りの口調で良いという返事がやってきた。



「…なら、言葉に甘えさせてもらおう」

「はい。とりあえず今から新人最終研修の為の準備があるようなので、担当の者に会いに行きましょう」

「わ、わかった…」



 こっちです、とセリーニが先頭を歩く後ろをリーコスは付いていく。歳はリーコスが一つ上であるが、先にギルドに入ったセリーニの方が先輩にあたる。


 子を連れて歩く親の背中を見ながら移動するリーコスは、普段守るべき女性の後ろを付いて歩くという不慣れな行動に戸惑いながらも、新人研修担当のC隊長がいる隊長部屋に到着した。



「失礼します、カーラ隊長居ますか?」

「あ、セリーニ隊員。丁度良かった、今該当者に声を掛けようとしたところだ」



 通信機を動かしていたカーラの手が止まり、椅子から立ち上がってセリーニとリーコスの元に向かうと、一枚の紙を親であるセリーニへと渡す。マーカーで色が付けられているところが几帳面なカーラらしい、と感じながら書類に目を通すと、どうやら必要な物を集めてきてほしいという内容だった。



「三つ目に書いてある携帯魔法炉は、シゼラスの店主の家にある。店主に許可を取るついでに、リーコス隊員が場所を知っていると聞いてね、台車を持って携帯魔法炉を持ってきてくれ。家には店主の息子がいるらしいから、スムーズに持ってこれるだろう」

「了解です!」


「ふふ…セリーニ隊員もとうとう"親"か。新人研修終了後は昇格の話も上がってる、今のうちにCクラスを満喫してくれ」



 じゃあ行ってこい!とセリーニの肩をぽん、と軽く叩いて親子を見送ったカーラは、次の指示を出すために操作を止めていた通信機に触れたのだった。






アナ雪2、良い評価を見て見に行きたい。

一番初めのアナ雪を見たのは、珍しく映画館でした。妹と一緒に「松たか子の歌がいいらしいから冷やかし程度にいこか」と誘って、地元のちっちゃい映画館で見に行ったのですが、思いのほかいい話で感動したのを覚えています。ただずっとオラフを見る度「やっぱり柳沢慎吾だよね?」とこそこそしゃべってしまうぐらい、オラフは柳沢慎吾だと思います。今見ても思う。今これ見てる人に柳沢慎吾がちらつく呪いをかけた


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